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労働実務事例

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フレックスで不足した分の繰越し時間は割増不要か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 フレックスタイム制を採用し、1カ月の清算期間の範囲内で働くべき総労働時間を定めています。その総枠に不足した時間は、翌月に繰り越せるということです。繰り越した時間はもともと当月に労働が予定されていたもので賃金もカットせずに先に支払うわけですから、翌月の労働時間の算定から除いても構わないでしょうか。

【宮城・R社】

[ お答え ]

 フレックスタイム制では、1カ月以内の一定期間(清算期間)について、総労働時間を定めます。実労働時間が不足する場合は欠勤時間、超過する場合は、所定外労働時間として扱われます。総労働時間は、平均して週の法定労働時間を超えないように設定する必要があります。
 清算期間における総労働時間の計算方法は、原則として1カ月単位の変形労働時間制等と同様に、40時間×1カ月の暦日数÷7で計算します。ただし、曜日の巡りおよび労働日の設定によっては、清算期間の総枠を超えることがあり、その際は別の算式を用いることも可能とされていますが、ここでは省略します。
 総労働時間の過不足の繰越しについて、通達(昭63・1・1基発第1号)を参考に①過剰、②不足の両パターンについて考えてみます。
① 総労働時間として定められた時間分は、その期間の賃金支払い日に支払うが、それを超えて労働した時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、賃金全額払い(労基法第24条)に違反し許されないとされています。
② 総労働時間に達しない時間分を、次の清算期間中の労働時間に上積みして労働させることは、法定労働時間の総枠の範囲内である限り、その清算期間においては実際の労働時間に対する賃金よりも多く賃金を支払い、次の清算期間でその分の賃金の過払いを清算するものと考えられ、賃金全額払いに違反するものではありません。
 清算期間の総枠に不足した場合は、賃金控除が可能です。しかし、例えば、清算期間の総労働時間の枠が170時間のところ160時間しか働かなかった場合、次の月に10時間多い180時間働くことを前提として不足した月の賃金を控除しない、というのが繰越しの趣旨です。不足の都度、賃金を控除するのであれば繰越制度を設ける意味がありません。
 ただし、繰り越す場合は翌月の時間外割増の計算には注意が必要です。180時間のうち、法定労働時間(暦日が30日の月では171.4時間)を超える時間の8.6時間分は時間外労働となり割増賃金(0.25)の支払い義務があります。ですから、繰り越せる上限時間は、法定の枠内に収まるように就業規則等で定めておくことが適当でしょう。



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