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経営者

【株式会社クロスアイ副社長・伊藤啓輔氏が語る】オフィス移転1ヶ月で気づいた「オフィスをもつメリット」とは?

経営者に経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣を紐解くのが本連載「成功を掴んだターニングポイント」。今回は、株式会社クロスアイの副社長・伊藤啓輔氏にお話を伺いました。

株式会社クロスアイは、経験豊富なキャスティングディレクターなどで構成された“日本一芸能に詳しい”をコンセプトにしたキャスティング会社です。企業の広告や媒体へ、有名人やインフルエンサーをキャスティングしています。属人的なコネクションに依存しがちなキャスティング事業を、システム化しデータベースをもとに効率化することで、事業を拡大してきたといいます。そんな株式会社クロスアイの伊藤氏にお話を伺いました。

<プロフィール>
株式会社クロスアイ
副社長
伊藤啓輔

株式会社USENに新卒入社し、法人向けICT営業部門にて新人王、事業部内最多成約数を獲得後、私立大学職員となる。就職支援、広報職で成果を残し、改革施策提案部門にて最優秀賞を獲得した後に独立。その後、複数の企業において役員として立ち上げに携わり、創業からの社内システム構築速度に定評がある。現在は、株式会社クロスアイにおける営業部門、情報システム部門、総務部門の最高責任者を務める。

Q1.貴社の事業について教えてください

キャスティングを事業の柱に据えつつ、動画制作事業も行っています。キャスティングでは、広告やイベントにタレントやインフルエンサー、専門家を起用し、その前後の提案や契約周りを丁寧に整える業務を行っています。

キャスティング会社は世の中に数多くありますが、弊社は“4つの強み”をもっています。

まず一つ目は、“強固な芸能コネクション”です。芸能マネージャーやインフルエンサー経験者を中心としたキャスティングディレクターが多くいますので、強固かつ幅広いコネクションを有しています。広告やPRにおいて重要となる表現方法に関する知識が豊富です。

また、“すべてのジャンルのキャスティングをカバーしている”のも、クライアントから評価されるポイントです。例を挙げると、著名人やインフルエンサー、サブカル系の識者、さらには動物やキャラクターまでキャスティング可能です。

さらに、“芸能事務所との連携スピード”も強みの一つです。クロスアイでは、チャットツールを積極的に活用していて、有名事務所を筆頭に会社間のグループチャットを展開しております。現在約100社以上とつながっていて、迅速かつ丁寧な対応を実現しています。

最後に“自社データベース+SaaSの導入”です。著名なタレント約6,000人の契約料や、過去の起用条件をまとめたデータベースを作成しています。これによって、属人性を排除して、より効率的で最適なご提案を可能にしています。また、複数のマーケティングツールを導入することで、真に効果のあるキャスティングを目指しています。

Q2.創業から「組織づくり」における苦労はありましたか?

2019年に代表とともに創業し、正直、苦労はいくつもあるのですが……やはり人材関連でしょうか。

キャスティング会社の多くは、芸能事務所との強いコネクションを特徴にしています。そのコネクションは、社員個人でつくっていることが多く、属人的になりがちです。影響力をもっている社員が抜けると、会社が弱体化してしまうリスクがあるんです。

ただ弊社は、そういった属人的な業務をできるだけなくし、システム化を行うことで、強固な組織を目指しています。そのため、人事面でもビジネスやITリテラシーの高さを評価するようにしています。どれだけ経験や強いコネクションをもっているとしても、仲間に還元できなければ意味がありません。

そういった意味では、業界に長くいらっしゃる経験者の方と社風が衝突する時期もありました。たしかに、社員が離れてしまうのはいつも辛い思いをします。また小さい組織なので、周りに与える影響も少なからずあります。社員が離職してしまったときには、「採用時に改善の余地はなかったのか」「ミスマッチを防ぐことはできなかったのか」などを、経営陣で振り返っています。

試行錯誤の結果、ビジネスリテラシーやITリテラシーを評価して採用を行い、現メンバーはベンチャーマインドに加え、明るく真面目な面々が揃っています。

Q3.オフィス移転のきっかけとその後の変化は?

2019年に創業してからは、シェアオフィスを使用しておりました。創業後すぐに“コロナ禍”となったので、オフィスの必要性も薄く、よい選択であったと思っています。

ただ、企業を成長させていく上で、“組織に変化を与えて骨太にしていくこと”は大切です。そのため、「単独のオフィスをもつ」という変化が組織のよい刺激になると考えて、オフィス移転のタイミングをうかがっていました。そんな折に、2023年4月にグループ会社である株式会社クッションを吸収合併しました。同タイミングで新卒メンバーが入社することもありまして、今こそ組織が拡大する絶好の機会だと思い、移転に至りました。

Q4.企業の成長につながるオフィス環境とはどんなものでしょうか。

社員全員を同じベクトルに向けられる環境が、理想のオフィスなのではないでしょうか。それが、社員のモチベーションアップにつながり、会社全体として目標に歩んでいけるような環境だと思います。弊社は、オフィス移転をしてまだ1ヶ月程度ですが、社員には週2回しか出勤要請をしていないにも関わらず、ほぼ全員が毎日オフィスに出社してくれています。オフィスを移転したことで、社員一人ひとりに責任感が生まれ、目に見えて活気が出てきたと思います。これが会社への“帰属意識”なのかもしれないと実感しています。

また、移転後に社員から、オフィスに関するさまざまな要望が出てきています。こういった要望をもとにオフィスを改善することは重要ですが、ベンチャー企業である弊社は、すべてを反映することが予算の都合で難しく、その都度、取捨選択しています。この取捨選択を、会社からのメッセージだと社員に受け取ってもらい、「会社は今どのようなことを目指して動いているのか」「そこに自分はどのように貢献できるのか」を考えてもらうきっかけになればと思っています。

Q5.今後の展望について教えてください

キャスティングのジャンルをさらに拡大させることを進めつつ、広告運用や制作領域にも事業を拡げていきたいです。今後は、広告の分野において幅広い事業を手掛ける“芸能総合商社”として確固たる地位を築きたいと考えています。

***

今回はオフィス移転から1ヶ月のベンチャー企業の、組織づくりやオフィスのポイントを聞くことができました。コロナ禍が落ち着いた今こそ、企業がオフィスを持つ意味やその役割を、もう一度考えるタイミングに来ているはずです。株式会社クロスアイのオフィス移転の話を参考にしてみてはいかがでしょうか。

Interview&Photo/Takanobu Sasaki

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