労働実務事例
[ 質問 ]
介護休業給付の支給を受けるためには、市区町村から要介護認定を受ける必要があるのでしょうか。会社は、労働者から介護休業の申出があれば認めていますが、雇用保険から給付が出ないこともあり得るのかどうか、教えてください。
【岡山・I社】
[ お答え ]
介護については、主に3つの法律が関係しています。労働者が事業主に申し出ることによって、介護休業をすることができるとした「①育介休業法」、介護をするための休業をした期間について、賃金の支払いを受けることができなかった被保険者に対して保険給付を行うとした「②雇用保険法」、そして、介護を必要とする被保険者に対して、市区町村が介護サービスを提供することを規定した「③介護保険法」です。
まず、労働者が介護休業を申し出ることができるのは、「対象家族」を介護する場合です。対象家族とは、配偶者、父母および子ならびに配偶者の父母をいいます(育介休業法第2条第4号)。その他、被保険者が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫も含まれます。
労働者は、事業主に対して、対象家族が「要介護状態」にあるという事実を明らかにしなければなりません(同則第22条)。要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます(同法第2条第3号、同則第1条)。要介護状態の事実を証明するものとして通達(平21・12・28雇児発1228第2号)では、医師や保健師、看護師などの書類を例示しています。原則として、会社は医師の診断書などがあれば、介護休業の申出を認める必要があります。
介護休業給付金(雇用保険法第61条の6)も、被保険者が対象家族を介護するために休業する場合に支給されます。対象家族の定義は、育介休業法と同じです。一方、「介護」の定義は、法文上に規定されていませんが、概ね育介休業法と同じと考えられます(様式第33号の6)。介護休業給付金の支給を受けようとするときは、支給申請書に、「介護休業申出書」などを添えて事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します(同則第101条の19)。
一方、介護保険制度の要介護認定は、「要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準に関する省令」に基づいて行われます。育介休業法などの「要介護状態」と、介護保険制度の定義は必ずしも一致するものではありません(前掲通達)。介護保険制度の要介護認定のほうが介護度は重いといえます。
介護休業給付金は、介護休業の開始日、終了日などを明らかにした書類などを添付したうえで、介護保険法の要介護認定とは別に支給を受けることが可能です。
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