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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 入社前は何を明示すべき?パート・アルバイトの雇用手続きの手順をわかりやすく解説
パート・アルバイト

入社前は何を明示すべき?パート・アルバイトの雇用手続きの手順をわかりやすく解説

2022.03.10

はじめてパート・アルバイトを採用する際、どのような手続きや準備が必要になるかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

パート・アルバイトの採用といっても正社員を採用する際と基本的な手順や手続きは変わりはありません。新たに雇用する際には、法律で定められた書類の提出や手続きが必要になります。

また、入社後一定の期限内に手続きが必要な対象もあり、事前に詳細を押さえておくことで円滑な受け入れにつながることもあるでしょう。

そこで今回は、パート・アルバイトをはじめて採用する場合に、どのような手続きや準備が必要かについて解説していきます。雇用手続きをスムーズに進めるためのチェックシートもあるので、ぜひ参考にしてみてください。

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1:必ず労働条件の明示をしよう

雇い入れる労働者へ労働条件を伝えることは、正社員、パート・アルバイト等といった雇用形態に関わらず義務付けられています。この労働条件を示したものが後述する”労働条件通知書”です。

労働基準法15条には、以下の労働条件について「書面の交付より明示が必要である」と記載されています。内定前に以下の具体的な労働条件を示す必要があります。

<書面の交付による明示事項>
・契約期間の有無
・就業場所
・業務内容
・勤務時間や休憩時間
・休日/休暇の規定
・賃金
・退職に関する事項

そして、内定を決定した際には内定者に”採用通知書”を渡しましょう。パートやアルバイトの場合は、口頭で採用決定を通知するケースが多いと思いますが、書面で通知するのが正式であるといえます。

2:パート・アルバイトの受け入れ準備をしよう

新たに採用した従業員に気持ちよく働いてもらえるように、また入社後に想定されるさまざまな手続きをスムーズに行うために受け入れの準備を整えましょう。

従事する業務内容等により異なりますが、以下に記載することを確認及び準備しておくとよいでしょう。

人事情報を確認する

入社予定の従業員の基本的な人事情報を確認しておきましょう。今後の各種手続きや緊急時の連絡等のため以下のような情報を把握しておきます。

・氏名(ふりがな)と性別
・生年月日-入社年月日(報酬が発生する日)
・住所及び通勤経路
・雇用保険の被保険者番号
・年金手帳の有無
・年金受給の有無
・給与振込口座
・扶養家族の有無と氏名(ふりがな)、続柄、性別、生年月日、同居の有無

働くための環境や備品を準備する

新たに採用する従業員が円滑に業務を遂行できるように、以下のように必要な備品や環境を整えましょう。

・座席
・名刺
・パソコン
・携帯電話
・メールアドレス
・サーバー等へのログインアカウント
・文房具類

3:法定三帳簿を必ず作成しよう

従業員を一人でも雇用している場合、労働基準法で法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)の作成・管理・保管が義務付けられています。

この法定三帳簿については雇用形態に関わらず必要になるため、パート・アルバイトとして雇用する場合にも作成が必要になります。ただし、労働者名簿については日雇い労働者は対象外となります。

法定三帳簿は、労働者の退社後も3年間の保存義務があるので注意しましょう。以下にそれぞれどのような内容を記載するかみていきましょう。

【もっと詳しく】法定三帳簿の記載や保管を怠った場合の罰則とは?

労働者名簿とは?

労働者名簿には、労働者の氏名や生年月日等に加え、退職年月日や事由といった内容を記載します。

<労働者名簿に記載すべき項目>
・氏名
・生年月日
・性別
・住所
・業務の種類
・履歴(異動や昇進等の履歴のこと)
・雇用年月日
・退職年月日と事由
・死亡年月日と原因

なお、これらの必須項目を満たしていれば定められた書式はありません。

賃金台帳とは?

賃金台帳とは、従業員への給与の支払い状況を記載した書類のことを指します。

「給与明細で事足りるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、以下のような項目を記載する必要があり、一般的に給与明細にある情報では不十分となるケースが多いといえるでしょう。

<賃金台帳に記載すべき項目>
・労働者氏名
・性別
・賃金計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外労働時間数
・深夜労働時間数
・休日労働時間数
・基本給や手当などの種類と額
・控除の項目と額

労働者名簿と同じく必要項目が記載されていれば書式は問いません。

出勤簿とは?

