労働実務事例
[ 質問 ]
アルバイトとして若年者を雇ったのですが、高校の中退者で、今はどこの学校にも通っていません。学生でなければ、年齢証明書は不要なのでしょうか。それとも、高校を卒業する時期に達するまでは、年齢証明書の備え付け義務があるのでしょうか。
兵庫・G社
[ お答え ]
満18歳未満の年少者を使用する使用者は、「年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付ける」義務を負います(労基法第57条)。戸籍証明書については、「住民票記載事項の証明書で足りる」(平11・3・31基発第168号)と解されています。
年少者には最低年齢が設けられ、原則として「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」使用してはならないと規定されています(労基法第56条第1項)。
ただし、いわゆる非工業的業種に限っては、行政官庁の許可を受け、就業時間外に使用することも可能です(同条第2項)。
この規定に従って「児童」を就労させる場合、学校長の証明書および親権者または後見人の同意書が必要となります。
児童の範囲が「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」(中学校卒業時)に延長されたのは、平成10年の労基法改正時です。しかし、「満18歳未満」について、見直しは実施されていません。
満18歳に達すれば、年少者に対する制限は解除され、時間外・休日労働、変形労働時間制等に従事させることができます。
年齢証明書の備え付け義務は、こうした保護規定を順守するために設けられているものです。
ですから、お尋ねにある少年が高校に通っているか否かに関係なく、満18歳に達していなければ、年齢証明書を備え付けなければなりません。紛らわしいのは、労災保険・厚生(国民)年金の遺族年金規定です。労災保険の遺族補償年金を受けることができる子・孫の要件は「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること(または一定の障害の状態にあること)」です(労災保険法第16条の2)。
厚生年金の遺族厚生年金を受けることができる子・孫の要件は「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること(または20歳未満で1・2級の障害の状態にあること)」です。
しかし、労基法の年齢証明書に関する規定については高校卒業の時期に達しているか否かは、特別な意味を持ちません。
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