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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 就業規則の変更で従業員とのトラブル回避に必要な「合理性」とは?
就業規則 就業規則変更 トラブル

就業規則の変更で従業員とのトラブル回避に必要な「合理性」とは?

2021.03.05

就業規則は会社のルールブックです。ですが、会社のルールは、経営環境や社会情勢等の様々な変化に応じて、就業規則も変更されていくものです。

コロナの感染拡大の影響を受けて、テレワーク規定を新たに定めたり、休暇制度や賃金規定を見直したりした会社も多いのではないでしょうか。また、数年前からの働き方改革関連法の施行に伴って、就業規則の変更を行った会社も少なくないでしょう。

ところで、就業規則の変更のうち、ある程度大きく変更を行うような場合には、以下に挙げる3つのポイントを押さえていただけたらと思います。

  • ポイント1 従業員の生産性や士気が上がるものに変更する
  • ポイント2 会社に不利益をもたらす可能性のある者にとって居心地の悪いものに変更する
  • ポイント3 変更が無効とならないようにする

仕事を頑張れば、あるいは個人の能力や会社の業績が上がれば、こんなに良いことがあるんだと示せるような就業規則にしたいものです。

向上心のある者にとってワクワクするような就業規則になれば最高です。

また、会社がどのような人やどのような行為を高く評価するのか、会社がどこを目指し、従業員にどこを目指して欲しいのかを示し、賃金や昇格・昇級もそれに合ったものにすることで、会社の目指す方向とベクトルが合致した従業員はますます頑張るようになり、それに合わない従業員やそれに従わない従業員は、おのずから会社を去っていきます。

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就業規則の変更

就業規則の変更は、労働条件や労働契約内容の変更であり、変更には原則、従業員との合意が必要です。

そのため、就業規則の変更を行う場合には、変更内容について従業員にきちんと説明し、理解を求めるよう努めなければなりません。

もし、変更について合意を得られない場合には、後で述べる“変更の合理性”が必要になります。

ところで、労働基準法第90条に就業規則の変更についての定めがあります。

第九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

ただし、意見の聴取が就業規則変更の効力の発生要件という訳ではありません。また、その意見に拘束されるわけでもありません。

意見を聴取せずに就業規則変更を行った場合には労働基準法90条違反となりますが、だからといって、就業規則の作成・変更が無効となるわけではありません。

作成あるいは変更した就業規則を従業員に周知すること、これが効力発生要件です。

変更は合理的でなければならない

しかし、労働契約法9条・10条において、就業規則の不利益変更について、以下のように定められています。

※ 労働契約法とは労使の権利義務関係を定めた民事的な法規であって、その違反について行政機関等が監督指導を行うことはなく罰則もありません

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

ところで、この労働契約法9条でいう「労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更すること」の“不利益変更”とは、どういったことを指すのでしょうか。

  • 就業規則の変更によって利益を得る労働者と不利益を受ける労働者がいる場合には、これは不利益変更となります
  • 労働者個人でみたときに、就業規則の変更によって利益を得られる部分と不利益を受ける部分がある場合、たとえ、利益が大きく不利益がほんの少しだったとしても、これは不利益変更になります
  • 就業規則の変更によって、労働者のだれかに不利益が生ずる可能性がある場合にも、不利益変更となります。

こう考えていくと、就業規則の変更は、ほとんどの場合に不利益変更ということになります。

しかし、法は、不利益変更を禁止しているわけではありません。不利益変更を行う場合には、変更が合理的なものでなければならないとされているのです。

就業規則の変更は会社が一方的に行うことができますが、変更が合理的でなければ、その変更は無効となります。

では、合理的かどうかの判断は、どのようにするのでしょう。変更が合理的であるかの判断は、労働契約法10条に定められている通り、以下の要素を考慮して考えます。

  1. 変更によって労働者が受ける不利益の程度
  2. 労働条件変更の必要性
  3. 変更後の就業規則の内容の相当性
  4. 労働組合などとの交渉の状況
  5. その他、就業規則の変更に係る事情

ただし、一義的には、会社が行った変更は合理的であると考えられ、周知によってその変更は有効となります。

それに対し、変更に納得がいかない従業員は、変更が合理的でないとして裁判で変更の無効を争うことになります。

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変更の合理性のハードル

変更項目によって、変更の合理性のハードルは変わります。

たとえば、賃金や賞与・退職金を引き下げるような場合、ハードルはかなり高くなります。これらの変更は、”高度の必要性”に基づいた合理性を要するとされているからです。

それに対し、個人情報取り扱いやハラスメント行為に対して厳しく対応するような変更については、社会の関心の高まりもあって、ハードルはそれほど高くはならないでしょう。

変更の際には、その変更事項がどの程度のハードルの高さなのかを見極め、そのハードルの高さに見合った措置を講ずる必要があります。

とはいっても、その見極めはとても難しいですし、一律に線引きできるものでもありません。

そして、注意しなければならないのは、もし裁判になったとき、裁判所は保守的な判断をしがちだということです。社会の変化はダイナミズムであるにも係らず、裁判所の判決はその変化に追いついていません。

相変わらず、昭和の判決そのままに、過去の判決を踏襲した過去の価値観に縛られたような判決が多いのが実情です。

そこに、会社・経営者側の考え方と、裁判所の考えの大きな乖離があると感じます。とはいっても、裁判所の判断・考え方を無視することはできません。裁判所の考え方を考慮しながら、就業規則の変更を行っていく必要があります。

変更の際、会社が行うべきこと

そこで、我々ができることとして、就業規則の変更の際には、可能な限り以下のようなことを行っていきましょう。

  • できる限り労働者の不利益の幅を抑えること
  • 役員報酬の減額など、取締役らも不利益の痛みを分け合うこと
  • なぜ変更が必要なのかを説明できるようにしておくこと
  • 不利益を被る者への代償措置や経過措置を設けること
  • 従業員との誠意ある交渉やきちんとした説明を尽くし、理解を求めること
  • できるだけ多くの従業員から変更への合意を取ること

最初に述べたとおり、就業規則は会社のルールブックであり、上手に使うことで、従業員の能力や士気を向上させ、会社の業績を向上させます。

ですから、会社は積極的に就業規則の変更を行っていくべきです。

日々、ブラッシュアップしていくようなつもりでいましょう。ただし、その際には、就業規則の変更によって不利益を受ける従業員への配慮も忘れないでください。

*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

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