
生産性の低下が心配…従業員の快適なテレワーク環境を支援するツール5選
政府が推進する“働き方改革”の実現に欠かせない1つの働き方がテレワークです。
また、2020年から始まった新型コロナウイルス禍に伴う外出自粛においても、テレワークが推奨され、すでに導入している中小企業も少なくないでしょう。また今後も状況が大きく変わらない限りは、導入まったなしという雰囲気は続いていくと思われます。
ご存知のように、テレワークで従業員たちは、通常のオフィスワークと異なる環境で業務を進めなければならなくなります。導入に二の足を踏む経営陣にとっては、テレワークによって従業員の生産性が低下してしまうことが不安のタネとなっているケースが多いようです。
かといってテレワークの導入を先送りにするというのも、昨今の時勢を鑑みれば現実的ではありません。従業員の生産性を低下させることなくテレワークを推進していくことが、現時点での最適解なのではないでしょうか。
そこで本記事では、新型コロナウイルス禍の2年で企業規模・業種を問わず、さまざまな企業がテレワークに取り組んできたことで、見えてきた課題と解決方法についてかいつまんで説明していきます。
目次
テレワークでの生産性を下げる要因とは
まず、テレワーク環境下において従業員の生産性を下げる要因について整理してみましょう。
・コミュニケーション量が減少する
テレワーク環境とオフィスでの勤務との最大の差は、オフィスにいるかいないかです。オフィスに従業員が揃っていれば、業務に関することやそうでないことも含めて、さまざまな事柄を話す機会が生じます。テレワークにおいては、そういった気軽な対話は難しくなり、コミュニケーション量が減少します。
特にチームでプロジェクトを進めている場合には、意思疎通の機会が少なくなることで生産性の低下につながる可能性があります。
もちろん、Web会議などでコミュニケーションを図ることは可能ですが、その場合は事前にアポを取る必要があるため、気軽なコミュニケーションとは言いがたいでしょう。また対面に比べれば相手の表情や態度が読みにくいことも意思疎通の妨げとなります。
・業務状況の把握が難しい
テレワーク環境下では、従業員の業務の進捗具合を把握しにくくなることがあります。同じオフィスにいれば、上司やチームメンバーによる進捗確認は目視や口頭で簡単に行えることが多いでしょう。しかし、テレワーク環境では改めて報告会をセッティングする必要があり、生産性の低下につながる可能性があります。
また、業務状況にも関係することですが、従業員がどれだけ意欲的に業務に取り組んでいるか、法に従った労働状況で業務に励んでいるかということを把握することも、テレワーク環境では難しくなりがちです。
さらに、オフィスでは上司や他従業員の存在がある意味で監視機構となり、それが従業員のモチベーションを保つ一因にもなります。しかしテレワーク環境では基本的に1人で業務をこなし、他者の視線を感じないことから業務への意欲を失うこともあります。
・環境が業務に適していない
業務の内容によっては、そもそもテレワーク環境に適していないということがあります。
たとえば経理部門の業務では、経理ソフトの操作や銀行への入出金作業を社内のパソコンからしか行えないことがあります。ほかにも、画像加工ソフトやCAD(キャド)ソフトを使う業務の場合、高スペックのパソコンを自宅に用意できないこともありますし、たとえ用意できてもライセンスの制限によって自宅では利用できないこともあります。そういったテレワークに適していない業務を遂行する場合、結局のところ出社を強いられることとなり、テレワークにおいて最も生産性の改善に寄与する通勤時間の削減の機会を失ってしまうことになります。
また、稟議決済や製品発注といった社内で段階的に意志決定が必要な業務もテレワークに向かない可能性があります。特に、専用の用紙にハンコを押して承認を行っているような組織の場合は、申請書にハンコを押すためだけ、それを確認して承認のハンコを押すためだけに出社するというような、まさにテレワーク推進を妨げる大きな原因になりかねません。
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従業員の快適なテレワークを支援するツール5選
このようなテレワークの生産性低下は、適切なツールの導入により、防ぐことができることも。テレワーク導入をきっかけに一挙に普及し使われるようになったツールを5つをご紹介しましょう。
テレワークを含む働き方環境の整備としては、まず次の3つのツール導入が挙げられます。Web会議ツール、ビジネスチャットツール、勤怠管理ツールです。
これらを導入し、実際にテレワーク環境で業務をしばらく行ったうえで、ワークフローツールやリモートアクセスツールのニーズの確認をして、効率化アップのステップを踏んでいくとよいでしょう。
・Web会議ツール
テレワーク環境におけるコミュニケーションの基本として導入必須ともいえるツールです。ただ、前述したようにオフィスでリアルに顔を合わせたときのコミュニケーションでは得られない情報も存在するのも確かです。そこでルールを定め、たとえばWeb会議中は必ずカメラをオンにする、ミュートにしない、毎日定時に短時間の全員参加ミーティングを設定するといった運用を行うことで、生産性の向上をはかることができるでしょう。
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Web会議システムを利用するとき、多くの場合は事前に時間を決めて会議を催すことがほとんどで、業務上とっさに相談したいときや進捗を確認したいときなどには向かないこともあります。そこで活用したいのがチャットツールです。チャットツールを常時起動しておくことで自分や他のメンバーの在籍/離席状況を明確にできますし、在籍中ならその人に即座にテキストチャットで連絡できます。また、ツール上の機能を活用して音声通話やビデオ通話をすることや、複数人によるWeb会議を招集することも可能です。
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・勤怠管理ツール
テレワーク環境においても、勤怠管理ツールを使って従業員の始業時刻、休憩時間、終業時刻を記録し、労働の実態を把握することが重要です。従業員による手動の打刻だけはなく、パソコンのログや位置情報を記録するツールもあり、不正を防ぐとともに業務の進行具合を正確に把握でき、当該従業員の業務意欲を推測することも可能です。また、業務外のサービス残業や休日就業などを把握することもできます。
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社内におけるさまざまな申請業務をワークフローツールによって申請から承認までをペーパーレス、ワンストップで行えます。申請業務をオンライン化することによって、テレワーク環境においてもわざわざ申請書類を作成したり、ハンコをもらうために出社したりといった手間が不要となります。
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リモートアクセスツールによって、自宅などの社外から社内のパソコンやサーバーへのアクセスが可能になり、オフィスにいるのとほぼ同じ環境での業務が可能となります。社内のパソコンのみで運用できるシステムについても遠隔から操作でき、前述したようなテレワークが向かない職種の従業員でも、テレワーク環境で快適に業務を遂行できます。またリモートアクセスツールの多くは、社外のユーザーがデータを持ち出すことなくパソコン作業を可能にするので、重要データを扱う業務においても生産性を維持したままテレワークを可能にします。
これらのツールについては、すでに導入済みの場合もあるでしょう。その場合、テレワーク環境でも有用に活用できるためのルール作りや、職場の状況に応じたカスタマイズが必要になることもあります。そのためには、各ツールのサポートにあたったり、導入時に利用したベンダーへ相談してみるとよいでしょう。
テレワーク導入に伴い、経営者や経営陣が従業員の生産性が低くなるかもしれないと危惧するのは至極当然のことです。しかし、ここで紹介したようなツールの導入や的確な運用によって、生産性低下を回避すると同時に、従業員のテレワーク下での業務を快適にすることも可能となります。ぜひ自社に合ったツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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* ThanhAn、y.uemura / PIXTA(ピクスタ)