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小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金(一般型)」とは?対象・支給金額・申請方法を整理【社労士解説】

2022.02.04

国による働き方改革や賃上げ、適用税率や税額記載が義務づけられる『インボイス制度』などの導入により、今後も中小企業は時代に則したさまざまな制度の変更に対応する必要性があります。

しかし、不透明な経済情勢や超高齢社会を前にした労働力不足、新型コロナウイルス感染症による影響により、経営そのものが苦しい状況が続いていることも事実です。

このような中、特に規模の小さい小規模事業者向けに、『小規模事業者持続化補助金』という補助制度が打ち出されています。今回は、この『小規模事業者持続化補助金』とはどのような制度なのか順を追って解説します。自分の会社にマッチした制度なのか、具体的な申請方法やポイント等について確認してみましょう。

※最終更新:2022年2月

「小規模事業者持続化補助金」とは?

『小規模事業者持続化補助金』とは、小規模事業者が販売活路を見出すための取り組みや、生産性を向上させて企業を持続させるための取り組みなどを支援するために、費用の一部が助成される制度です。

具体的には、小規模事業者が商工会や商工会議所などの指導・助言といったサポートを受けながら経営計画書や補助事業計画書を作成し、審査の後に採択された場合に一定額の補助金を受けることができるものです。

『小規模事業者持続化補助金』には、「一般型」と、「低感染リスク型ビジネス枠」の2種類があります。

通例活用することになる「一般型」は、経営計画を策定し、その計画内容に沿った形で販売活路の開拓取り組みを実施する小規模事業者をサポートするものです。一方、「低感染リスク型ビジネス枠」はコロナ禍ならではの制度で、経営計画を策定しコロナ禍後の世の中に対応するために新たなビジネスやサービスを導入し、生産プロセスを定めて感染防止対策の取り組みを行う小規模事業者をサポートするものです。

次の項目では、「一般型」の制度内容について、詳しくご紹介します。

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「小規模事業者持続化補助金(一般型)」の概要

『小規模事業者持続化補助金(一般型)』とは、どのような制度なのでしょうか。

対象となる事業者は?

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、その名の通り“小規模事業者”です。具体的には、以下の業種や規模に該当する場合に対象となります。

上記表中の“常時雇用社員”には、育児・介護休業中の者、休職中の者は含めません。また、正社員よりも所定労働日数・所定労働時間が短いパートタイマーも対象外となるため、注意が必要です。

なお、補助対象となる者は会社・会社相当の営利法人や個人事業主、要件を満たした特定非営利活動法人となり、たとえば医師や歯科医師、助産師、系統出荷による収入のみの個人農業や林業、水産業を営む方も対象外となります。

対象となる取組内容

刻々と変化している環境の中で持続的・継続的に事業を発展させていくために、経営計画書を作成し、販路開拓や生産性向上に取り組む必要があります。

たとえば次の内容が挙げられます。

販売活路開拓の取り組み:新商品開発のための専門家によるコンサル費や販促用チラシの配布、広告宣伝、ネットショッピングシステムの構築など
生産性向上の取り組み:専門家の指導による労働環境改善策の導入、業務効率化のための職場改装、インフラ整備など

対象となる経費の内容

前述の取り組みを実施する上でかかった経費のうち、補助金支給の対象となるのは下記の通りです。

以下の経費のうち、①経費の使用目的が明確であることと、交付決定日以降に発生した費用で、②対象期間中に支払を行った経費であること、③支払金額を証明できる資料があること、という3つの要件を全て満たす必要があります。

・機械装置等費
・広報費
・展示会等出展費
・旅費
・開発費
・資料購入費
・雑役務費
・借料
・専門家への謝礼金
・専門家の旅費交通費
・設備処分費(ただし、補助対象経費総額の2分の1が上限となる)
・委託費
・外注費

支給額

具体的な支給額の上限や経費補助率については、以下の通りとなります。

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申請時のポイントや注意点をチェック!

ここからは、『小規模事業者持続化補助金(一般型)』申請時の流れや注意点について確認していきましょう。

補助金申請から実際に金額を受け取るまでの流れは、主に以下の通りです。

(1)商工会や商工会議所の指導・助言を受けながら、経営計画書や補助議場計画書を作成する

(2)事業を営む地域の商工会・商工会議所による事業者要件確認の上、事業支援計画書の作成依頼を行う

(3)補助金事務局へ申請書類一式を郵送する(持ち込み不可)

(4)補助金事務局による内容審査後、採択・不採択の決定通知が届く

(5)採択後、計画書の内容に沿った取り組みを実施する

(6)補助金事務局へ実績報告書を郵送する(持ち込み不可)

(7)補助金の請求・受け取りが実施される

注意点としてまず覚えておいて欲しいのが、補助金の支給は“書類に不備があった場合は行われない”ことに加え、“書類に不備がなくても採択されない可能性がある”ことを前提にしなければならない点です。

採択の審査は、補助金事務局の担当者が書類を一つずつ確認しながら実施されます。したがって、同じ目的の計画書であっても、読みやすく内容が明快なものに評価が集まる傾向が高いです。

専門用語をふんだんに散りばめた難解な文章や、読むことに疲労を覚えるほどの長文の計画書ではなく、簡潔な文体と図表や画像を加えた分かりやすい計画書を作成することを心がけたほうがよいでしょう。

また、補助金の申請から受け取りまでには、一定の時間がかかることも念頭に置く必要があります。書類作成から審査機関、その後の取り組み実施から報告書までには、当然ながらある程度の期間を要します。すぐにお金がもらえるわけではないことを理解しましょう。

さらに、取り組みにかかった経費すべてが補助金対象とはならない可能性があることも覚えておきましょう。

常日頃から経費の管理をしっかりと行い、申請に必要な領収証の整理をしておくことで、より多くの補助金を受け取るチャンスが増えることになります。

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まとめ

『小規模事業者持続化補助金』は、その名の通り経営を持続することが求められます。新たな取り組みを開始した場合、開始初年度は補助金を受ける事ができたとしても、その次の年度からは事業者自身の力で事業を継続していかなければなりません。

専門家の指示を仰ぐことも効果的ですが、同時に一定の費用がかかることも含め、今後自分の事業をどのように実施していくのか、改めて考えてみる必要があるでしょう。『小規模事業者持続化補助金』の活用は、事業の未来を検討するために非常に良いきっかけとなるはずです。

* w_stock、makaron*、w_stock / PIXTA(ピクスタ)