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ベンチャー経営者やトップを目指す人に必要なスキルとは?デジタル人材育成のヒント

2022.01.28

志をもって会社を経営しているからこそ悩みが尽きない経営者ですが、壁にぶつかったとき、他の経営者はどうしているのだろうと思ったことはありませんか?

『経営ノウハウの泉』社長対談型のセミナーは、パシフィック・コミュニケーションズ株式会社代表取締役社長・相川裕彦氏が、異なる会社で活躍する経営者の“考え”や”失敗”を深堀。中小企業経営者の方の悩みがちなテーマについて、自社に活かせる解決方法のヒントをお届けします。

第3回のテーマは、ベンチャー経営者やトップを目指す人に必要なスキルとは? 中小・ベンチャー企業向けデジタルマーケティング支援を行うソウルドアウト株式会社代表取締役会長CGO荻原 猛氏をお迎えしてお話を伺いました。

これからの事業におけるデジタル人材の育成という課題から、ベンチャー企業に大切な組織の作り方や部下育成のノウハウを解説されています。ぜひ参考にしてみてください。

登壇者プロフィール

ゲスト:荻原 猛 (おぎわらたけし)
ソウルドアウト株式会社 代表取締役会長CGO 1973年生まれ。中央大学大学院戦略経営研究科修了。経営修士(マーケティング専攻)。
大学卒業後、起業。2000年6月に株式会社オプトに入社。2006年4月に広告部門の執行役員に就任。2009年に当社を設立し、代表取締役社長に就任。2019年3月より代表取締役会長CGO(=Chief Growth Officer、最高事業成長責任者)に就任。著書に『ネットビジネス・ケースブック』(2017年 同文舘出版 田中洋共著)がある。

ファシリテーター:相川裕彦(あいかわやすひこ)
パシフィック・コミュニケーションズ株式会社代表取締役社長
大阪芸術大学卒業。複数の大手広告会社において、営業から各種プランニング(クリエイティブ・デジタルプロモーション含む)、新規開発業務、チームマネジメントに至るまで、幅広い業務を経験。2020年5月コロナ禍の中、WEBメディア支援を手掛けるINCLUSIVEグループ会社のトップに就任。

まずは外注を活用し経営者の知識を強化する

経営者が強化したい領域の知識をアップデートするためには?

相川:地方の中小企業だとデジタルに詳しい人材採用が本当に難しいという悩みが届いています。そもそも採用が難しい、そして既存の社員にデジタルに明るい人材がいない、育成を担える人もいないとなった場合、その会社に荻原さんがコンサルタントとして寄り添うとしたら、何から手を付けるべきだとアドバイスしますか?

荻原:社員を一定レベルまで教育するのは即効性が低く現実的ではないので、順番としては後です。僕が社長だったら、まずは自社で強化したい領域の専門の方を外部で見つけ、業務委託で発注します。そして、その方で壁打ちになってもらって、自社のリテラシーを上げていく方法をとります。

具体的には、業務委託したIT専門の方に、自社でどういうプロジェクトをやるべきか、例えば半年のプロジェクトの絵を描いてもらいます。ビジョンを描き、それを実現することでどうなるかを明確にするのです。それをまず経営者が自分の中に落とし込んだうえで、社員に説明していくのが良い方法かなと思っています。

相川:なるほど。まずは経営者自身が外部の有識者の一部始終をしっかり理解して、従業員の方に対して「こうならないとダメだ!」というのを自分の言葉で語れるようになるべきだと。

荻原:はい、それが第一ですね。家庭教師に入ってもらうようなものなので、別にわからなくて恥ずかしくたっていいじゃないですか。ガンガン言ってもらって教えてもらい、自分が理解して、IT武装の一歩目が始まるんです。

投資しないと成長しない!外注をどう活用すべき?

相川:非常に学びになります。単純に外注や出向をネガティブに捉えている会社もあるじゃないですか。私もクライアントさんに「うちの会社は、業務委託やコンサルティングなどに関して社内の決裁が得られないので、誠に申し訳ないけれど、サービスの範囲で何か教えてくれないか」と言われたことあったんです。

そういった体制のところでは、やはり社内のデジタル化が阻害されるんだろうなと今のお話を聞いて改めて思いました。

荻原:そうですね。そういう会社は正直難しいでしょうね。投資しないと成長しないじゃないですか。投資するお金と時間をどこに割きますかということです。投資したものは、一年後や二年後に実を結ぶ。そこを信じて、適切にお金をかけるべきです。

そのときに、僕は自社で能力がなければ、外で買うことは当たり前だと思っています。市場価格がいくらかは、何社かに声をかければ分かります。一概には言えないかもしれませんが、基本的に価格が安ければ質が低いし、高ければ質が高くて、そのなかでどこを選ぶべきかは自分で考えれば良いでしょう。大事なのは、出せるお金を投資して、外部の人にアドバイザーになってもらい、経営者自らがそれをインストールして話せるようになることです。

相川:単純に外注するのではなく、外注を活用しながらノウハウを自社にインストールできるような格好にする。そして、経営者自身が自分の口で語れるようなところまで理解すると。荻原さんの会社はデジタルマーケティングに精通していますが、強化したい領域では、この方法で学びを得ることがあるのですか?

