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税務調査

税務調査で慌てない!企業がすべき対策と調査のポイント【税理士が解説】

2022.04.20

税務調査というと、『マルサの女』という映画を思い浮かべる方も多いと思います。あの映画で描かれている調査は、査察といって強制捜査です。強制調査では、ある日突然、査察官(マルサ)が令状を持ってやって来て、強制的に証拠物件や税務資料を押収していきます。

皆さんの会社に対して通常行われる調査はマルサとは異なり、申告書の内容に誤りがないかを定期的に確認するための任意調査です。

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税務調査ではどこまで調べるのか?

強制ではないので、会社の代表者や経理担当者、調査官、顧問税理士間で事前に日程調整を行うことが可能です。調べる年度や税目など調査の範囲についても事前に説明があり、調査内容も帳簿や請求書、通帳、領収書、契約書などの証憑類が中心になります。

ただ、調査官が必要と判断したら、工場や倉庫など本店所在地以外の現地を確認する場合もあります。「社長の机の引き出しや金庫を開けて見せてください」と言われることも。最近では、社長のパソコンの中を確認したいと言われるケースが増えているようです。

また、任意調査とはいえ調査官には質問検査権がありますから、正当な理由なく拒否することはできません。調査の依頼が来たら、税務署とのやり取りは全て税理士に任せるのがおすすめです。

飲食店など現金売上の多い業種の場合には、事前の連絡なしに抜き打ちで現況調査が行われることがあります。朝9時に、いきなり調査官がやって来て、前日のレジロールを見せてなどと言われることもありますが、あくまで任意調査なので、すぐに税理士に連絡し、対応を相談してください。税理士が到着するまで、お店や事務所の中には入れず、外で待っていてもらいましょう。

対象になるのは、どんな会社?

税務調査の対象となるのは、第一に業績の良い会社です。毎年、増収増益を繰り返している会社は、調査の対象になる確率が非常に高いといえます。国税局では、FXやインターネット取引を主に行う会社、風俗業、飲食業、建築業などを調査の重点業種を指定しており、これらの事業を行っている会社は、とくに調査の回数が多い傾向にあります。

赤字続きの会社は、調査の確率は低くなりますが、逆にいえば“赤字にも関わらず税務調査の依頼がくる”ということは、調査の目的となる個別事案があると考えた方が良いでしょう。

赤字会社で、調査対象になる可能性が高いのは、消費税です。赤字幅が大きいと消費税が還付になることもありますが、人件費には消費税が課税されないので、余程のことがないと還付にはなりません。棚卸資産が多い、固定資産を購入したなどの合理的な理由がなければ、還付額の計算が正しいかについて調査対象となっている可能性があります。

赤字でなくても、輸出を行っている会社の場合は、消費税が還付になります。還付は、一度国庫に入った税金を納税者に返すことなので、調査の対象になる確率は高いといえます。多額の還付申告をした場合には、いつ調査がきてもいいように、根拠資料を準備しておくことが大切です。

業態や会計処理が変わった場合も調査の対象となる場合があります。例年ならいつも計上されているはずの在庫が計上されていない、原価率が異常に高くなったなど、調査担当者の興味をひくような申告の場合も、調査に向けて資料を用意しておきましょう。

また、多額の特別損失や貸倒損失が計上されているなど、決算書にいわゆる異常値が計上されている場合も、調査の対象となります。その他、同業他社に比べて極端に在庫の割合が少ない、極端に利益率が低い会社も、調査対象になりやすいと言えます。

ところで、皆さんの会社にも税務署から『資料せん』が送られてきた経験があるかと思います。『資料せん』とは、ある一定期間に一定額以上の取引があった取引先の会社名や住所、取引金額、振込口座などを記載して、税務署へ提出するものです。これは自社の調査のためではなく、取引先の税務調査に利用されるものです。

取引先から提出された『資料せん』は、所轄の税務署に集まってきます。『資料せん』通りに、申告がなされているかを確認する目的で、調査が行われることもあります。適正な申告を行っていれば、問題になることはないので気にする必要はありません。

【こちらの記事も】控除の対象は?納めすぎた税金はどのように返ってくる?源泉所得税に関する相談まとめ

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税務調査のスケジュール

一般的な税務調査は、次のようなスケジュールで行われます。

①税務調査の依頼

所轄税務署の調査官から、電話がかかってきます(前記、現況調査の場合を除く)。顧問税理士がいる場合は、会社ではなく税理士宛に連絡があります。調査官と会社、顧問税理士の予定をすり合わせて、調査の日程が決まります。

