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ハラスメント パワハラ

2020年6月に新施行!パワハラ防止法について徹底解説

2020.10.08

昨今、あちこちの企業で問題視されているパワーハラスメント、いわゆる“パワハラ”への対策として、2020年6月に“パワハラ防止法”が新たに施行されました。この法律では、パワハラに該当する行為の概要や、社内でのパワハラを防ぐために企業側がすべきことについて定められています。

今回は、このパワハラ防止法を正しく理解し、社員が安心して働くことのできる環境を整えるための対策法について考えていきましょう。

【こちらの記事も】パワハラ対策のまとめ

パワーハラスメントとはどのようなものか

まず覚えておかなければならないのが、パワーハラスメント(パワハラ)とはどのような行為を指すのか、でしょう。というのも、パワハラに該当する行為を正しく理解しておかなければ、パワハラを防止することができないためです。

国では、パワハラに該当する行為について、それぞれ以下の3つの内容を定義づけています。この3つの内容がすべて揃った場合、その行為はパワハラ扱いとなるのです。

(1)優越的な関係を背景とした言動

分かりやすい例としては、会社の上司が部下に対して嫌がらせ行為をすることが挙げられますが、中には同僚同士のトラブルが発端となる行為や、部下から上司に対する行為なども該当します。つまり、パワハラが起こる要因は、地位や権力だけではなく、人間関係や社員個々の能力、経験値なども含まれるということを覚えておきましょう。

(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

職場内では、業務を的確に進めるために様々な指示や指導が飛び交うものです。中にはその指示・指導を不満に思う社員がいる可能性もありますが、その指示や指導が“業務上必要であり、適正範囲内”であれば、これらはパワハラには該当しません。

企業側の対応としては、日頃の指示や指導がパワハラに該当していないことを証明するためにも、業務上で必要な内容や適正とみなされる範囲を明確にしておくことが必要となります。

(3)労働者の就業環境が害されるもの

社内で嫌がらせ行為やいじめを受けることで、社員が精神的苦痛を受けて休職するなど、安心して業務を進めることができない立場に置かれる状態をいいます。なお、特定の社員に対する嫌がらせ行為を正当化するため、たまたま側にいた別の社員に「お前もいけない」などと、いわば見せしめのような行為として叱責を加えた場合などは、その別の社員に対する行為もパワハラの要素として扱われます。

パワーハラスメントの具体例とは

前述したパワハラの定義について、もう少し具体的な例を見てみましょう。主なパワハラ行為には、次の内容が挙げられます。

・身体的な攻撃:殴る蹴るなどの暴力や、物品を投げつける

・精神的な攻撃:大勢の前での長期にわたる叱責や威圧、人格否定の言動

・人間関係からの切り離し:集団での無視行為、別室での隔離

・過大な要求:社員教育や指示をおろそかにした上での業務付与、理不尽な課題業務の指示

・過小な要求:わざと業務を与えない、能力や経験に見合わない業務の強要

・個の侵害:プライベートの暴露、職場外での監視行為

パワハラ防止法で定められた企業の義務とは

ここまでの項目では、パワハラとはどのような行為なのかを理解することができたと思います。ここでは、パワハラのない職場づくりのために、法律で定められた企業側が守るべきルールについて説明をします。

(1)「パワハラ防止に関する社内方針」の明確化、周知・啓発

社員にパワハラに該当する行為について研修などで正しく周知させ、これらの行為を禁止することを明確にします。また、パワハラを起こした社員に対する処罰の内容などもあわせて就業規則などでルール付けをします。

(2)苦情相談窓口などの設置

パワハラ被害を受けた社員が安心して相談できるような窓口担当を設け、その相談内容に応じて対応するための体制を整えます。

(3)再発防止策の実施

二度と同様のパワハラが起こらないような対策措置を講じます。

(4)パワハラ被害者に対するアフターケアなどの対応

パワハラ被害者が安心して職場に復帰できるようなアフターケアや、プライバシー保護に関する対策を実施します。また、パワハラ被害を訴えたことによる不利益取扱いを禁止するなどのルールも設ける必要があります。

パワハラ防止法に関する罰則とは

パワハラ防止法で定められたルールが“義務”づけられているのは、2020年6月の法律施行時点では大企業のみで、中小企業などは“努力義務”とされています。2022年4月以降には、中小企業等に対しても義務づけられる点に注意が必要です。

また、この法律を遵守しなかった際の具体的な罰則は施行時点では設けられていませんが、問題の企業に対して助言、指導、勧告の実施がなされる可能性があります。

パワハラを防止するために行うこと

職場内でパワハラが起こる原因には、雇用形態や地位、業務内容、賃金面の待遇が原因で発生するケースが多くみられます。

まずは企業側・社員ともにパワハラについて正しく理解をしましょう。そして、社員同士がコミュニケーションを充分に取れるような環境づくりや人間関係のトラブルをすぐに相談できるような窓口の充実が企業側に求められています。また、適材適所に人員を配置できるよう、常日頃から社員の様子に目を配る必要もあるでしょう。

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*freeangle / PIXTA(ピクスタ)