労働実務事例
[ 質問 ]
業務再編を検討するなか、パートの削減が重要課題として浮上しています。
そこで、平成20年3月から施行されている労働契約法により、有期パートの解雇は難しくなったのでしょうか。施行前と比ベ、実務的にどこが変わったのでしょうか。
和歌山・E社
[ お答え ]
労働契約法では、「期間の定めのある契約」について独立した1章(第4章)を設けていますが、条文は1つしか存在しません。第17条の第1項は、有期契約の期間途中の解約(解雇)に関するものです。民法第628条では「やむを得ない事由があるときは、各当事者(労働者・使用者の双方)は、直ちに契約の解除をすることができる」と定めていますが、労働契約法では「使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、解雇することができない」という表現を用いています。
パート等は業務の繁閑の調整弁的役割も担うので、会社は途中解除の裁量権を拡大するため、労働契約中に「業務の都合で途中解除することもあり得る」等の特約を挿入するケースがあります。しかし労働契約法の解釈例規(平20・1・23基発第0123004号)では、「特約があっても当該事項に該当することをもって『やむを得ない事由』があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について『やむを得ない』事由があるか否か個別具体的に判断する」と述べています。
使用者サイドからみれば、特約の発動余地が大幅に狭められたことになります。同法は労働者側については何も述べていないので、「本人が14日前までに退職願を提出したときは、会社は承認の可否を判断する」等の特約を設けるのは有効です。
労働契約法第17条第2項は契約期間に関する規定で、「労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めないよう」要請しています。同趣旨の内容を逆方向の表現で述べたのが、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平15・労働省告示第357号)です。「契約実態及び労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない」と規定しています。
契約期間の長短に着目していますが、その意図は「雇止めに関する紛争の端緒となる契約更新の回数そのものを減少させる」(前掲解釈例規)ことにあります。ただし、「(具体的に)特定の長さ以上とすること」まで求めるものではありません。
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