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だから離職する! 離職率を下げるためのすべき3つの工夫

2021.01.20

世界中で不安定な経済情勢が続いており、各企業の経営者・社員ともに、日々の生活に不安を感じている者も少なくないでしょう。このような状況の中、社員の離職に悩む経営者の方もいるのではないでしょうか?

終身雇用の風潮は徐々に薄れ、若い世代の社員の中には転職を繰り返す人も増えました。このような社員にとって、職場環境を変えることはそれほど抵抗がないのかもしれませんが、経営者にとっては企業の戦力となるよう育ててきた貴重な人材を失う事となり、それまでの教育という投資が失われる大きな損失になってしまいます。

今後は、社員が簡単に離職をしないような環境づくりや工夫をすることが企業の存続にとって重要な施策のひとつになるでしょう。

ここでは、離職率を下げるための方法やコツなどについて、実例を交えて伝授していきます。

離職の数ではなく、その理由を読み解くべし

社員の離職は、企業にとっては戦力ダウンという意味合いから、単純に離職の数だけで物事を図ってしまいがちです。しかし、離職数には業界の規模や会社規模の大きさや受け入れる社員数なども影響しています。したがって、一概に“離職数が多い=企業側の問題”と断定はできません。

重要なことは、離職の数ではなく離職の“理由”でしょう。

社員が離職を決意するハードルが以前よりも下がったとはいえ、依然として今後の人生を左右する一大決心であることは変わりありません。それでも、あえて離職という選択をするからには、それなりの理由が存在します。

1.より良い待遇を求めるための離職

たとえば、優秀な社員が「自身のキャリアアップのため」に離職を申し出る場合、その企業側の問題としては主に以下の理由が挙げられます。

・社員に見合った仕事を与えられていなかった

・社員が満足の行くポジションに就いていなかった

・社員の能力に見合うだけの給料を払っていなかった

これらの問題に対応するためには、根本的な人事考課システムの見直しが必要になります。仕事の配分や昇進システム、賃金制度の再構築も求められるでしょう。

しかし、企業の根本的な制度を改革することは容易ではありません。このようなケースで離職をする社員が続くような場合は、離職希望社員に加え、既存の社員も含めて社内でヒアリングをすると良いでしょう。

特に優秀な社員を失うことは、企業にとって大きな損失です。時間はかかるかもしれませんが、社員一人ひとりに聞き取りを行うことで、不満点や改善点が少しずつ見えてくるはずです。また、ヒアリングの実施により、社員側へ「会社は自分たちの事を考えてくれている」という安心感を抱かせるきっかけになり、少なからずモチベーションアップにつなげる効果もあるでしょう。

2.人間関係トラブルによる離職

人間が複数集まれば、もめ事が発生する可能性も高まります。ましてや、性別や年代、考え方の異なる人間が多く集まって仕事を進める必要のある職場の場合、人間関係に嫌気がさして離職を希望する社員も少なくありません。

たとえば、大勢の人間が一堂に集まることが多い工場勤務や、内勤勤務のような常に同じ人と過ごす職場では、仕事の進め方や性格の相違、好き嫌いによるトラブルが発生する可能性があります。

このようなケースで離職を申し出る社員は、大勢の前では意見を押し通すことが苦手な性格である場合や、意見を言えないポジションに就いている場合が多く、「辞めてしまうのだからもういいや」と、本当の離職理由を明かさないまま辞めてしまう者も少なくありません。

離職希望者が意見を言う事を我慢する、もしくは諦めているかもしれない、という点を必ず頭に置いた上で親身になって話を聞き、原因を突きとめないことには、同様の離職が続く危険性があります。

3.待遇への不満から生じるトラブルによる離職

職場では、さまざまな者が混在して仕事を進めています。上司・同僚・部下という「異なるポジション」、そして正社員や契約社員、派遣社員やパート・アルバイトといった「異なる雇用形態」の者がともに働いている場合、お互いのポジションや雇用形態に対して不満を持つケースが多くみられます。

たとえば、正社員がパート・アルバイトに指示を出しながら仕事をするような職場の場合、パート・アルバイトが正社員の指示の出し方や仕事内容に不満を抱える場合があります。

また、同じ仕事を正社員と契約社員が行う場合、契約社員が正社員に対して待遇の差に不満を持つケースもあるでしょう。

このような不満により離職を申し出る社員が続く場合は、今一度『同一労働・同一賃金』という言葉の意味を考える必要があります。同じ仕事をしているのに、正社員とパートなどのように待遇が異なるだけで賃金などに差をつけてしまえば、賃金が低い立場の者は不満を抱えて当然でしょう。

企業は、それぞれのポジション・待遇に見合った仕事や賃金を与え、異なる立場の者が安心して仕事ができるような環境づくりに努めなければなりません。

これからは『テレワーク』環境の整備も重要に

ここまでは、実際に離職者が発生した際の理由から対策する方法を説明してきましたが、企業側では、今後も社員が安心して働くことができ、離職を選択しないための職場環境を整えていく義務があります。

その中でも、最も力を入れるべきポイントは“テレワーク(リモートワーク)環境の整備”でしょう。

毎日出勤をするということが当たり前ではなくなった昨今では、時間や場所を問わず仕事を進めることのできる環境が必要不可欠になりつつあります。

在宅勤務やテレワークを進めている企業の中では「必要な仕事を効率良く進められるようになった」「無用な人間関係トラブルが減少した」などの声もみられます。その一方で「直接コミュニケーションが取れず寂しい」などの不満を持つ社員が存在することも事実です。

「安心して勤め続けられる」環境づくりを

このような状況に対応するため、企業側では「いつでも・どこでも・安心して」コミュニケーションを取りながら仕事を進められる環境づくりを心がけなければなりません。

さらに、オンライン方式も活用しながら、定期的な社員のストレスチェックや面談を行うことで、「今後もこの会社で頑張ろう」と考える社員を増やすことができるはずです。

*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)