労働実務事例
[ 質問 ]
1年契約でパートを雇いましたが、人員配置を見直すことになり、途中解約せざるを得ない状況に陥っています。労働契約法では「期間途中の解雇」を禁じているといいますが、罰則は付されていないようです。労契法の規定に反して事業主が解雇を強行した場合は、どうなるのでしょうか。
宮城・G社
[ お答え ]
民法では、当事者(労使)双方に対して「やむを得ない事由があるときは、途中解除」する権利を認めています(第628条)。
一方、労働契約法では、使用者のみを対象として途中解雇を禁止しています(第17条第1項)。ただし、罰則はなく、個別労働紛争解決促進法や裁判等により解決が図られます。
労働者の場合、「やむを得ない事由以外の事由」によって辞職もあり得る旨、労使が合意することは可能です。しかし、使用者については「事前合意があっても、その事由に該当することをもってやむを得ない事由に該当すると認められない」という解釈例規が示されています(平20・1・23基発第0123004号)。つまり、「『解雇できない』との規定は強行規定である」と解されています(菅野和夫「労働法」)。
同じ労働契約法でも、通常の解雇に関しては「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合、権利濫用で無効」と規定しています(第16条)。「使用者の権利行使については、そのような権限が労働契約上認められるのか(権限審査)、その権限行使が濫用に当たらないか(濫用審査)という2段階で裁判所が審査する」ことになります(荒木尚志「労働法」)。
これに対し、期間契約の場合、やむを得ない事由がある場合でなければ、「強行規定により」解雇権利の行使ができないことになります。ですから、「地位確認訴訟において、使用者は解雇にはやむを得ない事由(を基礎づける事実)が存在したことを主張立証しない限り、解雇の効力は発生しなくなる」という結論になります(荒木尚志ほか「労働契約法」)。
ここでいう「やむを得ない事由」とは、「解雇権濫用法理における『客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である』と認められる場合より狭く」(前掲解釈例規)、使用者側からいえば労働者の就労不能、重大な非違行為等が該当します。
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