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企業版ふるさと納税

最大9割の節税効果!? 今さら聞けない「企業版ふるさと納税」の基礎

毎年、年末が近づくと世間はふるさと納税の話題でもちきりになります。実は、個人だけではなく企業にもふるさと納税の制度があることをご存知でしょうか? 上手く活用すると企業の成長に大きく寄与する可能性も。本記事では、個人のふるさと納税との違いを含め、企業版ふるさと納税について解説します。

企業版ふるさと納税とは?個人のふるさと納税との違い

“企業版ふるさと納税”とは、2016年から始まった公的な寄附金制度です。企業が、国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の“地方創生プロジェクト”に対して寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組みです。

“ふるさと納税”は聞いたことがあるでしょう。好きな地方自治体に寄附をすると、所得税や住民税から一定金額が控除される仕組みです。寄附に対して返礼品がもらえてお得なため、毎年末になると話題になります。企業版ふるさと納税は個人のふるさと納税とは異なった点がいくつかあります。主な違いは以下の通りです。

  • 返礼品がない
  • 地方創生のための事業に対して寄附する
  • 本店所在地の自治体には寄附できない
  • 寄附金額の最大9割が税額控除
  • 寄附金額は10万円から

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企業版ふるさと納税による節税効果は?

企業版ふるさと納税による節税効果は、一般的な寄附金控除よりもかなり高いです。一般的な寄附金控除の場合、実質的な節税効果は寄附した額の3割ほどしかありませんが、企業版ふるさと納税を使えば、支払い額の6割が税額控除されます。表で比較してみましょう。

地方自治体に寄附をすると全額を損金算入でき、実効税率を考えると損金の額の3割の節税効果があります。それは一般的な寄附金控除も企業版ふるさと納税も同じです。一般的な寄附金控除の節税効果はそれだけですが、企業版ふるさと納税ではそこからさらに支払金額の6割の税額控除が適用されます。税額控除の内訳は“法人税・法人住民税”が4割、“法人事業税”が2割です。よって損金計上の節税効果と合わせると実質合計で最大9割の節税効果が見込めます。つまり、企業負担は最小1割で寄附ができるということです。

【参考】「企業版ふるさと納税リーフレット」 / 内閣府 地方創生推進事務局

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中小企業が企業版ふるさと納税を行うメリット

①中小企業や小規模企業でも使いやすい

企業版ふるさと納税は最低寄附金額が10万円からと少額に設定されています。よって、あまり売上規模の大きくない会社でも利用しやすいメリットがあります。しかも、一般的な寄附金よりも節税効果が大きいので、社会貢献をしながら堅実な節税が可能です。

②企業のイメージアップにつながる

企業版ふるさと納税において、寄附をした事実はホームページやパンフレットなどで公表して良いことになっています。企業のCSR活動としてPRが可能です。また、寄附対象の事業にはSDGsに関係したものも多いです。そのような事業に寄附することでSDGsへの取り組みにもなります。企業イメージのアップは優秀な人材の確保に対しても有効に働くでしょう。

③新しいビジネスチャンスにつながる

企業版ふるさと納税で寄附する自治体は自社の本店所在地以外の自治体です。普段あまり関わりがない自治体と関係を築くきっかけになります。支援対象の事業には、働き方改革や地域資源の活用など、その地域の住民や企業と密接に関わるような内容のものもあり、そのような事業に寄附とその地域での知名度も上がります。普段関わりのない地域の企業や住民と関係が深まることで、新しい市場開拓にもつながるかもしれません。

また、企業版ふるさと納税の寄附対象の事業は、その地域の社会的な課題に関係するものが多いです。寄附活動を通じてその地域に存在する課題や住民の生活ニーズなどをインプットすることで、新規事業のアイデアが生まれるかもしれません。

【参考】「企業版ふるさと納税ポータルサイト」 / 内閣府地方創生推進事務局

中小企業が企業版ふるさと納税を行うデメリット

①直接の見返りは無い

個人版のふるさと納税ならば返礼品という直接的な還元がありますが、企業版ふるさと納税には寄附先からの経済的な還元はありません。あくまでも節税効果と、PR効果やビジネスチャンスの創出といった間接的な利益がメリットです。

②本店所在地への寄附はできない

企業版ふるさと納税では本店所在地を管轄する自治体への寄附はできないことになっています。例えば神奈川県川崎市にある会社なら神奈川県と川崎市への寄附はできません。個人版ふるさと納税では返礼品をもらえない代わりに寄附だけはできますが、企業版ではできない点に注意が必要です。また、不交付団体(国から地方交付税の交付を受けずに財政運営を行っている地方公共団体)である東京都、不交付団体で三大都市圏の既成市街地等に所在する市区町村は対象外です。

まとめ:企業版ふるさと納税を活用して地方創生に貢献しよう

企業版ふるさと納税は、地域社会への貢献を通じて、PR効果やその地域の企業や住民との関係の強化、新しいビジネスチャンスの創出、節税効果などといったさまざまなメリットがあります。ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

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【参考】「企業版ふるさと納税リーフレット」 / 内閣府 地方創生推進事務局

*Luce、Rhetorica、buritora、CORA / PIXTA(ピクスタ)

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