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コミュニケーションツール

デジタル化の第一歩:社内コミュニケーションツールを選ぶ【目指せ!経理のデジタル化第2回】

2020.11.30

経理部の仕事の基本は、社内で行われるあらゆる事業活動を金額という物差しを使って記録し、決算書やその他の定められた書式にまとめ、経営者や社外の関係者に報告することです。

製造部や営業部のように何かをゼロから産み出すことは求められませんが、目の前にある材料をいかにミスなく正確に処理するかが要求される部署です。

また、昨今のように、目まぐるしく経営環境が変化する時代にあっては、いかに早く月次試算表を作成できるか、というスピードも大切です。

そこで経理業務のために必要な情報を、いかに正確にかつ効率的に取得するかが、経理のデジタル化の第一歩です。

経理業務のデジタル化の前に事業活動の情報を収集

経理部は、社内のあらゆる部署から、事業活動に関する情報を収集する必要があります。そのための社内システムを構築しなければなりません。まずは、現状の洗い出しをしましょう。

経理部が必要とする情報には、たとえば次のようなものが考えられます。

①売上に関する情報
②支払に関する情報
③契約に関する情報
④人事に関する情報
⑤投資に関する情報
⑥財務に関する情報

まずはこれらの情報を、現在どのような形で経理部が取得しているか、フローチャートに書き出します。

そして、フローチャートの中に紙媒体に頼っている部分はどこか、今後電子化できるのはどこか、電子化する場合のツールは何にするか、などを検証していきます。

順番に見ていきましょう。

①売上に関する情報

ここで必要な書類としては、見積書・契約書・注文請書・納品書・請求書・入金確認(通帳など)といったものがあります。これらの情報をデジタルで収集できるかがポイントになります。

②支払に関する情報

ここで必要な書類としては、稟議書・契約書・発注書・納品書・請求書・領収書・納付書・仮払精算書などが一般的です。

③契約に関する情報

未収金のうちどの部分を今期の売上として計上すべきかなど、契約の内容に応じて、会計処理が異なってくるため、経理部は全ての契約書に目を通す必要があります。

またリース契約や融資など、約定に応じて支払が発生するものは、会計処理のエビデンスとして、契約書が重要です。

④人事に関する情報

毎月の給料計算明細や年末調整の結果などです。

年金事務所に提出した賞与支払届や労働保険料の申告書なども、会計処理のために必要です。

⑤投資に関する情報

有価証券や不動産を購入したり売却したりした際の契約書や精算書、車両やソフトウェアなど10万円以上の資産を購入した場合の見積書・契約書や請求書など。

⑥財務に関する情報

融資に関する契約書や返済予定表、増資の際の議事録や株主名簿、貸付に関する契約書や返済計画書など。

経理業務のデジタル化には社内業務すべてのデジタル化が必要

ここで皆さん、お気付きになったと思いますが、経理の業務をデジタル化するためには、社内全ての業務のデジタル化も検討する必要があるのです。

たとえば、経理で最もデジタル化が難しいのは、②の領収書、特に現金払いの小口領収書ではないでしょうか。領収書を発行するのは、他社であり、また領収書の規格も大きさも多種多様だからです。

契約書や支払請求書も他社の協力なくては、紙ベースでの作成をなかなか廃止できません。

まずは自社で完結するところからデジタル化を

現実的にいきなり全ての情報をデジタル化するのは、難しいという会社も多いかも知れません。そこでまずは自社でできる部分から、電子化を検討していきます。

たとえば①の売上に関する情報は、自社内で電子化を完結できるので、まずはここから取り組むと良いでしょう。見積書や納品書、請求書などの取引書類は、パソコン上で作成し、相手方にはPDF形式で電子メールに添付して送信するだけで、紙ベースを廃止することができます。

この時、経理部にCCしておけば、情報の共有はできますが、それでは経理部スタッフの負担が大きくなり過ぎるので、注意してください。コミュニケーションツールの導入も有効となります。

コミュニケーションツールの導入も検討を

社内で情報を共有するためのコミュニケーションツールは別途考える必要があります。現在、一般的に使われている主な社内コミュニケーションツールには、次のようなものがあります。

①Chatwork

メイドインジャパンのチャットツール。グループチャットだけでなく、タスク管理、ファイル共有などが簡単にできます。

②Microsoft Teams

グループチャットやファイル共有が簡単にできます。wordやexcelなどのMicrosoft Office製品と連携している点が便利です。

③Dropbox Business

世界50万以上のチームで使われているサービス。

Google ドキュメント、スプレッドシート、Microsoft Officeのファイルだけでなく、Zoom やSlackもまとめて管理できます。

④Slack

世界100ヵ国以上で使われているチャットツール。チャンネル機能を使ったグループチャットが便利です。

⑤サイボウズOffice

国内シェアNo1のグループウエア。社内コミュニケーションはもちろん、スケジュール管理やリモートでの決済が簡単にできます。

⑥Kintone

タスク管理に優れたツール。ワークフロー機能や、ログ管理機能で、仕事の進捗と担当者を一目瞭然に見える化できます。

これらのツールは、搭載されている機能やユーザビリティが少しずつ異なっています。せっかく導入しても、従業員に使いこなせなければ意味がありません。各ツールとも、無料版やお試し版があるので、まずはダウンロードして、自社に最も適したツールを導入することが肝心です。

また経理で使用する情報を電子化して保存するためには、事前に税務署への届出が必要です。

次回は、電子帳簿保存法についてお話します。

* jessie / PIXTA(ピクスタ)