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新卒採用

小規模企業に新卒採用は必要?採用のプロに聞く大手企業に勝つ人材確保のポイント

2022.05.03

志をもって会社を経営しているからこそ悩みが尽きない経営者ですが、壁にぶつかったとき、他の経営者はどうしているのだろうと思ったことはありませんか?

『経営ノウハウの泉』社長対談型のセミナーは、パシフィック・コミュニケーションズ株式会社代表取締役社長・相川裕彦氏が、異なる会社で活躍する経営者の“考え”や”失敗”を深堀。中小企業経営者の方の悩みがちなテーマについて、自社に活かせる解決方法のヒントをお届けします。

第4回となる今回は、大企業に負けない!中小企業の新卒採用とは?をテーマに対談ウェビナーを開催しました。ウェビナーでは新卒採用のダイレクト・リクルーティングツールである『OfferBox(オファーボックス)』を手掛ける株式会社i-plug代表取締役CEO中野智哉氏をゲストにお迎えし、中小企業における新卒採用の重要性や効率的な新卒採用についてのお話を伺うとともに、寄せられた質問について対談が展開されました。

ここでは、その内容を4回にわたってお届けしていきます。第3回は「対談セッション(前編)」をお送りします。

第1回:現在の新卒市場とこれからの採用
第2回:ダイレクトリクルーティングによる新卒採用
第3回:中小企業から寄せられた質問へ回答(前編)
第4回:中小企業から寄せられた質問へ回答(後編)

資料・動画のDLはこちらから

登壇者プロフィール

ゲスト:中野智哉(なかの・ともや)
株式会社i-plug 代表取締役CEO。1978年兵庫県生まれ。2001年中京大学経営学部経営学科卒業。株式会社インテリジェンス(現パーソルグループ)入社。新卒・中途において紹介型採用・広告採用型採用など、約10年の所属期間で一通りの採用業界の営業を経験。2012年4月18日に株式会社i-plugを設立し、代表取締役CEOに就任。約20年間採用市場で業務をしてきた経験から、新卒採用を分析する。

ファシリテーター:相川裕彦(あいかわ・やすひこ)
パシフィック・コミュニケーションズ株式会社代表取締役社長。大阪芸術大学卒業。複数の大手広告会社において、営業から各種プランニング(クリエイティブ・デジタルプロモーション含む)、新規開発業務、チームマネジメントに至るまで、幅広い業務を経験。2020年5月コロナ禍の中、WEBメディア支援を手掛けるINCLUSIVEグループ会社のトップに就任。

小規模の企業に新卒採用は必要?

相川:ダイレクトリクルーティングについてのご説明ありがとうございました。伺ったお話の中にたくさん新卒採用に関係するヒントがありました。なかでも驚いたのは77%もの学生さんが当初の希望とは異なった業界に入社するということです。いかに企業側の提案が重要かがわかりました。

参加者の皆さまからもリアルタイムで質問が寄せられていますし、あらかじめ用意したこのパネルのテーマからもチョイスしてディスカッションを進めて行きます。

寄せられている質問の中で私も経営者の1人として同じようなことを感じていて、ぜひお伺いしたいのが「中小企業の中でもごく小規模経営の企業が新卒採用するのはそもそもどうなの?」という話です。弊社もグループとしては100名ぐらいの従業員がいるのですが、私の会社だけみたら10名程度の規模です。こういう規模の企業における新卒採用についてアドバイスいただけますか?

中野:企業の価値観や経営に対する理念に影響する部分も大きいと思うのですが、知っていただきたいファクトがあります。まず、新卒採用の対象は、もちろんまだ働いていない学生です。彼らはほぼ100%全員が、労働市場に参画するように活動しています。かたや中途採用市場というと、実は年間全労働者の5%しか転職していないのです。

相川:なるほど。

中野:企業が目的の人材を得るとき、全員が求職している新卒者にアプローチするのか、それとも5%の転職希望者にアプローチするのかという違いが大きいと思います。

もちろん、新卒採用には良し悪しがあります。育成は絶対必須なので、育成する余裕がない企業にはハードルが高い。しかしその“育成力”が経営にとって、最終的な強みになることも多くなっています。

要するに、中途で採用し続けることは労働市場から人材を確保できるという状況ではあるのですが、これは競合にとっても同じことができるということ。企業間の競争優勢には結びつかないことが多いです。入社した新卒の人材を育成することで、その本人の能力・スキル的な成長も望めますが、企業文化や価値観の体現も期待できます。新卒を育成するほどに企業へのフィット感がどんどん上がっていくとともに、組織がより強固になるメリットも得られるのです。これが企業にとっては1つの強みになると言えます。

そのようなことを踏まえて、最終的には中途か新卒かどちらを選択するかは、企業の判断に委ねられるというところなのですが……。

相川:そうですよね、ありがとうございます。

弊社の場合、現在はグループで採用した新卒の人材を預かり育成しています。将来的にビジネスを強くする意味で、自社での新卒採用に取り組んでみたいと思っているところだったんです。

今のお話を伺ってハッとしたのは、中途市場では人材が5%しか流動していないということです。転職の話はよく耳にするので、なんとなくすごく転職者が多いのかと思っていました。

