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安否確認 事業継続

被災したときに業務継続の核となる「安否確認サービス」とは

2020.10.29

企業は被災するリスクにさらされている

日本は、集中豪雨や台風、地震による災害が多い国です。また、新型コロナウィルスの感染拡大は未だ続いていて、今後、事業所内でクラスターが発生するかもしれませんし、いつ、パンデミックが発生してもおかしくありません。ほかにもテロやサイバー攻撃などについても、いつ被害に遭うか予測がつきません。

たとえ、自社が被災しなかったとしても、取引先が被災することにより事業が停止してしまうことだってあり得ます。

このような不測の事態に見舞われた時に備えて、リスク管理ができていますか?

場合によっては倒産もー事業継続計画(BCP)の必要性

企業が被災し、復旧が遅れれば、多くの顧客を失うことになります。一度失った顧客を取り戻すことは容易ではありません。

また、自社の復旧の遅れによって、サプライチェーン全体が止まり、広範囲に影響を及ぼすことも考えられます。当然、経営は悪化するでしょうし、場合によっては倒産に陥る可能性もあります。

企業には、緊急事態時の自らの生き残りと、顧客や社会への供給責任等を果たすため、重要な事業の継続や早期復旧が求められています。それは、顧客からの信用の維持と市場関係者からの高い評価へとつながります。

このような緊急事態から会社を守るためには、“事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)”が有効と考えられています。

事業継続計画とは、企業が緊急事態に遭遇したときに、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、重要な事業を中断させない、あるいは中断しても可能な限り短期間で復旧させるための方針や体制、方法・手段・手順等をあらかじめ取り決め、それを文書化した計画のことを指します。

防災計画では、災害による被害を軽減することに重点が置かれていましたが、事業継続計画では、被災後の事業の継続や早期復旧も視野に入れています。言い換えれば、BCPとは、会社が緊急事態を生き抜くための計画です。

ここで重要となるのが、以下の事項です。

1.優先的に継続または早期復旧を必要とする重要業務を特定する。

2.当該業務をいつまでに復旧させるのか、目標復旧時間などを定めておく。

3.それを実現するために必要な経営資源を特定し、確保に努める。

緊急事態時には、限られた人員や資機材の範囲内で事業を継続させなければなりません。したがって、優先的に製造や販売する商品・サービスをあらかじめ定めておく必要があります。

また、それぞれの重要業務について、停止が許されると考える時間の許容限界を推定し、その許容限界よりも早く復旧しなければ、顧客を失い、事業は縮小してしまうでしょう。

復旧の際に必要な経営資源としては、人員、事務所や工場などの拠点、工程、機械、金型、工具、原料・部品、サービス、ライフライン、物流、データ、システム、資金などが挙げられます。

この中でボトルネックとなるものについては、被害の軽減や早期復旧に向けて、事前に対策を施しておく必要があります。

人員確保のために安否確認

経営資源の中でも、特に重要となるのが人員の確保です。人員の確保ができなければ、事業の継続や早期の復旧はあり得ません。そのための対策として、以下のようなものが挙げられます。

・重要業務の継続に不可欠な人員に対する代替要員の確保や事前育成・事前トレーニング

・応援者受け入れ態勢や手順の構築

・従業員の安否確認方法の確立

被災時の人員の確保については、第一に従業員の安否確認を行います。従業員が出社することができるか、あるいは、在宅やテレワーク等が可能な状況であるかを確認します。

誰がいつから仕事への復帰が可能かを把握することによって、代替要員の要請や事業再開の目途を立てることができます。

緊急事態時には、初動対応のためのさまざまな情報収集が必要になりますが、従業員の安否確認情報は、情報収集の中でも最も重要な事のひとつです。

安否確認の方法

従業員の安否確認をする方法は確立していますか?

普段連絡を取る際は、本人に直接電話をかけて確認すればいいですが、緊急事態時には電話が繋がりにくくなります。さらに、従業員数が多い企業では、電話というアナログな方法では、多大な時間と労力がかかります。

また、携帯電話を使う場合でも、直接電話をかけるのではなく、NTTの災害伝言ダイヤルや携帯電話各社が提供している災害用伝言版などを活用して安否確認を行う方法も考えられます。そして、現在では、いろいろな企業が安否確認サービスを提供しています。安否確認サービスの主な機能として、以下のようなものがあります。

・一斉配信機能

これは、メールなどによって、安否状況確認や伝達事項を従業員に向けて発信するものです。

あらかじめ設定した災害が発生した際に自動で送信されるもののほか、管理者などの手動配信のものもあります。

・安否確認の回答集計機能

従業員からの安否確認への回答結果を自動集計します。

また、未回答者への再送を行ったり、GPS機能を利用して、従業員の位置情報を把握できるものもあります。

ほかにも、掲示板機能や音声通話での安否確認機能や従業員家族の安否確認機能などを提供しているサービスもあります。

安否確認サービスによって、対応している災害に違いがありますし、オプションサービスにもさまざまなものがあるため、初期費用や利用料金はそれぞれです。また、安否確認の回答の操作性にも違いがあるので、サービスを選ぶ際は下記の点を考慮しましょう。

・操作が簡単かどうか

・回答に対する従業員の負担が少ないかどうか

・平時に安否確認の模擬訓練ができるかどうか

操作性や負担についてはもちろんのこと、事前に登録されたメールアドレスへきちんと送信されているか、操作手順を間違えずにきちんと回答できているかといったことを確認するのは重要なので、模擬訓練が行えるものがオススメです。定期的な訓練を行うことで、従業員は使い方に慣れ、いざ災害が発生したときには、スムーズに安否確認を行えるようになります。

企業規模や料金、オプションを含めたサービス内容等から、それぞれの会社に適した安否確認サービスを選択していくことになります。

BCPについては、人員不足がボトルネックとなることが予想され、その対策のための人員の確保は最重要事項です。そのために必要な従業員の安否確認について、今からきちんと方法を確立しておきましょう。

*KazuA / PIXTA(ピクスタ)