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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 自身が気づいていない人も多い?「指示待ち人間」を生み出す会社の特徴とは
指示待ち社員

自身が気づいていない人も多い?「指示待ち人間」を生み出す会社の特徴とは

2023.09.19

“指示待ち社員”という言葉があります。こちらから指示をしないと動けない“指示待ち社員”になってしまう要因は、社員のみにあると思い込んではいませんか?

指示待ち社員が生まれる原因には、実はさまざまな理由があります。今回は、指示待ち社員の特徴や生まれる要因、指示待ち社員が与える会社へのデメリット、指示待ち社員を戦力に変えるためのポイントについて、順を追って解説していきましょう。

指示待ち社員とは

指示待ち社員は、その名の通り他者からの指示がないと動けない社員のことです。

通常、会社と社員が雇用契約を交わすと、社員は会社から給料を受け取る代わりに会社の「指揮命令の下で」働くことになります。しかし、それは「指示待ち」とは異なり、本来は会社の生産性や業務効率、売上を上げるために自分は何をすべきかを考え、自身に与えられた裁量の下で動くことを指します。それができない、またはしない社員が“指示待ち社員”となるのです。

指示待ち社員の特徴とは

特徴1:自分の考えを持っていない

「自分のような者の意見を述べてよいのか」「間違っていたらどうしよう」というマイナスの感情が要因となっているケースです。また、なかにはよい意見を持ちながらも、意見したり行動したりせず、宝の持ち腐れになっているパターンもみられます。

特徴2:仕事をこなすためのスキルを持ち合わせていない

スキルを持ち合わせていないために、行動することができない場合も挙げられます。そもそも仕事内容が理解できておらず、何をしたらよいか分からず戸惑い、動けない状況に陥っているケースです。

特徴3:指示があったことだけをこなす

会社や仕事に対してそれほど関心がなく、指示されたことしかやらないというドライな感情を持ち合わせているケースです。このパターンの社員は周りの様子を見ていないことが多いことから、上司や同僚、部下が仕事に追われて困っていても我関せずの姿勢を取ることもあります。

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指示待ち社員のデメリットとは

経営者からすると、賃金を払っているのに十分に仕事をしていない社員はデメリットしかないと感じるでしょう。その他、指示待ち社員には以下のようなデメリットがあります。

デメリット1:都度指示を出さねばならない

指示待ち社員は、その都度指示を与えないと動きません。したがって、何か業務が発生する度に指示を与えることになるため、非常に業務の効率が悪くなります。

デメリット2:イレギュラーに対応できない

さらに、指示待ち社員は与えられた仕事以外は行えないため、何かイレギュラーな事象が発生した場合や急遽人手が足りなくなった場合、仕事内容に変更があった場合などに臨機応変な対応が取れず、業務が終了するまでに通常想定していた以上の時間がかかってしまう可能性があります。その結果、社員の労働時間が長くなり、残業代の過多や長時間労働による疲労が蓄積され、コスト面や社員のメンタル面に悪影響を与える危険性が考えられます。

デメリット3:他の社員への影響

また、指示待ち社員の存在自体が、それ以外の社員に影響を及ぼす場合もあります。同じ部署に指示待ち社員が混ざっている場合、「なぜあの社員はいわれたことしかやらないんだろう」「なぜ融通の利いた対応ができないんだろう」という不信感を抱き、その結果として自身の仕事ぶりに対する評価を気にする場合や、上司に対する不満へと変わる場合があります。最悪のケースとしては、指示待ち社員に対する不満から会社自体への不満へと発展し、優秀な人材を流出させてしまうリスクがあるということも覚えておきましょう。

指示待ち社員が生まれる会社の特徴

このような指示待ち社員が生まれる要因は、単に社員本人の問題だけではなく、上層部側の姿勢に問題がある場合があります。

たとえば、仕事を依頼した時点でその仕事が完了した気分になってしまい、その後のフォローを満足に行っていないケースがあります。仕事を与えた社員にとって業務内容や量は適正なものなのか、または一方的に無理な仕事を押しつけていないかを考えず、与えたきりで放任してしまい社員の成長機会を奪っていないかを考える必要があるでしょう。

また、逆に社員に対して過保護な対応を取ってしまい、社員自身が考える機会を与えていないかを考えなければいけないかもしれません。

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指示待ち社員に対してやってはいけないこと

指示待ち社員に対してやってはいけないことは、作業内容のみを淡々と伝えることです。

どのような仕事にも、一連の流れというものがあります。たとえば、商品を仕入れてから生産をし、その後外部に向けて販売を行い、代金を回収するなどの流れが挙げられます。社員がこのような仕事の流れを理解していない状態で作業の指示を受けた場合、その社員は「何のために」この作業を行うのかが理解できないまま仕事をするため、次に何をすればよいかが分からず、結果としてさらに指示待ち人間化が進んでしまう危険性があります。

また、社員が仕事でミスをしてしまった際に、ただ単にミスをしたことを叱責するのみで済ませてしまうのもNGです。このミスを引き起こした原因は何か、次回から何をすればミスを防ぐことができるかなどのフォローアップを省いてしまうと、社員はミスを恐れて主体的に動けなくなってしまいます。ミスをした場合に限らず、社員の欠点を叱責してばかりの職場は指示待ち社員が生まれやすくなる傾向があります。

指示待ちから主体的な社員へ改善させるマネジメント方法

指示待ち社員を主体的に動けるようになる社員へと変えていくためには、まずは指示待ちになっている要因を洗い出すことから開始します。なぜ指示待ちになっているのかが分からなければ、改善することができないためです。

たとえば、自己肯定感が低い社員の場合は、自分の意見や行動が思うようにできない理由が“どこに”あるのかを探していくことから始めましょう。また、社員が仕事内容を十分に理解していないゆえに「指示待ち」になっている場合は、仕事への理解を深めるための教育訓練やマニュアル作成、面談などの機会を設ける方法が有効です。

また、社員それぞれで、考え方や価値観も異なります。褒められて伸びるタイプや、注意されたことで気持ちに火がつくタイプなど、それぞれの社員に適切な接し方をすることが改善への一歩でしょう。そのためにも、1on1などで相手の考えを聞き、理解を深めることが重要です。

まとめ

組織は、人の存在により成り立っています。どの社員も、会社にとって必要不可欠な存在です。社員が主体的に動けるようになればなるほど、会社の生産性も高まります。指示待ち社員に悩まされている方は、改めて自社を見直し、生み出している要因が会社にないかを振り返ってみてはいかがでしょうか。そして、会社の今後を担う優秀な人材を一人でも多く育成していきましょう。

*siro46, Graphs, タカス, mits, EKAKI / PIXTA(ピクスタ)