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経営 中小企業

経営効率を上げるために“中小企業”から『中堅企業』に成長する道とは

2020.10.12

2020年9月現在、日本政府が掲げている、成長戦略のKPIと進捗状況は下記の通りです。

この中に、「中小企業から中堅企業に成長する企業が年400社以上となること」という目標があります。“中小企業を中堅企業に成長させること”の狙いは、本来成長できる余力を持っているにもかかわらず、法律上の中小企業の括りに留まっている企業群を成長させて国全体の労働生産性を向上させることにあります。

国の労働生産性を決めているのは大企業と中小企業の割合、つまり、産業構造に起因する部分が大きいと考えられます。実は、日本の大企業の労働生産性は諸外国と比較しても特段見劣りする様な低さではありません。

一方で、日本の企業の99.7%を占める中小企業群の労働生産性はというと大企業の半分以下となってしまっているという事実があります。その結果、ここが日本全体の労働生産性を引き下げてしまっていると考えられているのです。

中小企業の中でも特に小規模企業の割合が多い

生産性

「令和2年度版中小企業白書」を参考に筆者作成

こちらは、令和元年度版中小企業白書から、企業規模別の労働生産性比較としてみた場合の、大企業と中小企業のその推移を筆者がまとめた図です。

データは製造業と非製造業を分けていますが、業種間では大きな違いはありません。一方、企業規模別で見ると、中小企業は大企業の半分以下の労働生産性となってしまっているのを確認できます。このような大きな差はなぜ生まれてしまっているのでしょうか?

理由は、先に触れた産業構造の部分にあります。確かに日本の企業の内、99.7%は中小企業に分類されているのですが、これをもっと細分化すると、いわゆる中小企業基本法で規定されている中小企業が、20人以下(製造業、その他)/5名以下(商業、サービス業)という従業員数で規定される小規模企業とに分かれているのが確認できます。

規模別産業構造

出典: 「中小企業の規模」(経済産業省)を参考に筆者作成

そして、99.7%といわれている中小企業ですが、内訳の87%は、実はこの小規模企業にあたります。つまり、日本の中小企業は、ほとんどがこの小規模企業に分類されるのです。そして、従業員数と付加価値創出額の占める割合をみると、国全体の労働生産性を向上させてゆくという観点からは、小規模企業にカテゴライズされる企業が、どこからどうみても非効率なのが理解いただけるかと思います。

では何故、小規規模企業の付加価値創出が低くなってしまうのかというと、いわゆる成長のための投資活動を行って(行えて)いないためです。例えば、従業員数5名以下の少人数の企業などでは、経営の余裕の無さにより、生産性の向上に寄与すると科学的に根拠づけられている投資であるインフラなどへの設備投資が小さくなってしまったり(これを資本装備率が低下する、といいます)、同様の理由で、Off-JTなどの人的資本への投資などもしにくくなってしまったりするからです。

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中小企業が中堅企業に成長するためには?

さて、はじめの部分のキーワードに戻ります。政府の目標の“中小企業を中堅企業に成長させる”というのは、この小規模企業を含めた中小企業全体を“中小企業基本法上の中小企業”以上(経済産業省の定める中堅企業の定義 は、欄外に別記)に成長させる事を指しています。また、それと併せて、小規模企業を成長させて数を減らし、M&Aや事業承継により経営の質(「経営者の質)として後述します)を上げる狙いもあると思われます。

※経済産業省の定める中堅企業の定義:製造業/農林漁業/鉱業/建設業/その他/ 資本金3億円超10億円以下、卸売業/資本金 1億円超 10億円以下、小売業/サービス業、資本金5千万円超10億円以下

そうすると次には、どうやってこれらを実現してゆくのか、という疑問が浮かび上がります。この解として挙げられるのが、現在の中小企業の中に存在している、中堅企業に成長が可能な規模やフェーズにいるにもかかわらず、意図的に成長をしていない企業群です。

これらの企業の成長を促進すれば、この目標は比較的容易に実現が可能となり、ひいては生産性の向上に寄与していけるというわけです。では何故、成長ができるのに中小企業の基準にとどまっているのかというと、現在の中小企業基本法は、“中小企業は弱者なので守るべき”という考えから、法律上の中小企業に税制をはじめとした様々な優遇施策を図っているためです。

そのため、これを超えて成長してしまうと、それまで受けていた優遇が受けられなくなってしまうので、自ら成長を抑制するインセンティブが働いてしまっているのです。

これらの状況を解決してゆくために、国会では『中小企業成長促進法』という法案が2020年6月に可決されました。この法案には、事業承継による中小企業の事業承継の際の経営者の個人保証を不要にする制度や、M&Aなどにより中堅企業に成長した後も中小企業支援施策が継続される制度等が盛り込まれています。

これまでの、雇用の維持などを目的とした小規模企業の数を維持するのではなく、M&A等での合併による企業数の減少を認めることにより、企業規模の拡大を促して生産性を向上させる、つまり中小企業の数ではなく規模(質)を追い求める方向性への転換をした、という訳です。

経営者交代には経常利益率に影響あり

最後に、M&A等によって経営者が交代した場合、生産性の向上にどの様に寄与するのかというのを確認して纏めたいと思います。下の図は、経営者の交代があった企業のパフォーマンスの差です。ここには載せませんが、年代別のパフォーマンスの差もあり、交代後の新しい経営者の年代が若いほどパフォーマンスがあがる(50代以降の交代では、パフォーマンスには相関が見られない)という事がわかっています。

多くの中小企業は、これまでも、そしてこれからはなお成長が期待されています。法案の施行は一部を除き可決から半年以内で施行される予定です。補正予算での中小企業生産性革命推進事業(IT補助金、ものつくり補助金等のバックボーンになっている事業)の強化も同時に進められています。

経営者のみなさま、活用出来るものはバンバン活用して、成長を目指してしてゆきましょう。

【参考リンク】

・中小企業生産性革命推進事業による「事業再開支援パッケージ」
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200522002/20200522002.html
中小企業成長促進法案
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiiki_keizai/pdf/018_03_02.pdf
中小企業成長促進法
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/soukai/2020/download/200727HS02-1.pdf
経済産業省 企業の規模
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chushoKigyouZentai9wari.pdf

*kou / PIXTA(ピクスタ)

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