労働実務事例
[ 質問 ]
嘱託再雇用で働いている従業員ですが、現在、老齢厚生・基礎年金、配偶者加給年金額を受けています。妻が老齢基礎年金を受けられるようになると、配偶者加給年金額が消え、妻に振替加算が付くといいます。妻が60歳に達して、繰上げ支給を選択したときは、どうなるのでしょうか。
鳥取・M社
[ お答え ]
老齢基礎年金は、65歳に達した月の翌月から支給されます。本人(たとえば、妻)が65歳に達した時点で、配偶者(例えば、夫)が老齢厚生年金の配偶者加給年金額を受けているときは、本人の老齢厚生年金に振替加算が上乗せされます(国民年金法昭60附則第14条)。
ただし、配偶者(夫)の厚生年金被保険者期間が原則として20年以上なければ、配偶者加給年金額の対象にならず、振替加算もありません。また、妻の老齢厚生年金被保険者期間が20年以上の場合、配偶者加給年金額は支給停止となり、振替加算も行われません。
老齢基礎年金の支給開始は原則65歳ですが、厚生労働大臣に支給の繰上請求をすることができます。この場合、請求した月の翌月から老齢基礎年金が支給されます。
ただし、繰上げ支給を受けると、早めに年金がもらえる代わり、月々受け取る年金額そのものは減ってしまいます。本来の支給年齢である65歳以降も、年金は減額されたままです。
減額率は、1カ月当たり0.5%です。ですから、最大限5年(12カ月×5=60カ月)前倒しで、60歳から老齢基礎年金を受給する場合、30%(0.5%×60カ月)が減額されます。
その際、振替加算額も繰り上げて、減額支給されるわけではありません。60歳の時点では、本人が振替加算の対象になるか否かは、まだ確定していません。
老齢基礎年金を繰り上げて受給しても、配偶者加給年金の支給開始は65歳に達した月の翌月で、支払う額も規定どおりの満額です。その時点で、はじめて夫の加給年金額もカットされます。
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