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テレワーク ルール

準備不足はトラブルの原因に…?テレワークを導入する際の課題と対策

2020.10.09

新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらない昨今、在宅勤務などオフィス以外の場所で働く“テレワーク”の必要性が高まってきています。

しかし、これまでは会社での勤務が当たり前であり、テレワーク制度を導入していなかった企業にとっては、いざテレワークを開始するとしても何から手を付けたら良いのか分からないというケースもあるでしょう。

今回は、テレワークを実際に導入していくにあたって直面する課題や、そのための対策法について、テーマ別に順を追って解説をしていきます。

社内システムの見直し

自社の状況を正確に把握することがテレワーク導入にあたり不可欠です。中途半端な状態で見切り発車をしてしまうと、とんでもない事態に陥る危険性があります。

テレワークを実施するためには、当然ながらインターネットの環境が必要です。世界中で急速にIT化が進んだことや、パソコン・スマートフォンの所持率が増加したことにより、どの会社でもある程度はインターネットの活用をしながら業務を進めていることでしょう。

導入を検討している場合、まずは社内のインターネット環境はどのような状況かを確認しましょう。外部のクラウドシステムを利用している場合であれば、アクセスをする場所が自宅へ変わったとしても社内のシステムを利用することはほぼ可能になるはずです。

一方、自社のシステムを活用している場合は、在宅でのテレワークが可能かどうかを検討します。在宅勤務が難しい状況なのであれば、早急に対応策を講じる必要があるでしょう。

パソコンの持ち出しについて

テレワーク実施の環境を把握したところで、次は社内でのパソコン利用状況について確認をします。在宅勤務をする社員に対して会社からパソコンを支給するのであれば、支給するパソコンのセキュリティ対策が必要になります。

注意点としては、パソコンは会社のものであっても、利用するインターネット回線は各社員宅の負担になるということです。あらかじめ、会社と社員の間でのインターネット利用量の負担割合についても決めておく必要があるでしょう。

法律では、この負担割合についての明確な規定はありませんが、事前に決めておくことで無用なトラブルを防ぐことになります。

一方、社員自身が自宅で利用するパソコンを使って業務をさせる場合については、社員がどのようなセキュリティ対策を取っているのかを確認する必要があります。その上で、不安があるのであればそれなりの対策を取らなければならないでしょう。

その際のセキュリティ費用やインターネット利用料についても、会社支給パソコンの場合と同様に負担割合の取り決めが必須となります。

テレワーク時の労働時間

在宅勤務を実施する場合、社員が実際にどの時間帯にどれほどの仕事をしているのかを直接確認できないという課題があります。これに対応するための方法として、テレワークに対応した新たな勤怠管理に関するルールを定める必要が挙げられます。

まず、自社の就業規則にテレワークに関する取り決めを盛り込みます。テレワーク関連のルールのボリュームが大きい場合は、別途“テレワーク規程”を作成する方法も有効です。具体的には、在宅勤務の社員の労働時間は統一するか、フレックスタイム制を導入するなど、労働時間に関するルールや、休憩時間をどのように与えるかといった内容があります。

また、在宅勤務時にありがちな「ちょっと席を外したい」という中抜け時間の扱いをどうするか、という内容も挙げられます。原則として、会社の指揮命令下から抜けている時間については、労働時間扱いにはなりませんので、①休憩時間扱い、②労働時間の繰り上げ・繰り下げ、③有給休暇扱い、といった方法を検討し、社員へ周知する必要があります。

テレワーク時の勤怠管理

テレワーク時の労働時間に関するルールがある程度定まった段階へ入ると、次は社員の勤怠状況をどのように把握するか、という課題に直面します。

テレワークを実施している社員の勤怠管理法としては、紙媒体やタイムカードへの打刻というアナログな方法から、エクセルやクラウド上での勤怠管理システムへの入力、アプリを利用する方法など、その種類は多種多様にわたります。自社の体制に沿った方法を検討し、社員が負担なく続けられる方法を導入しましょう。

コミュニケーション不足の解消

テレワークの実施が続くにつれ、上司や部下、同僚と直接対面し、会話をする機会は減少します。電話やメール等は、顔が見えない状態で相手とやりとりするため、意思疎通が思うようにできない場合や誤解を招く対応を取ってしまう危険性があります。

このような事態に対応するため、さまざまなコミュニケーションツールを活用していきましょう。メールやチャットなどを活用したオンラインでの交流はもちろん、テレビ会議などお互いの顔を見ながらの行う打合せの場を定期的に設ける方法が有効になります。

顔が見えることで互いの状況を把握しやすく、また、テレワーク中に一人自宅で勤務を続ける社員の不安感もかなり解消されるはずです。

テレワークを円滑に進めていくために

ここまでの項目では、テレワークを導入・実施していく際に生じる問題点への対策法をお伝えしてきましたが、それに加えて重要なポイントとして、“経営者側の意識改革が必要である”ということが挙げられます。

テレワーク化が進むと、経営者が使用者である社員の性格や仕事能力などを把握する機会も減ることになるため、当然ながら仕事の割り振りがこれまで以上に困難になります。そのためには、通常の業務の適正に加え、在宅でパソコンの使いこなすための能力も加味して考えなければなりません。

また、社員も一人の人間であるため、それぞれ性格が異なります。その社員がテレワークに向いている性格かどうかの判断もした上で、適材適所の人事配置を検討する必要があります。

経営者には、全社員が安心してテレワークで仕事を進められる環境づくりに取り組む姿勢が求められることを知っておきましょう。

*asiandelight / PIXTA(ピクスタ)