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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 今こそ見直し!企業が理解しておきたい「扶養手当」に関するお悩みまとめ
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今こそ見直し!企業が理解しておきたい「扶養手当」に関するお悩みまとめ

2025年から2026年にかけて、国家公務員の扶養手当が廃止されるというニュースが話題になりました。扶養家族を持つ社員がいる会社にとって、大きな影響を与えたのではないでしょうか。扶養手当は、家計を支えるために必要な制度。今後の変化に備えて、企業側も支給ルールの見直しや新たな対策が必要です。

この記事では、扶養手当に関するお悩みをまとめました。すでに扶養手当を導入している企業だけでなく、今後導入を検討している企業もぜひ参考にしてください。

1. 扶養手当の支給ルールの変更、どう進めるべき?

質問日:2024年9月2

◆1. 質問内容(一部抜粋)

(前略)

我が社の就業規則では
世帯主に支給すること
扶養の対象者(22歳以下、父母など)
月額支給額
の記載しかありません。

今まで、シングルマザーしか扶養手当の要件に該当する人がいなかったため特に問題なく、運用していました。
この度、配偶者(夫)が勤務していた会社を退職し、個人事業主となるため、私が世帯主となりますから、子どもの扶養手当の支給をしてほしいと職員から要望がありました。

就業規則のどこにも記載がないですが、シングルであることを慣習として支給してきたため、どう対応してよいか困惑しています。
初めてのケースで、これを機会に就業規則をより具体的にしようと条文追加も検討しています。

個人事業主のため、世帯年収の上限を設けるとしたら夫の前年の所得と職員の今年の見込み額を合算して考えたら良いのか?

シングルの場合だけ支給する、と明確に記載したらよいのか?
そうしたら、不利益変更となるのか?

どのように進めたら良いかアドバイスいただけたら助かります。

◆1. 総務の森に寄せられた返信はこちら

回答①

(前略)

まずは、どういった目的での手当なのかを明らかにしましょう。
そして、現状の支給要件も明確にしましょう。

・世帯主の定義とはなにか
・扶養対象者の要件は年齢だけか、年収はどうか
・扶養対象者が複数名の場合は単純に人数倍なのかどうか
など、現状で記載されているのかわかりませんが、検討しなければならないです。

不利益変更になるかどうかは条文だけでなく、実態としてどうだったのかにもよります。実態に合わせる形での変更なら不利益変更にはなりづらいかと思います。

扶養手当の要件に世帯年収を用いるというのはあまり聞いたことがありません。
個人事業主だから世帯年収で、というのも考えとして一貫性がないと思います。

●回答②

(前略)

記載の規程であれば、シングルマザーのみを対象として支給するとはいえないと思います。むしろ、配偶者がいても、世帯主であり扶養する子がいるのであれば、ひとり親であるのかどうか男女であるのかどうかにかかわらず支給される規程のように思えます。

> 今まで、シングルマザーしか扶養手当の要件に該当する人がいなかったため
扶養する子を有するひとり親でない方はいると思いますが、貴社には全くいないのでしょうか。
(所得税に関する扶養控除申告書に扶養親族がいる方は、世帯主でない方を除いて全員支給されていますか?)

> 会社を退職し、個人事業主となるため
夫が個人事業主になれば自動的に世帯主になるわけではありませんので、貴社がどのように世帯主を確認しているのかを確認してください。

> 初めてのケースで、これを機会に就業規則をより具体的にしようと条文追加も検討しています。
支給の対象者を減らすということであれば就業規則の変更を行うことになりますので、法に従って対応することでよいかと思います。
ただ、先に記載したようにシングルマザーでなくても対象となる方はいるように思えますので、現時点で支給要件を満たしている方に対しては個別に不利益変更の合意は必要と考えます。

>世帯年収の上限を設ける
これどのように貴社で把握するのでしょうか。

●回答②への返信

(前略)

> 扶養する子を有するひとり親でない方はいると思いますが、貴社には全くいないのでしょうか。
> (所得税に関する扶養控除申告書に扶養親族がいる方は、世帯主でない方を除いて全員支給されていますか?)
はい。今まではシングルマザーしか該当しませんでした。共働きの人は、夫の収入が多く世帯主が夫だったためです。
所得税の申告書、扶養家族がいる人で世帯主なら全員に支給されていました。

> 夫が個人事業主になれば自動的に世帯主になるわけではありませんので、貴社がどのように世帯主を確認しているのかを確認してください。
承知しました。シングルマザーか共働きの人(子どもなど扶養は夫側にいれている)しか今までいませんでした。
そのため、世帯主の定義づけをしていませんでした。今回、検討してみます。