②事前通知

実地調査の前に、相当の時間的余裕をおいて、調査担当官から電話がかかってきます。税務代理権限証書に、顧問税理士に対して事前通知が行われることに同意する旨の記載がある場合には、税理士にのみ連絡が入ります。事前に通知される主な内容は、下記のとおりです。

1.調査開始日時

2.調査を行う場所

3.調査の目的

4.調査の対象となる税目

5.調査の対象となる期間

6.調査の対象となる税務書類など

7.納税者の氏名・住所

8.担当調査官の氏名・所属

③税務調査当日

通常は、2日間の日程で実施されますが、会社の規模などによって、1日ですむ場合もありますし、3~4日かかることもあります。午前10時ごろ調査官が本店所在地などを訪問し、余程のことがなければ午後4時ごろには終了します。

調査官は2名というケースが一般的ですが、会社の規模に応じて、1名の場合や3名以上で訪問することもあります。

④調査終了

調査の結果、指摘事項が何もない場合には、「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」が届きます。

税務処理に間違いがあったり、期ずれなどが見つかって所得を少なく申告したりしていた場合には、修正申告するよう勧奨されます。指摘された内容に納得いかない場合は、勧奨に応じる必要はありませんが、自主的に修正申告を行う形で、調査を終了させる会社がほとんどです。ただし修正申告した場合には、その後不服申し立てができなくなるので、注意してください。

税務調査に向けて準備しておくもの

税務調査は、税務申告の内容に誤りや不正がないかを調べるのが目的です。したがって調査官は、会社が作成した帳簿類だけでなく、その帳簿を作成する根拠となった証憑類の現物を精査します。申告書のもととなる帳簿が正確に記帳されているかをチェックするためには、さらにその帳簿作成の根拠となる取引を記録した原始書類を確認する必要があるからです。

たとえば、申告書の基となった決算書の売上が正しく計上されているかを調べるためには、売掛金台帳よりも台帳を作成する基となった請求書、請求書よりも納品書や発注書、契約書、あるいは担当社員の月報、報告書、作業指示書などの提示を求められるというわけです。

会社が作成した帳簿や取引の基となる原始書類は、会社によって異なりますが、一般的には下記のような書類を用意しておくとよいでしょう。

・会社の組織図など
・業務内容がわかるパンフレットなど
・3期分の申告書一式
・3期分の総勘定元帳
・3期分の請求書・領収書
・3期分の見積書・納品書・その他の証憑類など
・3期分の契約書
・3期分の株主総会議事録
・3期分の3期分の給与台帳
・3期分のタイムカードや履歴書など
・4期分の1人別源泉徴収簿
・4期分の扶養控除申告書など

調査当日の流れ

一般的な2日制の調査の場合、初日の午前中は、会社の事業内容の概略から取引の細かな内容について質問されます。とくに取引の始まり(発注)から終了までの一連の流れや、それぞれのステップにおいて相手先と取り交わされる書類、社内で作成する取引の管理簿、請求書作成の根拠となる内部資料について細かくヒアリングされます。

ベテランの調査官ともなると、さりげない会話の中から、調査のポイントとなる重要書類にあたりをつけて、この段階で調査の手順を設計していきます。

調査初日の午後から、2日目の夕方まで、原始証憑や帳簿と、申告書や総勘定元帳との付け合わせが、粛々と行われます。不明な点があれば、その都度、追加の証憑類の提示を求められたり、経理担当者や社長が説明を求められたりします。

とはいえ顧問税理士がいれば、調査の間、社長がずっと立ち会う必要はありません。社長でなければ答えられないことは、調査の終了までにまとめて回答すれば十分です。

通常は、2日目の夕方4時ごろに、一通りの実地調査が終わります。指摘事項があれば、その内容について、この段階で調査官からの説明があります。その場で説明資料を用意できない場合は、後日あらためて追加資料を送る約束をします。

税務調査で調べられるポイントは?

会社によって調査の重点項目は異なりますが、どの会社でも必ず調べられるのは“期間損益”です。

調べるポイントは、当期の売上に計上すべきものが翌年度の売上になっていないか、翌年度に計上すべき売上原価や費用が、今期分として計上されていないかなどです。締め後の請求書や納品書、在庫や仕掛品の計算根拠などは、必ず調べられると思っておいた方がよいでしょう。

言いかえるなら、毎期の決算事務において期間損益を意識すること、締め後の売掛金や買掛金を正確に拾いだし、在庫や仕掛品の根拠を残しておくことが、最大の調査対策と言っても過言ではありません。

*CORA、nonpii、タカス / PIXTA(ピクスタ)

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