
偶発的コミュニケーションでイノベーションを加速!オフィスレイアウトの新常識
近年、オフィスは単なる仕事をする場所から、コミュニケーションの場へと進化を遂げています。何気ない雑談から新たなアイデアが生まれることも少なくありません。
本記事では、こうした“偶発的コミュニケーション”を促進するオフィス空間の作り方について詳しく解説します。従業員同士が自然に集まり、会話が生まれやすい空間を作ることで、イノベーションを創出できる組織を目指しましょう。
目次
テレワークの問題点
テレワークは柔軟な働き方を可能にしますが、一方でいくつかの課題も抱えています。以下は、テレワークの主な課題です。
生産性が低下する場合がある
自宅の環境が仕事に適していない場合、集中力が散漫になりやすいことがあります。専用の作業スペースがない、周囲の雑音が気になる、家族やペットの存在が仕事の邪魔になる、といった問題が挙げられます。さらに、プライベートと仕事の境界が曖昧になりがちで、オンとオフの切り替えが難しくなることも生産性の低下につながります。
孤立を感じやすい
テレワークでは同僚や上司との直接的な交流が減り、孤立感を感じる人も増えるでしょう。オフィスでの日常的な会話や相談が減少することで、知らず知らずのうちにチームワークや連帯感が薄れ、モチベーションの低下を引き起こすことがあります。
特に新入社員は職場での人間関係を築く機会が少ないため、組織への帰属意識が低くなりやすいです。これらの要因が重なり、定着率の低下にもつながる可能性があります。
コミュニケーションが難しい
対面でのコミュニケーションが減少するテレワークでは、誤解や情報伝達ミスが発生しやすくなります。テキストベースのコミュニケーションでは、ニュアンスや感情が伝わりにくく、意図が正確に伝わらないこともあるでしょう。
また、偶発的なコミュニケーションの機会が減少することで、部門間の連携が希薄になり、業務効率が低下する恐れもあります。さらに、オフィスでの雑談が減少することで、アイデアの発想や問題解決のチャンスが減る可能性もあるでしょう。
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偶発的なコミュニケーションがイノベーションを生む
オフィスでの偶発的なコミュニケーションは、予測を超えた成果を目指す際や、既存の発想を打破したいときにこそ大きな力を発揮します。さりげない会話や雑談が、新しいアイデアや発見、イノベーションの引き金となり、思いがけないプロジェクトの誕生につながることもしばしばあります。
オフィスの空間を使い方を工夫したり、レイアウトを変えたりすることは効果的です。たとえば、オープンスペースや共有エリアを設けることで、社員が自然に集まり、交流の機会が増えます。これにより、単にコミュニケーションが活性化するだけでなく、従業員の創造性を引き出す場としての役割も果たします。
今後のオフィスレイアウトは「偶発的な出会いと対話を生み出す仕掛け」を意識的に取り入れることが、ますます重要になってくるでしょう。
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偶発的なコミュニケーションを生みやすい仕掛け
偶発的な出会いと対話を生み出す仕掛けとはどうすればよいのでしょうか。具体的なレイアウトについて詳しく見ていきましょう。
他部署との交流地点を設計する

WORKPOD FLEX(コクヨ) 出典:経営ノウハウの泉
他部署との交流を促進するために、オフィス内に「交流地点」を設けることが効果的です。たとえば、共有スペースとして自然と人が集まりやすい“マグネットスペース”を設置するとよいでしょう。ポイントは、コーヒーマシンやプリンターなど、日常的に多くの人が利用する設備を近くに配置することです。加えて、区切られたエリアではなく、見通しの良いオープンやセミオープンのスペースとすることをおすすめします。
これにより、従業員が頻繁に顔を合わせる機会が増え、組織全体の連携が向上します。少人数で立ち話がしやすいように、2~4人用のハイテーブルを設置するのも一つの方法です。
リフレッシュスペースでちょっとした雑談を生む

big counter(コクヨ) 出典:経営ノウハウの泉
リフレッシュスペースの設置は、組織の生産性やイノベーション創出に大きな影響を与えます。意図的に人が集まる空間を作ることで、従業員間の交流が活性化され、新たなアイデアや解決策が生まれやすくなります。カウンター型の机を設置することで、対面よりも横座りのほうが安心できるとされる心理的効果を活用し、相談の場としても利用しやすくなります。
植物などを配置してリラックスした雰囲気を演出することも効果的です。業務の合間に利用できるこうしたスペースは、リラックスしながら自然なコミュニケーションが発生しやすいのが特徴です。コーヒーマシンなどを設置して、人が集まりやすい工夫を凝らしましょう。
他部署との接点となるクロスコーナーにオープンミーティングスペースを

出典:コクヨ株式会社
オープンミーティングスペースを設けることも、偶発的コミュニケーションを促進するための効果的な方法です。これらのスペースは、異なる部署の従業員が交差する場所に設置しましょう。フレキシブルな家具を配置して、さまざまなシーンに対応できるようにすることがポイントです。
たとえばインタラクティブボードやモニターを設置すれば、プレゼンテーションやアイデアの共有にも使えるでしょう。仕切りをカーテンなど緩やかなものにすれば、人数が増えても対応可能です。
会議室まわりのオープンスペースを活用する

出典:経営ノウハウの泉
会議室周辺のオープンスペースも、偶発的コミュニケーションを促進するために効果的です。会議室前にベンチを設置することで、会議の前後に異なる部署の従業員が自然に集まりやすくなります。また、自然光を取り入れることでリラックスした雰囲気を作り、自由な発想や会話が弾む場として活用できます。
まとめ
オフィスレイアウトは、組織のコミュニケーションやイノベーション創出に大きな影響を与えます。偶発的なコミュニケーションが生まれるオフィス空間を設計することで、従業員間の交流が活性化し、新たなアイデアや解決策が生まれやすくなるでしょう。
ポイントは、人の自然な流れを考慮した設計にあります。たとえば、部署間の境界をなくし、共有スペースを配置することで、異なる部署の従業員が自然に話す機会を増やせます。オープンなミーティングスペースや会議室の前にベンチを設置することで、従業員が自然に集まりやすい仕組みを作りましょう。
また、フレキシブルな空間を導入することで、状況に応じたコミュニケーションの形態に柔軟に対応できるようになります。可動式パーティションなどを活用し、空間を自由に変えられるオフィス環境を整えて、従業員が自然と集まり、偶発的なコミュニケーションが生まれる場を作り出しませんか。
写真撮影:大畑陽子
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