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地域中小企業応援ファンド

販路を広げたいけど資金が…販路開拓に活用できる支援金を一挙紹介

2022.03.25

コロナ禍の中で今後の経営に不安を抱える各企業には、経営方針の抜本的な改革が求められています。特に、新たな販売ルートを見いだすことで新たな顧客を掴むための販路開拓を検討するケースも少なくないでしょう。

しかし、特に大企業と比較すると規模の小さい中小企業の場合、大がかりな販路開拓を図ることは同時に膨大な資金や人材を投入することにもなり、場合によっては経営が苦しくなるというリスクが存在します。

今回は、このように販路開拓を目指す中小企業が活用することのできる支援制度について紹介をしていきましょう。

小規模事業者持続化補助金

販路開拓に取り組む事業主をサポートする制度として代表的なものといえば、まず『小規模事業者持続化補助金』が挙げられるでしょう。

その名の通り小規模事業者向けの制度となり、実際に販売活路を開拓するための取り組みや、生産性向上に向けた取り組み、業務効率化を図るための取り組みを行う企業を支援するために、費用の一部が助成されます。

■対象者

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、以下の業種・規模に該当する“小規模事業者”です。

●商業・宿泊業や娯楽業を除くサービス業:常時雇用社員数5人以下
●宿泊業・娯楽業・製造業・その他業種:常時雇用社員数20人以下

“常時雇用社員”は、一般的にはフルタイム勤務の正社員が含まれ、パート・アルバイト等の短時間労働者は含まれません。また、育児・介護により休業中の者や、休職者も除外されます。

■申請方法

『小規模事業者持続化補助金』を利用するためには、まず小規模事業者が地域の経済団体である商工会や商工会議所などから指導・助言を受けた上で経営計画書・補助事業計画書を策定し、その内容が国により審査されます。その後、採択が認められた事業者には、一定額の補助金が支払われます。

小規模事業者持続化補助金には、“一般型”に加え、新型コロナウイルスが蔓延する中で新たに販路開拓をする事業者向けの制度となる“低感染リスク型ビジネス枠”があります。

低感染リスク型ビジネス枠”は、アフターコロナ社会に対応するため新たなビジネスとして販路開拓を実施したり、新サービスの導入や感染防止対策の取り組みをしたりする小規模事業者を支援する制度で、世相を反映した内容となっています。

■補助金額・補助率

採択された場合の補助金額や補助率については、以下の通りになります。“低感染リスク型ビジネス枠”の設定金額がより手厚い内容となっている点に注意が必要です。

一般型:補助対象となる経費の3分の2(上限50万円)
低感染リスク型ビジネス枠:補助対象となる経費の4分の3(上限100万円)

【もっと詳しく】
「小規模事業者持続化補助金(一般型)」とは?対象・支給金額・申請方法を整理【社労士解説】
「小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)」を解説

事業再構築補助金

『事業再構築補助金』は、中小企業等向けの補助金制度です。

新型コロナウイルス感染症による不透明な経済情勢が続く中、現体制による経営不振が続き、今後の回復が苦しい状況に陥っている中小企業等が多々みられます。

このような状況に対応するため、業態転換・事業再編など、新たなフィールドでの販路開拓を志す大胆かつ思いきった挑戦に踏み切る企業に対し、一定額を支援する制度です。

■対象者

『事業再構築補助金』の対象は、以下の業種・規模に該当する中小企業と中堅企業です。

①中小企業

製造業他:資本金3億円以下または従業員数300人以下
卸売業:資本金1億円以下または従業員数100人以下
小売業:資本金5千万円以下または従業員数50人以下
サービス業:資本金5千万円以下または従業員数100人以下

②中堅企業

中小企業の範囲外の資本金10億円未満の企業

■申請要件

『事業再構築補助金』には、“通常枠”に加え、”大規模賃金引上枠”、”卒業枠”、”グローバルV字回復枠”、”緊急事態宣言特別枠”、”最低賃金枠”の6種類の制度が展開されています。

申請に必要な主な要件は次の3つです。

①売上の減少

2020年4月以降の一定期間の合計売上高がコロナ以前と比較して10%以上減少、そして2020年10月以降の一定期間の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少

②事業再構築への取り組み

事業再構築指針に沿った形で新たな分野への展開、業態転換、事業や業種転換などを実施

③認定支援機関との事業計画策定

認定経営革新等支援機関として認定を受けた専門家の意見を仰ぎながら、付加価値額の年率平均増加達成までの事業計画を策定

■補助金額・補助率

採択された場合の補助金額や補助率については、種類により金額や補助率が多岐にわたりますが、<通常枠>の場合の金額や率は以下の通りになります。

①補助金額

従業員20人以下の企業:100万円~4,000万円
従業員21~50人の企業:100万円~6,000万円
従業員51人以上の企業:100万円~8,000万円

②補助率

中小企業:3分の2(6,000万円超の場合は2分の1)
中堅企業:2分の1(4,000万円超の場合は3分の1)

【もっと詳しく】社労士が教える!「事業再構築補助金」申請書づくりのコツ・書き方のポイント

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

最後に、補助金制度とは異なりますが、全国各地で新たな事業展開を計画する中小企業者向けに、都道府県・地域金融機関が共同出資しているファンドを紹介しましょう。

資金の供給や経営のサポートを受けることができる『地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)』は、ファンドの運用は各都道府県の中小企業支援機関が実施し、収益を地域に貢献した新たな事業に対して助成するという仕組みです。

主に、各地の特産物や商品開発にかかる費用を助成する“地域中小企業応援ファンド”と、農林漁業者と連携する中小企業が商品開発や販路開拓をした場合の費用を助成する“農商工連携型地域中小企業応援ファンド”の2種類のファンドシステムで構成されています。

■対象者

ファンドの対象となるのは、制度ごとに以下が対象とされています。

①地域中小企業応援ファンド

中小企業者・創業者などの企業家やその支援機関、NPO法人など

②農商工連携型地域中小企業応援ファンド

中小企業者と農林漁業者の連携団体やその支援機関、NPO法人と農林漁業者の連携団体など(※中小企業のみの団体・農林漁業者のみの団体は対象外)

■申請の詳細

都道府県によって、必要とされている事業内容が異なります。助成対象となる事業の内容や申請の詳細については、各都道府県の運営管理者へ問い合わせましょう。なお、企業の所在地を管轄する都道府県に該当するファンドが存在しない場合は、助成を受けることができない点についても注意が必要です。

ファンド運営元となる中小機構では、地域ごとのファンドの概要を記載したリーフレットを公表していますので、参考にしてみて下さい。

参考:中小機構ホームページ(地域中小企業応援ファンド一覧(電子ブック))

まとめ

中小企業向けの支援金制度が多々展開されていることがお分かりいただけたかと思います。

今回紹介した支援金制度の他にも、さまざまな制度があることから、自社の体制に沿った内容を探してみてはいかがでしょうか。

コロナ禍であることを逆手に取り、支援金制度を利用することで、思い切った経営戦略を打ち出す方法も今後の会社経営にとって有効となることでしょう。

【参考】
小規模事業者持続化補助金』 / 日本商工会議所
中小企業等事業再構築促進事業』 / 中小企業庁
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)』 / 中小機構

*w_stock、nonpii / PIXTA(ピクスタ)