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労働実務事例

提供:労働新聞社

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翌日業務に備え前日現地へ、休日の出発を強制可能か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 月曜の朝から出張先で業務を行うため、前日の休日のうちに出発するように命じることがあります。出張に関する手当を支払わなければ、前日の出発を強制することはできないのでしょうか。

福井・J社

[ お答え ]

 月曜日の朝から出張先で業務を行うために前日の休日(日曜日)から出張することを命じても、日曜日は単に移動しているに過ぎない場合、休日労働として割増賃金を支払う義務はありません。
 仕事で遠くの作業場に直行・直帰した場合も同様で、移動時間は通勤時間と同じ扱いになります。
 行政解釈は、「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取り扱わなくても差し支えない」(昭23・3・17基発第461号、昭33・2・13基発第90号)としています。
 休日に労働すれば休日労働ですが、使用者の指揮命令下にない単なる旅行時間は、自由に過ごしているものですから、労基法の規制を受ける「労働時間」とみることはできないと思われます。
 前述の行政解釈をみても休日労働と取り扱わなくても「差し支えない」としていますから、その実態に基づいて休日労働として処理することを否定したわけではないということです。
 休日の単なる旅行時間は休日労働として取り扱わなくてもよいとしても、それは休日労働の割増賃金を支払う義務がないという意味であって、その出張命令に服する義務を免除したものではないと考えられます。
 また、ご質問の場合も出張という業務命令を下す根拠は労働契約に求められますが、無制限に権利を行使できるわけではありません。労働契約法第15条では、「懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、権利濫用であると認められる場合には、無効とする」と規定しています。仮に手当を支払わなかった場合に、出張に行かなかったとしても、懲戒に当たるかどうかは、「前泊」が業務の遂行に不可欠な要件であるかどうかを考えて判断する必要があります。
 休日労働として取り扱う必要がない旅行時間ではあっても、移動時間とはいえ特定の経路で行くことが義務付けられるというような場合は、本人の拘束負担などを考え、出張手当などの対価を支払うべきでしょう。これは貴社の賃金規則などの規定に基づいて支給すべきで、あらかじめ明確にしておく必要があります。
 前日の移動中であっても、積極的な私的行為などは除いて、業務起因性・業務遂行性が認められれば当然に業務上災害として扱われます。



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