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エクセル 初心者向け

【まずはここから】Excel(エクセル)で現金出納帳(げんきんすいとうちょう)を作ってみよう

現金出納帳(げんきんすいとうちょう)は管理会計に使われる帳簿の中でも非常に重要です。特に飲食店や小売店など現金決済が中心の店舗を抱える企業では、現金の入出金が会計の基礎となります。現金出納帳の正しい作成はたくさんのメリットがあるのです。今回は、現金出納帳の基礎と『Microsoft Excel(マイクロソフト・エクセル、以下、Excel)』での作り方を解説します。

「現金出納帳」とは

現金出納帳は「げんきんすいとうちょう」と読みます。企業が会計に使う帳簿のうち現金の入金と出金を表すものです。決算報告書の中には入っていないため、作成するのは義務ではありません。しかし、現金の流れを可視化するのは企業にとって非常に重要です。なぜなら、実際の現金の残高と帳簿上の残高の完全な一致が会計上必要だからです。

正しく帳簿を付けた場合、残高は必ず実際の現金の金額と一致します。もし一致していないならば帳簿に抜けがあったり誤った入出金が計上されていたりします。その場合には領収書などと帳簿を突き合わせて誤っている箇所を見つけなければなりません。その際に現金出納帳は非常に役に立つのです。特に現金商売が中心になる小売や飲食店などの店舗では現金出納帳はお金の管理の面で必須と言えます。

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預金出納帳、現預金出納帳との違い

現金出納帳の“現金”とは文字通り手元にある現金を指します。つまり銀行口座に預けてあるお金は含まれません。銀行口座の入出金を記帳した帳簿は“預金出納帳”と呼ばれます。例えば銀行口座から10万円を引き出した場合は、預金出納帳には10万円の出金が記帳され、現金出納帳には10万円の入金が記録されます。

会計ソフトでは現金と預金の入出金を一括で可視化できる“現預金出納帳”が搭載されている製品が多いです。現金出納帳、預金出納帳、現預金出納帳は全て会社から出ていくお金と入ってくるお金を可視化する点で同じです。

現金出納帳はなぜ必要?

現金出納帳が必要な理由は数多くありますが、主に以下の3点に集約されます。

①資金繰りに役立つ

企業にとって、収益も大事ですが、それと同じぐらい大事なのは現金の流れです。なぜなら、現金の残高が一時的に低下し、資金がショートしてしまうと、黒字倒産の事態もあり得るからです。現金出納帳は預金出納帳と合わせて入金と出金を全て記帳し、いつどこでどのように入出金があったかを可視化できます。これを日々続けていると自社の入出金の傾向がわかってきます。例えば1ヶ月のうち何番目の週に出金が多くなるか、残高が減る傾向にあるかが可視化され、資金繰りに役立てられます。

②不正やミスの防止に役立つ

企業が警戒しなければならないリスクは社外だけにあるとは限りません。残念なことですが、自社の社員が会社のお金に手をつけて逮捕されてしまう事件がたびたび発生しています。現金出納帳はそのような不正の防止に役立ちます。なぜなら、銀行の通帳には記録されない手元の現金の入出金を全て記帳するからです。現金出納帳には、たった100円の出金でも何の目的で誰に支払われたのかが記帳されます。特定の出金履歴だけを記帳せずに隠そうとしても実際の現金残高と合わなくなるので偽装は難しいです。普段から現金出納帳に記帳していれば、不自然なお金の動きに気づきやすくなります。

また、特に現金商売を行っている店舗では、現金残高の過不足が発生しやすいです。先述したように不正も考えられますが、大抵は釣り銭を間違えていたり小銭を紛失していたりするミスが原因であるケースが多いです。現金出納帳には実際の現金残高が帳簿上の金額と比べてどれだけ乖離しているかも「現金過不足」という勘定科目で記帳されます。現金決済のミスがどれだけ発生しているかが可視化されるのです。

③税務調査の際に役立つ

企業にとって大変面倒なイベントの1つが税務調査でしょう。企業は税務官に申告漏れなどが無い事実を説明しなければなりません。現金取引は明細などの客観的な証拠が残りにくいため、調査官も重点的に調べようとしてきます。現金出納帳はこれを説明するのに非常に役立ちます。現金取引について現金出納帳を用いてきっちりと説明できると調査官の心証も良くなるでしょう。

一方、現金の管理がずさんな経営者はどんぶり勘定で経営していると疑われ、キャッシュレスの取引でも疑われやすくなるのです。

Excel(エクセル)で現金出納帳を作ってみよう

会計ソフトを使っていない場合でも、現金出納帳はExcel(エクセル)でとても簡単に作成できます。以下にその手順を解説します。

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1. 最上行に記載項目を書く

まずいちばん上の行に記載項目を書きましょう。記載項目は「取引日」「勘定科目」「摘要」「入金」「出金」「残高」の6つです。

2.罫線を引く

この状態では罫線が引かれておらず見にくいので、ツールバーにある罫線のアイコン(田んぼの田のようなアイコン)を使って格子状に罫線を引きましょう。

3.期首残高と最初の取引内容を書く

まずF2のセルに期首残高を入力します。次に3行目に最初の取引内容を書きます。内容は売上でも仕入でも何でもかまいません。

4.残高を計算する数式を入力する

今回は残高が自動で計算されるように作りましょう。F3のセルに以下のように数式を入れます

=F2+D3-E3

 

この数式の要素は「F2:前回の取引残高」「D3:今回の取引の入金」「E3:今回の取引の出金」という意味です。つまり「前回の残高に今回の入出金を加減算して今回の残高を算出する」という計算式になります。

入力できたら、F3を右クリックし、コピーして、それをF列全体にペーストしましょう。これで自動的に残高が計算されるようになります。

5.取引を入力していく

あとは取引を入力していくだけです。毎日かかさず記帳しましょう。BtoCの店舗の場合は決済ごとに記帳するのが難しいので、1日ごとに売上や仕入をまとめて記帳すると良いでしょう。また、摘要は「誰に何のために支払ったか」がわかるように書きましょう。

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現金出納帳を作るときのポイント

現金の補填で帳尻を合わせないこと

先述したように、現金の残高と現金出納帳の残高が合わなくなる状態は、現金決済が中心の店舗で発生しやすいです。その場合、個人の財布から現金を出して補填するのはやめましょう。そのようなことをすると、いつどれだけの過不足が発生したのかがわからなくなり、現金出納帳の意味が無くなります。

残高が合わない場合は、まず原因を調査し、どうしてもわからない場合は「現金過不足」という勘定科目でひとまず帳簿の残高を実際の現金に合わせましょう。もし後日に原因が判明したら雑費や雑損失という形で現金過不足と相殺します。もし原因がわからないままでも決算の段階で雑費や雑損失として処理しなければなりません。

あまりにも残高が合わない場合は根本的な調査と対策が必要

あまりにも頻繁に残高が合わない場合は、根本的な原因の解明をしなければならないでしょう。誰かが不正をしているか、従業員の会計知識やスキルが低いか、いずれかが原因です。一時的に経理に慣れている正社員しかレジに触れないようにする、キャッシュレス決済を導入するなど、根本的な対策が必要でしょう。

まとめ:現金管理は企業の活動の基礎です

現金の入出金は企業の経済活動の基本であり、また不正やミスが発生しやすい部分でもあります。ずさんな管理をしていると資金繰りが悪化したり、申告漏れを指摘されてしまう場合もあります。普段から現金出納帳をしっかり作り、営業活動の透明性を保ちましょう。

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*emma、masa / PIXTA(ピクスタ)

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