【無料テンプレート付き】売掛金元帳をエクセルでつくろう。書き方や作成のポイントを解説

会計帳簿の一つである売掛金元帳は、作成することで多くのメリットがあります。特に営業面では施策の立案や改善などに役立つため、おすすめです。本記事では売掛金元帳とは何かを解説するとともに、作成時に役立つエクセルテンプレートもご紹介しますので、ぜひ活用してください。

売掛金元帳テンプレート
無料ダウンロード

売掛金元帳とは

出典: Deemerwha studio / shutterstock

売掛金元帳は会計帳簿の一つで、売掛金の発生や回収状況を取引先ごとに記録して管理する帳簿です。別名「得意先元帳」とも呼ばれます。企業のさまざまな取引の中で、売掛金に関するものを日付順に記録しますが、補助的な役割を担う帳簿なので、必ずしも作成しなければならないものではありません。

しかし、売掛金元帳を作成しておけば、取引先ごとの売掛金をすぐに把握でき、入金があったときの消込や、残っている売掛金の確認を効率的に行えます。また、売掛金元帳を作成・分析することは、特に営業面における改善施策の根拠にもなり得るため、作成と分析をセットで行うことをおすすめします。

買掛金元帳との違い

買掛金元帳は、仕入先ごとの買掛金の増減や残高を記録する帳簿です。掛取引によって発生し、まだ払っていない買掛金を管理するために作成されます。買掛金元帳は、売掛金元帳と反対の関係性があるといえるでしょう。シンプルにいえば、売掛金元帳は取引先（売上先）ごとの売掛金を、買掛金元帳は仕入先ごとの買掛金を管理するために使います。

売掛金元帳はなぜ必要なのか？

出典: Studio Romantic / shutterstock

売掛金元帳は、中小零細企業の経営において売掛金の管理に欠かせない帳簿です。以下、売掛金元帳の代表的なメリットを3点述べます。

取引先ごとに売掛金を管理できる

売掛金元帳は、取引先ごとに売掛金を記録・管理する補助簿です。先にも述べましたが、得意先元帳とも呼ばれ、売掛金が増減する取引が発生したときには、すべての取引を記録する総勘定元帳の一項目である「売掛金勘定」と一緒に記帳します。売掛金の回収漏れを防ぐために、売掛金元帳を作成し記帳していくことが重要です。

会計業務を効率化できる

売掛金元帳を作成することで、売掛金に関する業務が効率的に進み、未回収を防げるようになります。売掛金元帳に記録する情報は、経営者にとって貴重な情報源です。たとえば回収期日に銀行の営業終了時間である午後3時の時点で着金がなければ、直ちに取引先の経理担当者へ連絡する必要があります。単純な手続きミスということもありますが、取引先はいわゆる「口うるさい先」から優先的に支払う心理になるでしょう。回収の確実性を高める観点からも、売掛金元帳の作成はおすすめです。

営業面の施策に反映できる情報源となる

売掛金元帳では、取引先ごとの売掛金額と回収状況を見ながら、販売商品や規模のトレンドを把握することができるでしょう。経営者はその情報を営業活動に活かし、施策の優先順位を設定しやすくなります。

あくまでケースバイケースではありますが、「パレートの法則（2・8の法則）」として知られるように、取引先のトップ2割が全体の販売実績や利益の8割を占めることがあります。この視点からも、売掛金や回収状況を定期的に確認することで、自社の利益に対する貢献度を客観的に数値で評価できます。取引先ごとにランク付けを行い、経営会議の資料として活用することも可能でしょう。

売掛金元帳までチェックする習慣のある経営者は、そうでない経営者に比べ、自社にとって優良な取引先かどうかを判断する基準を持っていることになります。これにより、有利な回収条件を交渉したり、クロスセリングのチャンスを的確に見計らったりと、より高度な営業戦略を展開することが期待できます。

エクセルで売掛金元帳をつくってみよう

出典: fizkes / shutterstock

売掛金元帳をエクセルで作成する際の基本的なフォーマットは下記のとおりです。このフォーマットを参考に、取引先ごとに売掛金の発生と回収を書いていただければと思います。

売掛金元帳のテンプレートを無料でダウンロード

売掛金元帳、作成のポイント

売掛金元帳を作成する際のポイントは以下のとおりです。

• 取引先ごとに作成する
• 金額・日付などの内容は正確に記入する
• 摘要には商品名や回収時の普通預金・現金など、内容を分かりやすく簡潔に記入する

売掛金元帳はあくまで補助元帳なので、自社の人間が見て内容を理解できることが重要です。フォーマットをベースに「自社の業態や取引形態ごとのベストな形が何か」をイメージしながら、形式に改良を加えていくことも大切でしょう。

まとめ

今回は、売掛金元帳について解説しました。ただ、売掛金元帳を作成できるようになるだけで、決して満足はしていただきたくないというのが筆者の本音です。経営者や営業の管理責任者が、どうしても受注や販売のみに注力してしまうことはよくあります。しかし、商品の販売・提供と売掛の回収はセットです。自社にとって有利な回収条件であれば、利益面だけでなく資金繰りの面においても多大に貢献することになるでしょう。

売掛金元帳には、本質的に貢献する営業活動かどうかを見定める情報が詰まっているといえるでしょう。今回のコラムが、読者の皆様が自社の販売・営業面を見直し、より効果的な経営戦略を検討するきっかけになれば幸いです。

*years44, Deemerwha studio, Billion Photos, Studio Romantic, fizkes / shutterstock

【まずはここから】フリーアドレスのはじめ方