「月次支援金」は今後どうなる?緊急事態宣言解除の影響と申請方法を解説
2021年10月1日から緊急事態宣言が解除され、飲食店に対する時短営業要請も同月25日に解除されました。今年4月から始まった『月次支援金』は、外出自粛などの影響を受けた事業者に対して支給されていますが、今後11月以降はどうなるのでしょうか?
今回は、『月次支援金』の制度について、緊急事態宣言解除の影響と申請方法をご紹介します。
※最終更新:2021年12月
「月次支援金」の緊急事態宣言解除の影響は
経済産業省は10月1日、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の影響で業績が悪化した中小・小規模事業者に対する『月次支援金』の支給を10月分まで延長すると発表しました。
10月1日から緊急事態宣言が全面解除されましたが、政府の新型コロナウイルスに関する基本的対処方針で、宣言が解除された19都道府県で飲食店に対する時短営業要請などを行うことになっていたためです。その時短営業要請も10月25日に解除されました。
延長の発表時には、これまでと同様、時短営業要請に応じた飲食店の取引先のほか、外出自粛の影響を受けた事業者に対して、月次支援金が支給されると言われていました。
なお、10月分の延長は10月1日に発表されましたが、12月8日現在、11月分の『月次支援金』は発表されていません。11月以降の継続はないと考えられます。しかし、その代わりともいえる『事業復活支援金』の給付が公表されています。気になる方はぜひ下記記事でチェックしてみてください。
「月次支援金」の給付額と給付対象とは
『月次支援金』の給付は、“店舗ごと”でなく“事業者単位”で支給されます。
中小企業等は月額上限20万円、個人事業主は月額上限10万円。給付額は、下記の計算式で決定されます。
2019年または2020年の基準月の売上-2021年の売上
給付対象は、下記の1)と2)を満たせば、業種・地域を問わず給付対象となります。
1)緊急事態措置またはまん延防止等重点措置の伴う、飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響を受けていること
2)緊急事態措置またはまん延防止等重点措置が実施された月のうち、対象措置の影響を受けて、月額売上が2019年または2020年の同じ月と比べて50%以上減少していること
自社が対象かが分からない場合は、経済産業省が公開している給付対象・保存書類早わかりガイドに、下図のようにフロー形式で判断できるツールがあるので参考にしてみてください。
申請期間は、原則、対象月の翌月から2か月間を申請期間となっています。2021年10月時点で受付をしている期間(予定を含める)は下記の通りです。
9月分:10月1日から11月30日
10月分:11月1日から12月31日
なお、4月分・5月分・6月分・7月分・8月分の申請受付は終了しています。
次の項目でも説明しますが、初回の申請をするまでに、“登録確認機関での事前確認”を受ける必要があります。登録確認機関での事前確認が受けられるのは申請期限の数日前までなので、9月分は11月25日、10月分は12月28日までに事前確認の受付が必要です。
「月次支援金」の申請手続きの流れ
初めての申請の手続きの流れ
(1)アカウント登録
申請用サイトに必要事項を入力します。
(2)事前確認
まず、後述する“手続きで必要な書類”を準備をします。
そのうえで、登録審査機関(税理士・行政書士・中小企業診断士・地域の支援センタ―・商工会議所など)へ事前確認の予約を入れます。
登録審査機関は登録審査機関検索ページで検索でき、事前確認は、TV会議、対面、電話のいずれかの方法で受けることができます。
先述したように、申請期限の数日前までに事前確認が受ける必要があるので注意が必要です。
なお、書類準備に不安があるや疑問点がある場合には、無料でサポートが受けられます。まずは電話でのサポートを検討します。
基本的には電子申請を原則としていますが、電子申請が難しい方のために、全国各地に申請サポート会場も設置されています。
そのため、申請手続きが難しいと感じた方は、“手続きで必要な書類”を準備のうえ、申請サポート会場でやり方を教えてもらいながら、申請することをも可能です。
予約制ですので、申請サポート会場の検索(全国)から、希望する会場に予約を入れましょう。
(3)申請
アカウントのマイページに必要事項を入力します。必要書類を添付します。
手続きで必要な書類
・本人確認書類(個人)または履歴事項全部証明書(法人)
・確定申告書の控え(2019年分と2020年分の両方とも)
・帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書など)
・通帳(原則、事業の取引を記録している通帳で月次支援金受け取り用口座)
・宣誓・同意書
確定申告書の控えには、税務署の収受日付印が押されている必要があります。電子申告だった場合は、受付日時の印字または、受信通知メールの添付が必要です。
なお、『月次給付金』受給後、通帳などの書類は7年間保存が必要ですので、忘れずに保管しておくようにしましょう。
2回目以降の申請の手続きの流れ
『月次支援金』2回目以降の申請や『一次支援金』*からの引き継ぎの場合、下記のような流れになります。
(1)月次支援金の申請サイトからマイページにアクセスして、必要事項を入力
(2)支給対象となる月の「売上台帳」のファイルを添付
(3)申請完了
申請手続きの一部を省略できるので、基本的に「売上台帳」のファイルだけを添付するのみで完了します。事前確認も不要です。
*一時支援金とは、2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業または外出自粛の影響を受けて、2019年比または2020年比で、2021年の1月、2月または3月の売上が50%以上減少していることが要件で、中小法人等が上限60万円、個人事業者等が上限30万円の受給できる制度で、申請受付は終了しています。
各都道府県独自の支援金
経済産業省が実施する『月次支援金』とは別に、各都道府県などでも緊急事態宣言などの影響を受ける中小企業等へ向けた支援を行っている場合があります。経済産業省の『月次支援金』よりも対象要件を緩和し、支給対象を拡大していることも多いので、自社の都道府県でも独自の支援金がないかを一度確認してみることをおすすめします。
今回は、一例として東京都の「中小企業者等月次支援給付金」をご紹介します。
支給対象:
・都内に本社(本店)のある中小企業等及び都内に住所のある個人事業者等
・都内に本社(本店)のある酒類販売事業者
支給要件:
・緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること
上乗せ措置:
・2019年比または2020年同月比で、2021年の対象月の売上が50%以上減少していること
・対象月について、国の月次支援金の給付決定を受けていること
横拡大措置:
・2019年比または2020年同月比で、2021年の対象月の売上が30%以上50%未満減少していること
支給額:
売上高の減少額に応じて月ごとに給付額の上限が下表のとおり決定されます。企業規模や事業内容によっても異なります。
各地域の支援策の内容は変更されますので、最新の情報は実施機関で確認することをおすすめします。
まとめ
今回は経済産業省の『月次支援金』について、緊急事態宣言解除の影響と申請方法についてご紹介しました。
10月1日から緊急事態宣言が全面解除されましたが、飲食店に対する時短営業要請も同月25日に解除されました。今後の中小企業への支援については発表されていないことも多いので、今後の動向に注目しましょう。
【こちらの記事も】
・新規事業で活用できる補助金・助成金って何があるの?
・「人手不足を解消したいとき」に役立つ支援制度を一挙解説
・補助金/助成金記事一覧はこちら
【参考】
『中小法人・個人事業所のための月次支援金』 / 経済産業省
『東京都中小企業等月次支援給付金』 / 東京都
* Graphs / PIXTA(ピクスタ)