荻原:あります。うちはデジタルマーケティングは得意でしたが、エンジニアの皆さんが入社してくれるような会社じゃなかったんですよ。僕はエンジニアの皆さんの心を知るためにも、もっと自分が勉強しなければいけないと思いました。

僕自身、プログラミングまではやっていなかったので、まずは専門の方を外部から呼んで、勉強するためITの顧問になってもらいました。そして、少しずつその輪が広がってエンジニアの界隈の皆さんとお食事に行ったりして理解を深め、今は50人くらいの優秀なエンジニアの方を採用することができています。

プロセスの実行は社内から集めた有志で行う

プロジェクトは指名制でなく挙手制にすべき理由とは?

荻原:次に大事なのが、プロジェクトを始めるときに、社内から有志を集めることです。これは挙手制にすべきだと思います。

外部の方にはあらかじめ「このプロジェクトがここに到達するまで」とゴールを伝え、そこまで持っていってもらうようにします。ただ、そのプロセスは挙手した社員に任せます。これは、新しい領域に挑戦するときは、強い意思がある人じゃないと言い訳をして進まないこともあるためです。「社長がやれって言うからさ」ではなくて、「自分がやりたい」と思っている人をプロジェクトマネージャーに選ぶべきだと思います。

相川:指名ではなく、本当にやりたい社員に任せるということですね。

経営者は新しいプロジェクトに対してどこまでコミットするべき?

荻原:やっぱりトップランナーを何人か作ると、みんなが付いてくる。これはどこでも当てはまる法則だと思うので、まず1~3人くらいを引き上げる。その引き上げた社員にみんなつられて引き上がる。だから、全員を引き上げると考えるのではなくて、外部の力を借りて自らが学び、1~3人くらいを引き上げる。経営者としてここまでもっていくことができれば、ほぼ成功です。

相川:あとは強化したい領域ごとに、今のやり方をトレースしていくということですね。

荻原:そうです。そして自社の力が強くなれば内製化すればいいですし、そこは各々の判断だと思いますが、立ち上がりは外部の力を借りてレバレッジをかけていくこと。これは経営者の仕事そのものと同じことだと思います。

会社にとってミドル層は重要!人材育成と採用にコストをかけるべき

荻原氏がミドル層育成で気を付けていることとは?

相川:荻原さんがマネジメントで意識していることがあれば教えてください。

荻原:「業績の達成率が良くて部下の育成ができる究極のマネージャーってどういう人だろう?」と社内を見ていると何人かいるんです。「その人がやっていること、もしくは自分がやって成功したことは何だろう?」と体系化して、「部下育成と業績達成の両方できるミドルマネジメントの力とは何か?」を研究しました。

例えば、部下へのフィードバックを瞬時に行う“リアルタイムフィードバック”や、“社長の言葉を自分の言葉で翻訳して部下に伝える”など、5つの力があって、それを自分でまとめて今のミドル層に教えて育成しています。

相川:組織の作り方や、ミドル層のマネジメントの仕方のような部分で、荻原さんなりの哲学はありますか?

荻原:「会社は経営者の器で決まる」なんて言葉がありますけど、僕はもっと大事なのはミドル層だと思っています。社長1人の力なんて全然大したことない。正直、そんなのたかが知れています。重要なのは、どれだけ戦闘力の高い人材がミドル層にいるかじゃないかと思います。「強い部長がこんなにいるの?羨ましい!」みたいな。だから、会社はどんどんミドル育成にお金をかけるべきです。

優秀なミドル人材獲得のため、荻原氏が日々行っていることとは?

相川:荻原さんは、良いミドル人材を見つけたら、直接口説かれたりするんですか?

荻原:そうですね。採用は超絶重要だと思っています。僕は今でも20人くらいの「この人にうちの会社に入ってもらいたい」というリストを持っています。そういう人に定期的に会って、今は「いやいや、入れないですよ!」と言いますけど、もしかしたらタイミングの問題で何かあるかもしれない。誰でも、急に家を買おうと思ったり、車の免許を取ろうと思ったり、そういう何かするタイミングがあるじゃないですか。

その人が良い人材であることは変わらないので、定期的に接触して、タイミングが合ったら入社してもらう、というのは力を入れてやっています。僕の労働時間の何%かは採用に時間を割く。それは社長の仕事です。

相川:素晴らしいです。社内の育成も重要な一方、優秀な人材は外から採用してくることも重要ということですよね。

荻原:もちろんです。今のうちの会社のトップ幹部は外部から半分、内部昇格から半分、それくらいじゃないとイノベーションは起きないです。

相川:皆さん保守的になってしまうということですね。

荻原:内部だけだと会話がいつも同じことばかりでつまらないと思います。イノベーションは多様性じゃないですか。いろんな人がいるから、その意見が「なるほど!」と新鮮で新しいものが生まれる。そういう意味では、同じことをずっと同じ仲間で繰り返してしまうと仕事はあまり面白くありません。トップマネジメント層も含めて、リクルーティングは外部との半々くらいのイメージでやっています。

相川:それは学びになります。今後、自分がどう組織を作っていくかと考える中で似たような悩みを持っていたので、すごくヒントになりました。今日、明日、実践できるような、特に部署の所属長としてチームのマネジメントをされている方にも非常に役立つ言葉が多々あったと思います。

本記事は実際のウェビナーの内容を元に作成しています。荻原氏のソウルドアウト社立ち上げに至ったストーリーなど、記事に掲載しきれなかった内容は今回のウェビナー動画で確認できます。以下リンクから動画閲覧可能ですので、ぜひご活用ください。

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