> 支給の対象者を減らすということであれば就業規則の変更を行うことになりますので、法に従って対応することでよいかと思います。
> ただ、先に記載したようにシングルマザーでなくても対象となる方はいるように思えますので、現時点で支給要件を満たしている方に対しては個別に不利益変更の合意は必要と考えます。
わかりました。現時点では、今回申し出あった職員は保留にしていて、まだ扶養手当の支払いをしていません。

現行のままであれば(解釈の仕方でどうにでも受けとれるざっくりした内容)すぐに支給しなければならないですか?
その後、不利益変更にあたるため職員に同意を得て、就業規則を改定する→不支給の流れになりますか?教えていただけたら助かります。

> これどのように貴社で把握するのでしょうか。
はい。ご指摘の通りですね。遡及払いにでもしない限り無理ですよね・・・。

検討しないといけない事項がたくさんありそうです。
教えていただき、助かりました。ありがとうございます。

●回答②からの返答

> 現行のままであれば(解釈の仕方でどうにでも受けとれるざっくりした内容)すぐに支給しなければならないですか?
> その後、不利益変更にあたるため職員に同意を得て、就業規則を改定する→不支給の流れになりますか?教えていただけたら助かります。

規程において、明らかに支給要件を満たしていないのであれば支給しないとすることはできますが、支給要件を満たしているのであれば支給しなければならないでしょう(貴社がそう決めているのですから)。

仮に規定を変更したとしても、過去にさかのぼって変更はできないですから、変更により支給要件を満たさなくなった日以降でしか無理でしょう。

なお現行で支給要件を満たしている場合には賃金の不利益変更になりますので、単に就業規則の変更だけでは不支給にはできません。個別に合意が必要になります。

>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『就業規則 扶養手当について

【関連記事】有給休暇の管理はどうすればよい?

就業規則は会社のルールブックです。しかし会社のルールは、経営環境や社会情勢などのさまざまな変化に応じて変更されていくもの。仕事を頑張れば、あるいは個人の能力や会社の業績が上がれば、こんなによいことがあるんだと示せるような就業規則にしたいですね。下記記事では、就業規則変更時の進め方について解説しています。

>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『就業規則の変更で従業員とのトラブル回避に必要な「合理性」とは?

2. 扶養手当を過支給してしまった場合の処理は

質問日:2023年3月27日

◆2. 質問内容(一部抜粋)

職員のお子さんがアルバイト先の保険に2月に加入されたことが判明しました。

当社の扶養手当は、職員の保険証の家族被扶養者であることが前提のため、支払済みの2・3月の扶養手当、それに影響を受ける調整手当及び3月賞与について返還処理をする予定です。(返還について職員了承済み。返還についての就業規則などの規定はなし。賞与算定届は正しい数値で報告済み)

年度替わり、算定基礎届、労働保険料算出に向かう時期のため焦っており、返還方法について正しいかどうか教えていただければ助かります。

①支給済の賃金台帳はシステム上直せないため、支給分、雇用保険料、賞与分の社会保険料は正しい金額を手書き修正
 算定基礎届等もその数字を使用する。
②4月給与で扶養手当、調整手当はそれぞれの明細項目でマイナスして天引き
③4月の雇用保険料は、②の処理をする前の金額を算出しておく。その数値から2・3月と賞与で取りすぎた分を減して修正
④社会保険料は取りすぎた分を減して修正
※雇用保険料や社会保険料は別途エクセルで管理して支払処理をしています。
⑤3月賞与は「賞与○円」で数値を入力しているため、賞与算定基礎のうち扶養手当、調整手当分を算出し②に含めて処理

(後略)

◆2. 総務の森に寄せられた返信はこちら

●回答①

(前略)

書かれた内容で問題ないと思われます。
注意点とすれば社会保険料等が年調時に正しく集計されるように処理することでしょうか。
手取を減らすのではなく社会保険料枠内での処理が必要ですので留意してください。

(後略)

●回答①への返信

ありがとうございます。
年末調整まで影響するので、返還方法を考えるのが大変でした。

(中略)

社会保険料等、注意して処理します。本当にありがとうございました。

>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『扶養手当等の過支給に関する処理について

【関連記事】自社の給与や手当が適切か見直そう!

働き方改革に伴い、同一労働同一賃金の制度がスタートしました。これは簡単に言ってしまえば、同じような働き方をしている人には同じような待遇をすることを義務づけるものです。同一労働同一賃金を踏まえて、会社の給与体系は適正に制度設計されているでしょうか? また、その運用は適切になされているでしょうか?

下記記事では、自社の給与体系を可視化し、見直すための1つの方法でもあるモデル賃金について解説しています。

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