労働実務事例
[ 質問 ]
業務の都合で、2カ月ほどの間、従業員に月2~3回、本社から離れた営業所に直行・直帰してもらうことになりました。営業所勤務の場合、1日500円の手当を支給します。たとえば、月3日分、1,500円の手当を支給した場合、割増賃金の算定基礎に含める必要があるのでしょうか。除外賃金に該当せず心配です。
宮崎・T社
[ お答え ]
法定の労働時間を超えて働かせた場合、2割5分増しの割増賃金を支払う義務が生じます。ただし、割増賃金の算定基礎賃金から、次の賃金項目を除外することが認められます(労基法第37条第4項、労基則第21条)。
① 家族手当
② 通勤手当
③ 別居手当
④ 子女教育手当
⑤ 住宅手当
⑥ 臨時に支払われた賃金
⑦ 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
この7種類の賃金項目は限定列挙ですから、それ以外の手当を「毎月の金額が変動して、計算が煩雑だから」等の理由で除外できません。家族手当等の名称が冠されていても、「名称にかかわらず実質によって取り扱う」(昭22・9・13発基第17号)のが原則です。
お尋ねの営業所勤務手当は、除外賃金項目に該当しません。しかし、新たに設けた特別な手当を支給することで、本社勤務中の残業代までアップするのは不合理です。
法律の本文(労基法第37条第1項)は、「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」を基準に割増賃金を計算すると規定していますが、この文言については次のような解釈例規が示されています。危険作業が時間外等になされた場合には、「危険作業手当を割増賃金の基礎に算入」(昭23・11・22基発第1681号)します。手術手当は、「手術手当の与えられる勤務時間が時間外に該当する場合にのみ割増賃金の算定基礎となる賃金」(昭26・8・6基収第3305号)に含めます。
お尋ねにある手当は、他の営業所で時間外労働等が発生した場合にのみ、割増賃金の算定基礎に算入する義務が生じます。逆にいえば、本社勤務については、算定基礎から除外可能です。
割増単価が2種類になるのを防ぐため、手当でなく、500円相当の時間外申請を別に認めるという方法も考えられます。通勤時間が長くなる分を、時間外手当でカバーするという発想です。
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