出勤簿は、従業員の労務管理のために必要な記録を記載するためのものです。

<出勤簿に記載すべき項目>
・出勤日と労働日数(出社・退社時刻を含む)
・日別の労働時間数
・時間外労働を行った日付と時刻・時間数
・休日労働を行った日付と時刻・時間数
・深夜労働を行った日付と時刻・時間数

労働時間は労働基準法により定めがあります。雇用主にはこのような情報を適切に管理していくことが求められます。

4:入社後に必要な社内手続きをしよう

入社した従業員から給与計算等の手続きに必要な書類を収集するとともに、誓約書等への署名捺印をしてもらいましょう。

労働条件通知書の作成をする

内定時に確認した労働条件を書面にした”労働条件通知書”を準備します。”労働条件通知書”は、雇用主から労働者への一方的な通知となりますが、両者が合意をしたということを確認するために”雇用契約書”を取り交わしておくとよいでしょう。

雇用契約書”の作成は任意ではありますが、入社後のトラブルを防ぐためにも締結しておくことをおすすめします。

労働条件を記載した”労働条件通知書”に、雇用主と労働者の確認欄を設け”労働条件通知書兼雇用契約書”として作成することも可能です。

扶養控除等(異動)申告書を配付する

給与から控除される所得税は、扶養親族等の人数によって金額が変わります。扶養控除等(異動)申告書を配付し、その人数を確認しましょう。

必要に応じ誓約書を取り交わしておく

入社する際、就業規則への遵守や個人情報の適切な取り扱い等に関して、誓約書を取り交わすことがあります。その際に「故意または重大な過失により会社に損害を与えた場合はその賠償の責任を負うこと」について同意を得ることもリスク対策として重要でしょう。

そのほかの必要書類の収集をする

そのほかの必要書類について提出してもらいましょう。

会社規定により必要書類が異なるため、参考として◎:必須〇:場合により必須△:会社規定による、として以下に掲載します。

◎給与振込先の届出書
◎個人番号(マイナンバー)の写し
※マイナンバーの取得にあたっては利用目的と提供依頼を提示する必要があります。
○雇用保険被保険者証(中途採用の場合などですでに被保険者だった場合)
○年金手帳(20歳以上の場合)
○源泉徴収票(前職で発行されているものがある場合)
○年少者同意書(18歳未満の場合)
○資格証明書(運転免許や取得資格の証明など、携わる業務に応じて必要な場合)
○健康診断書(入社前に提出されていれば不要)
△住⺠票記載事項証明書(本人確認、通勤費支払いの根拠、労災の通勤災害、住⺠税の源泉徴収支払先等のため)
△身元保証書(身元保証のため。併せて「身元保証人の印鑑証明」の提出を求めることも)
△卒業証明書(新卒や第二新卒などでは提出が求められるケースが多い)

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5:年金事務所で社会保険の加入手続きをしよう(※入社後5日以内)

パート・アルバイトなどの従業員の入社後5日以内に社会保険の加入手続きを行う必要があります。社会保険の加入は、国籍や性別、賃金の額等に関係なく、パート・アルバイトを含むすべての従業員が被保険者になります(※70歳以上の場合は、原則として健康保険のみの加入)。

社会保険の加入手続きは以下の手順で進めましょう。

①健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を作成
②健康保険被保険者(異動)届を作成(※扶養家族がいる場合のみ)
③上記①・②を年金事務所に提出

6:ハローワークで雇用保険の加入手続きをしよう(※入社月の翌月10日まで)

次に雇用保険への加入手続きをしましょう。雇用保険は失業者の生活の安定のために必要な保険ですが、以下の3つの条件を満たした場合に加入する必要があります。

・勤務開始時から最低31日以上働く見込みがあること
・1週間あたり20時間以上働いていること
・学生ではないこと(※ただし、休学や夜間部等就学の状況により加入義務が生じる)

雇用保険の加入手続きは以下の手順で進めましょう。

①雇用保険被保険者資格取得届の作成
②上記①を所轄のハローワークに提出

7:市区町村で住民税の特別徴収手続きをしよう(※入社月の月内)

従業員の住民税の特別徴収に関する手続きを行います。法人は従業員の住民税を徴収して代わりに納付する義務があります。ただし、会社の総従業員数が2名以下の場合や毎月の給与額が少ないため税額が引けない場合等は、例外的に普通徴収のままでいることが認められています。

特別徴収の手続きは以下の手順で進めましょう。

①住民税の特別徴収に関する書類を作成
②上記①を従業員が居住している市区町村に提出

 

今回は、はじめてパート・アルバイトを採用する際の手続きや準備について解説しました。手続きや書類の提出に、入社後一定の期限が設定されている対象もあります。

今回解説した内容を事前に把握しておくことで、はじめてパート・アルバイトを採用する場合でもスムーズに対応できるようにしておきましょう。

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