中小事業再建のスペシャリスト、山下昌彦弁護士(光麗法律事務所)を講師に迎え、経営者向けの資金繰りについての特別ウェビナー(Webセミナー)「中小企業を陥れる!隠れた3つの資金繰りリスク」が開催されました。
※配布資料をご希望の方は、記事末尾よりフォームをご入力の上、ダウンロードをお願い致します。
コロナ禍にある現在、緊急融資の急激な増加や税金などの特例猶予により、倒産リスクの高い企業が延命し、倒産件数は実は減少しています。しかし、緊急融資などの流れが終わる今後、徐々に倒産件数の増加が予想されます。
また、東京商工リサーチ調べによると、意外にも倒産企業の“約半数は黒字企業”。利益は黒字でも資金ショートが要因で倒産する可能性が少なくないのです。“黒字倒産”を引き起こす資金繰りリスクとは? よくあるリスクパターンと対応を山下弁護士が紹介します。
経営者は日頃からどんなタイプであるか知るべき
まず、中小企業経営者は大きく4つのタイプに分類できると言います。経営者は自分がどんなタイプであるかを知り、どこが弱いのか日頃から意識して、部下や役員とフォローし合うことが大切です。
<中小企業経営者の主なタイプ>
(1)営業特化型
売上獲得は得意だが、利益率や資金繰りの管理に弱い
(2)管理特化型
日頃の管理は得意だが、緊急時の状況変化、顧客の新規開拓、発想の転換に弱い
(3)技術特化型
優れた技術を持ちその特性を理解しているが、技術の特性を充分顧客に伝えきれておらず、お金の管理やビジネスには少し疎い
(4)権限委譲型
会社の運営を優秀な幹部や現場に任せてしまい、経営者が取引先や資金繰りといった重要部分を把握していない
山下弁護士の経験上、中小企業では、イチから自分で売上を作ってきた営業特化型の経営者が多く、利益率や資金繰りの管理に弱くなってしまいやすいようです。
「商品や設備の陳腐化」への対応策は?売上減少を回避するための3つのポイント
問題点の1つとして挙げたのが「商品や設備の陳腐化」。高い単価で取引ができていたオリジナル商品が技術の進歩により薄利多売にせざる負えなくなったり、ヒット商品に依存しすぎて他社商品との差別化が難しくなり売上が減少していくケース。
また、ネットの口コミが自由に投稿・閲覧できるようになったため、設備の古さに対するネガティブな評価が増え、単価が下がるケースが増えてきました。
業績がいいときにこそ、中長期的な設備投資計画を! 売上に繋がらない投資に注意
山下弁護士がオススメする対応策は、設備に関しては最初に新設したときには集客力があるため、その業績が良いときに、5年、10年、ものによっては20年先の計画を作ってしまうこと。設備が古く汚くなってくると徐々に集客が下がってくるので、それを見越した新たな設備や、将来の設備投資計画を組み込むのがポイント。
その際、具体的に“何の設備をいくらで購入するのか”まで計画の中に入れ込んでおく。経年劣化で何年に1度取り替えなければならないものが必ずあるためです。例えばホテルだと、水回り、空調関係、ボイラーは何年など、あらかじめ計画を立てておくと、それぞれの設備で投資時期をずらすことができます。
このメリットに、資金繰りが厳しい年には投資をせず運転資金に回すことで、資金繰り対策にもなるところがあります。例えば、ボイラーが10年後~15年後に手を入れなければならないとして、10年後ピッタリに必ずやる必要はないため、資金繰りが厳しくなっていた場合は設備投資を翌年に回すことで、運転資金を確保することができるのです。
注意したいのは、業績が良いときに役員報酬を上げたり、保養所や自社ビルを建てたりなど、あまり売上に繋がらない億単位の投資をすること。ダメではないのですが、本業の売上維持や設備投資をしっかりした上で、余剰があるのかを見極めることが必要です。
業績が良くない…自社資金繰りが難しい場合は補助金の検討を
投資を計画する場合には、融資、設備をリースにする、補助金などの利用も検討しましょう。特に穴なのは、補助金! 年間で数千種類あるといわれ、条件はあるものの億単位の設備投資を3分の2ほどでまかなうことができるケースもあったそうです。しかも融資と違って返還不要です。自社に当てはまるものがないか、まずは検討すべきです。
自社のみの対応が難しい時は、他社と提携して商品開発
自社のみでの改善が難しい場合には、他社と業務提携して商品開発などを進めることも検討しましょう。有名ブランドネームを借りたコラボや、技術の高い企業と一緒に商品を開発し、より良いものを目指します。
その他、コンサルタントを利用したり、商品の品質自体は良いが売れていないという場合は有名人とのコラボなど、売り方や宣伝方法を検討することも必要です。
では、有名ブランドや有名人とのコラボが難しい小さい会社はどうしたら良いのでしょう?
山下弁護士が担当した和菓子製造業の企業は、和菓子を日本から外国人向けにしてみるなどのアイデア転換を行いました。
富士山や和風の着物の柄など外国人が好むモチーフを取り入れ、販売先も昔からのデパートではなく空港に売り込むといった、ターゲットと売り先を新たに考えることで成功しました。苦しい時の新規事業は既存の商品を利用して“視点を変えた提案”で乗り越えることができる可能性があります。
その他の2つの問題点、「労働者関係(残業代の未払い)」や「私的流用・使い込み等」については資料と動画で詳しく紹介しています。
また、続きが気になる場合は資料をダウンロード頂き、ご覧ください。
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