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コロナ禍を機に中小企業の生産性改革はDXで!業務のデジタル化で生産性向上を目指せ

コロナ禍を機に中小企業の生産性改革はDXで!業務のデジタル化で生産性向上を目指せ

2021.02.15

コロナ禍に対しての国や自治体、企業や個人の対応のあり方、考え方は、さまざまな意見があろうかとおもいます。ここではコロナ禍で中小企業の生産性が一層問われる中で、避けては通れない中小企業のデジタル化=デジタライゼーションの重要性を説明していきます。

コロナ禍で浸透するITツールの利用

コロナ禍が世界のビジネス環境を一変させています。感染抑止の観点からはまだまだ足りないと思われているテレワークの浸透率の実施企業の割合は、実に全国平均で24.7%となりました。

そしてそれを受けて、各企業のITツールの利用率が伸びています。矢野経済研究所の調べによると、Web会議システムの利用率は79.2%、ビジネスチャットツールは46.2%、オンラインストレージは37.4%となりました。

ITツールの利用によって効率化されたビジネスシーンの一部は、コロナ禍が明けても(正確には明けるという表現ではないかと思いますが)、もとには戻らずに、旧来のビジネスの一部をディスラプト(破壊)して、成長し続けると思われます。

典型的な例として、「Web会議」があります。世界の経済が元通りの規模で再稼働しはじめたとしても、出張や訪問面会の何割かは確実にWeb会議にリプレイスされ、ビジネス目的の交通機関の使用は確実に減ると思われます。なぜ元には戻らないのかと言えば、それはなんとなく誰にでもおわかりのとおり、その方が便利で経済性も高いためです。

社員ひとりあたりのIT投資は機械投資より有効

そして、企業の生産性向上の観点からも、ITツールの活用は有効です。

従業員一人あたりの設備投資(機械や設備への投資)の金額を示す「資本装備率」という指標があるのですが、狭義の資本装備率という意味あいで、ITツールの活用率をソフトウェア装備率やIT装備率と表現します。そして、資本装備率を上げることは、同じ労働量から産みだす付加価値を向上させることに寄与するため、生産性の向上に密接に関わっています。

ですので、資本装備率に大きな開きがあることが、大企業と中小企業との間の生産性の差を引き起こす一因でもあります。

令和2年度版経済財政白書によると、マンアワーあたりのIT装備率が生産性に与える影響は、全業種で機械装備率(従来の労働装備率)が与える影響よりも大きいことが明らかにされています。

IT投資は大企業より中堅以下の企業に効果的

そして、IT投資の恩恵は、大企業よりも中堅以下の企業の方が大きいという事がわかっています。みずほ情報総研の調べによると、製造業では大企業には相関が見られない一方で中堅以下企業には0.75%程度、また非製造業では大企業にも恩恵がありますが、やはり中堅以下企業の方が受ける影響の方が大きくなっているのです。

では、多くの企業はコロナ禍でのIT投資に関してどのように考えているのでしょうか?

下図は、ITR社の調べによるコロナ禍におけるIT戦略と実行への考え方です。2021年度の予測は、2020年度からのトレンドを引きついで大きくは変わらず、「大いに加速」「やや加速」の合計は、減速予測を上回っています。

半ば強制的に変化を迫られた結果、効果を実感している企業も多いためでしょうか、同調査ではリーマンショックを受けてマイナス値となった2009年とは様相が違うと纏めています。

図表5

出典: ITR

最後に、IT投資のトレンドを確認してまとめに入りたいと思います。同調査では、2020年の投資増減指数と、2021年の導入可能性についても確認しています。

図表6

出典: ITR

それによると、2021年に、中堅・中小企業にも導入しやすそうな投資分野の中で、最も多くの企業に導入されたのはビデオ会議/Web会議システムでした。また、Iaas(広義のクラウドサービス)、RPAなど、効率化がみえやすく生産性への寄与がわかりやすい技術から導入が進んだようです。

また今後の動向として、同じく中堅・中小企業にも導入しやすそうな分野としては、電子契約や電子署名、人材管理タレントマネジメントなどが注目分野として上げられそうです。

私が、投資分野として特に注目しているのは、広義の人材管理、つまりいわゆるHRテックと括られる分野です。冒頭のテレワークの浸透によって、物理的に同じスペースで過ごすことによって行われていた「コミュニケーション」はビデオ会議やチャットツールでその一部を代替されることとなりました。そして、物理的に同じスペースにいることで管理していた中で、最も重要な項目が勤怠管理や人材評価などです。

コロナ禍だからこそ攻めのIT投資を

分散し自宅で勤務している従業員の勤怠をどの様に管理してゆくのか。またウェルビーイングの観点から、どのように管理してゆけば、もっとも成果が上がりやすく、また働きやすい環境となるのか。HRテックは広義の人材投資にあたります。

前回の記事でも取り上げましたが、人材投資は企業の生産性に寄与します。そして、企業の競争力の源泉は人材であることは、どの企業でも、そしていつの時代でも変わりません。ですので、IT投資の中では、HRテックこそがコミュニケーションへの投資とあわせて最優先で取り組むべき投資分野なのではないかと私は考えています。

IT投資には、国からも補助金が準備されており2021年度は更に拡充が予定されています。この様なときだからこそ、攻めの人材投資・IT投資をご検討されては如何でしょうか。

*Elnur / PIXTA(ピクスタ)
【参考】
令和2年度第3次補正予算案の事業概要
※ ITR「IT投資動向調査2021」
パーソル研究所 ニュースリリース(12月20日発表)
※ みずほ情報総研「IT 投資は今も生産性改善を促すか」
令和2年度版経済財政白書「新たな日常」に向けたIT投資と課題」
矢野経済研究所「テレワークでのウェブ会議システム利用は約8割」