中野:そうなんですよ。実際のところは一握りの方しか転職を果たしていないんです。

相川:その一方で新卒は毎年毎年、社会に旅立とう、社会で活躍しようとしているわけです。そこから有能な方を採用していくほうが、自分たちを共鳴強化でき、経営力につながるという考えですよね。

中野:そうですね。どちらを選択するかです。実際のところ弊社も今年で創業10年目なんですが、新卒採用を始めたのは創業4年目なんです。新卒採用で大きくなった会社ではないので、絶対やったほうが良い!と断言できるほどではないんですけど(笑)

相川:そうなんですね(笑) 4年目までは経験者の方を中心に採用されていたということですね。

中野:はい。人材系から営業職へ転じた方も多かったですし、システム開発を自社でやっているためエンジニアの方を採用したり、IT系のマーケティング職の方……と、いろいろな業界から来ていただいたという感じですね。

相川:なるほど、ありがとうございます。

中小企業の新卒採用はいつから始める?

相川:中小企業が新卒採用を始めるとした場合、大手企業との兼ね合いもあると思うのですが、いつから始めるのが得策なのでしょうか?

中野:これは新卒採用について大手と闘う意識ということでしょうね。それを踏まえると、今、日本に法人は約170万社存在しているのですが、その中で新卒採用を行っている法人は約3万7000社ぐらいです。

相川:そうなんですね。

中野:そして、大卒で就職を希望する方は年間45万人います。その中の約20万人は1,000名以上の規模の会社に入社しています。すべての企業が中途採用を行っているとは限りませんが、この状況で大手と闘って優秀な人材を採用するとすれば、もちろん新卒の方が成功しやすいのです。

大手と闘う場合、オファーのタイミングが重要です。弊社の『OfferBox』を利用している学生のさまざまなデータを公開しているのですが、その中にどの時期にアクティブに就活しているかというデータがあります。それを参照すると、大学3年生の春ぐらいからインターンシップなどにどんどん参加して、希望企業を決める傾向にあります。情報感度が高くて行動力のある学生がまず動いて、大多数のマジョリティーが3月ぐらいから動いていくということですね。

それに対して企業側のデータもあります。早い時期の企業の動きはそれほど大きくありませんが、早ければ早いほど大手企業に動きがあるというデータもあります。そのため人材採用で大手と闘う場合には、戦略をよく練る必要があります。

しかし戦略と言っても、競争相手は採用における競合であって、営業活動のそれとはちがいます。そこをよく考えて競争相手を想定して、どう動くべきかを考える必要があるでしょう。

相川:なるほど。早めに動くという意味では経営計画の立て方のように、経営者として前倒しして考えていかないといけないんだなと改めて感じました。

選考に進む学生が約25%に留まってしまう…割合改善はどうすればいい?

相川:採用活動のほとんどの時間を会社説明に割いて、残りの時間で少しだけ質疑応答をする形で運用している企業から、選考に進む学生が25%ぐらいに留まってしまうというお悩みです。この割合をどうにか上げられないか?という相談ですね。

中野:まず、学生の意識が変わってきていることを理解する必要があります。今の学生はTikTokやYouTubeの影響で、動画を見てわかるものは、オンラインにせよオフラインにせよ、コミュニケーション時に得られる情報としてそれほどインパクトを感じません。

だからこそ、コミュニケーションを取っているときに話す内容は非常に重要です。会ったときに会社の説明をしておかないと興味を持ってもらえないと思うのはもちろんかもしれませんが、動画で伝わるような情報はできるだけ少なくするのが重要です。

相川:なるほど。動画で共有できるような情報は事前に送っておいて「見ておいてください」と伝える。コミュニケーションを取る機会があるのであれば、質疑応答を含めた対話型のコミュニケーションに長い時間を割くべきということですね。

中野:逆に、リアルなコミュニケーションでしかできない対話型の流れで会社のことを伝えると評価が一気に上がることもあります。

オファーで来てくれているということは、基本的にそこまで興味がない学生ということもあります。そういう学生に「事前に動画を見ておいて」と言っても見ない。だからこそコミュニケーション時に学生さんが興味のありそうなことだけを伝えて「もっと自社のことを知りたいなら動画を見てね」と伝えて、あとで見てもらうのです。

相川:なるほど前後が逆なんですね。

中野:はい。いずれにしてもこの1to1コミュニケーションの取り方が、エントリー型の採用手法とは大きく異なるところです。

相川:それはたしかに“気付き”です。オファーに反応したからといって、必ずしも自社に興味を持ってもらえていると勘違いしてはいけないということですね。

中野:そうです。採用活動と営業活動、販売活動とは構造がほとんど一緒なのです。相手を知って適応して行く必要があると考えればわかりやすいかと思います。

相川:営業マンがお客様のところへ初めて営業に行って「うちを知らないんですか?」みたいな横柄な営業はできないですもんね(笑) それを考えると、たしかにすごくたくさんの会社が世の中に存在する中で、自分の会社が絶対知られているという意識が間違いですよね。

中野:そうですね。

相川:なるほど、ありがとうございます。

中小企業の新卒採用について寄せられた質問に、いくつもの明確な回答が得られました。大企業とは異なる新卒採用戦略の一助として参考になると思います。次回もこのウェビナーに寄せられた質問をもとに中野氏と相川氏が展開する「対談セッション(後編)」をお送りします。

*Jake Images、hanack、takeuchi masato / PIXTA(ピクスタ)

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