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実験データと請求項の記載(1)

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-実験データと請求項の記載(1)-  第42号
      http://archive.mag2.com/0001132212/index.html
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こんにちは。田村です。


メールマガジンの発行に、少し間があきました。
今週からしっかりと発行していきたいと思います。


 
今日は、実験データと請求項の記載についてです。


例えば、これまで、

 A成分及びB成分からなる接着剤組成物

が従来技術として存在していたけれども、

そこに新たにC成分を加えることで、優れた接着性を
有する接着剤組成物を発明したとします。

 
しかし、実験をしてみると、

 A成分は30~50質量%、
 B成分は20~30質量%、
 C成分は20~30質量% 

の範囲では接着性に優れますが、それ以外の範囲では、
あまり良い結果が得られなかったとします。


この場合、どのように請求項を記載しますか?





私であれば、

【請求項1】
 A成分、B成分及びC成分からなる接着剤組成物

とします。

そして、各成分の質量の範囲については、請求項2に
記載をします。



従来は、A成分及びB成分からなる接着剤組成物しか
存在しなかったわけですから、上のような請求項でも、
新規性や進歩性を十分に主張することができます。



ここで、

 A成分は30~50質量%、
 B成分は20~30質量%、
 C成分は20~30質量% 

以外の範囲では、良い接着性が得られないのに、
なぜ、請求項1に各成分の質量の範囲を記載しない方が
良いのか

という疑問がわいてくるかと思います。



例えば、B成分とC成分が化学反応をして、
接着効果をあげるような場合を考えてみます。


B成分が10質量%しかない場合、A~C成分を含む
だけの組成物では、望むような効果が得られなくても、

B成分とC成分の反応を促進するような化合物Dについて、
少し時間がたってから、他社により発見される場合も
考えられるわけです。

この場合、
十分な接着性を有する接着剤組成物が得られる
かもしれません。


請求項1で、最初から質量の範囲を限定していると、
このようなケースについて、特許権を侵害すると
主張できなくなります。



問題なのは、ついつい、手元の実験データに請求項が
ひきづられてしまうこと。


もちろん、実験データは重要なのですが、

化学分野では、ありとあらゆるケースを想定した
実験データをそろえることは不可能に近いと思います。

もしかしたら、今はまだ実験をしていないから明らか
ではないけれども、

実は、すごい効果を秘めているといったような方法が
存在することも、十分にありえるわけです。


ですから、最初からわざわざ請求項を狭い範囲で
記載するのではなく、

先行技術との関係を考慮して、できるだけ広い権利に
なるようにしておくことが重要です。



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