登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 総務・法務 > フリーアドレスだけじゃ不十分?場所にとらわれない「ABW」という働き方【第1回】
ABW

フリーアドレスだけじゃ不十分?場所にとらわれない「ABW」という働き方【第1回】

“ABW”という言葉が近年注目されはじめています。ABWとは、新しい働き方やオフィスのあり方を表す言葉です。新しく奥が深いテーマなので、なかなかいっぺんに理解するのは難しいでしょう。この連載では複数回に分けてABWについて解説していきます。

「ABW(Activity Based Working)」とは

ABWとは「Activity Based Working」の略称で、その日の仕事内容や気分に応じて自由に働く場所を選べる働き方です。働く場所というのはオフィスの座席だけでなく、自宅やサテライトオフィス、コワーキングオフィス、カフェなどの場所も含めて自由に選べるという意味です。ABWを導入することにより、社員たちの主体性の強化、ワークライフバランスの推進、優秀な求職者へのアピール、自社ブランドの向上などの効果が得られます。

しかし、導入にはいくつかのハードルや課題点も存在するため、ただ流行に乗って導入するよりも、自社に合ったやり方を慎重に検討した上で導入すべきでしょう。

フリーアドレスとの違い

ABWとよく似た言葉に“フリーアドレス”があります。しかしABWとフリーアドレスは似て異なるものです。ABWは、その日の仕事内容や気分に応じて自由に働く場所を選べる働き方で、生産性向上や働きやすさの向上を目的に実施されます。フリーアドレスはオフィスの中で座席が自由に選べる働き方です。オフィス内でのコミュニケーションの増加やスペース効率化によるコスト削減が主な目的となります。つまり、フリーアドレスはあくまでもオフィスに出社することは規定されているのです。しかし、ABWの場合はオフィスに出社するかどうかも含め社員が選択できる点で異なります。

【フリーアドレスについてもっと詳しく】オフィスの有効活用に!失敗しないフリーアドレスの進め方とレイアウト

中小企業が「ABW」を実施する場合のメリット

生産性が向上する

ABWの実施により、社員のモチベーションが向上し、生産性が向上すると考えられます。業務の内容によっては集中して作業したいときもありますし、他の社員とコミュニケーションを取りながら作業をしたい場合もあるでしょう。社員個人にその日の働き方を選んでもらうことで、最適な環境で作業ができ、効率が上がると考えられます。

社員の自律性が養われる

会社から指示された働き方ばかりをしていると、自然と考え方が受動的になってしまいます。ABWを実施すると、社員たちは自分の働き方について、自分で考えなければなりません。言い方を変えると、自分の仕事の効率を上げるための創意工夫の余地が大きくなります。働き方を工夫して効率を上げることができれば、大きな成果につながるでしょう。その結果、社員たちの自律性が養われ、指示を待つ文化から自ら考え行動する文化に自然と変わっていくと考えられます。

コスト削減に繋がる

全員がオフィスに出社する体制では、全員が座れる広さのオフィスを用意しなければなりません。しかしABWならば、全体の何割かの社員は常に社外で仕事をしている状態になります。したがって、そのぶんオフィスの面積を縮小でき、コストの削減に繋がると考えられます。

企業ブランド価値の向上

働き方改革が国の政策として話題になって以降、どの企業がどんな働き方を推進しているかへの関心が高まっています。ABWという新しい働き方の導入で「イノベーティブ(革新的)な企業である」との認知が広がり、企業のブランド価値が向上する可能性が高いです。昨今は、多様な働き方やワークライフバランスを重視する傾向が高まっているため、人材の獲得にも有利にはたらくでしょう。

【もっと詳しく】業績改善や採用活動にも効果が!? 中小企業がコーポレートブランド確立に取り組むメリット

中小企業がABWを実施する場合のデメリット

労務管理が難しくなる

オフィス以外で働く社員が増え、しかも日によって出社の有無がまちまちな状態になると、従来のような労務管理方法では難しくなります。自宅やカフェなどどこでも打刻できるような労務管理システムを導入する必要があります。

また、人事評価制度も変革する必要があるでしょう。在宅やカフェなどで働いている社員を働きぶりで評価することは難しいからです。ただし、社員の働きぶりが見えないからといって、あまりにも厳格なルールにしすぎると本末転倒です。社員の自律性を阻害しない程度にバランスを考慮する必要があるでしょう。

社員が慣れるまでに時間がかかる

人間が長年の習慣を変えるのはなかなか難しいものです。毎日あたりまえのように出社していたのに、急に「明日からどこで働いてもいいよ」と言われても、戸惑ってしまう社員は多いでしょう。その結果、制度上は自由な働き方にはなったが、結局はみんな出社して従来通り働いているといった状態になりかねません。導入の際には社員に対して、制度の意義やメリットを十分に説明する必要があります。

まとめ:オフィス改革に向けて今すぐにでも始められること

オフィス改革のためにまず始めるべきは自社のオフィスをよく知ることです。自社のオフィスにどんな課題点があるのかを調査し、洗い出しましょう。現在のオフィスへの不満についても社員にアンケートを取ったり、オフィスの座席や会議室の利用率を測定したりして、データを取ります。自社のオフィスの思わぬ課題点が見えてくるかもしれません。ABWを導入するかしないかも含めて、まずは情報の収集から始めてみてはいかがでしょうか。

【こちらの記事も】多様な働き方が増えた今こそ考えたい。オフィス環境にまつわる相談まとめ

【オフィスの課題を見える化】働く環境診断「はたナビPro」お問い合わせはこちら