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足立氏

貿易に革命を起こすDXサービス!株式会社STANDAGE代表取締役CEO・足立彰紀氏にインタビュー

時代の先端をひた走る経営者に、経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣を紐解いていきます。

今回は、株式会社STANDAGEの代表取締役CEO・足立彰紀氏にインタビューしました。

株式会社STANDAGEは、地域や国に依存することなく「商品」と「代金」の同時交換を可能にする、ブロックチェーンを活用した新貿易決済システムの開発を行っています。 安全な決済手段を使うことができない新興国との貿易において、先払い・後払いのリスクや通貨の問題、高額な手数料など、 さまざまな問題を抱えたまま、世界中で貿易取引が行われています。そのような非効率でアナログといわれる貿易実務の業務効率化を実現するのが、株式会社STANDAGEが展開する貿易DXプラットフォーム『デジトラッド®』です。

貿易決済に革新をもたらしている株式会社STANDAGEの代表取締役CEO・足立彰紀氏に経営についての考え方や、事業拡大にともなったオフィス移転について伺いました。

<プロフィール>
株式会社STANDAGE
代表取締役CEO
足立彰紀

1984年生まれ。九州大学大学院卒業。元伊藤忠商事化学品部門・医療及び石油業界において10年の貿易・トレード経験をしたあとに、2017年に株式会社STANDAGEを創業。

Q1. 自社の歩みで印象に残っている「転換期」について教えてください

弊社は2017年からブロックチェーン技術を貿易に応用したサービス『デジトラッド®』を展開しています。創業当初はビットコインのようなデジタル資産が注目され、業界全体が盛り上がっていましたが、日本で大規模なハッキング事件が発生し、市場は一時的に崩壊しました。この事件はブロックチェーンに対するネガティブなイメージを生み、事業は困難を極めました。

しかし、2020年になり、某ソーシャルメタバース企業が暗号資産・仮想通貨サービス『Libra(現Diem)』開発を発表したことで、暗号資産の実用性に対する見方が変わり始めました。また、最も大きな転換期は、2023年6月の法改正により、日本でステーブルコインが法的に認められたことです。これにより、今後さらに大きな変化が期待されます。

また、自社の開発チームを持ったことも転換期といえます。当初は外注に依存していましたが、理想とする製品をつくるには限界があると感じ、自分たちの手で製品をつくる決断をしました。開発に携わるエンジニアを自社で育成し、開発体制を整え、製品の細部に至るまで自分たちでコントロールするようにしました。これにより、サービスに対する強いこだわりと信念を持つことができました。

Q2. 貴社のミッションとビジョンについて教えてください

ミッションは「革新的ビジネスの創造を通じて世界の全ての地域を豊かにする」で、ビジョンは「すべての国が、すべてのものに、平等にアクセスできる世界の実現」です。このミッションは創業時から変わらないものですが、ビジョンは最近リニューアルしました。

広報部長を中心とし、社員全員にヒアリングを行い、集めた意見をまとめて、新しいビジョンをつくりました。その後、社員に浸透させるため、毎朝の会議で私がミッションとビジョンを繰り返し伝えることを心がけています。ミッションやビジョンはすぐに浸透するわけではないので、継続的に発信することがとても重要です。

Q3. 組織づくりや採用で注力されていることはありますか

私たちは採用において、何よりも“カルチャーマッチ”を重視しています。候補者がどれだけ優秀であっても、会社のカルチャーに合わなければ定着しません。面接をして、会社に足を運んでもらい、お互いに合うと感じたら、さらに親睦を深めるため、食事に行くこともあります。

特に、“挑戦”と“成長”を重視しており、それはまさに当社のDNAです。面接では、候補者の過去の失敗や挑戦から学んだ教訓について深く掘り下げ、同じ失敗を繰り返さないためにどのような対策を講じているのか、そこから候補者の“粘り強さ”を見るのです。

当社は、新しい分野、特にブロックチェーンへの挑戦を恐れません。2017年のブロックチェーンブームの高揚と落ち込みで、多くの同業他社が撤退するなか、当社は貿易の分野でのコンサルティングを通じて事業を続けてきました。そのため採用では、失敗や挫折から学び、成長し続ける意欲のある人物なのかどうかをチェックしています。

Q4.オフィス移転のきっかけや目的を教えてください

オフィス移転の主な理由は、社員の人数が増えたことと、社内コミュニケーション促進のためです。以前のオフィスでは3フロアに分かれており、チームごとに物理的な距離があったため、コミュニケーションを図りにくい状態でした。特にエンジニアが6階、営業チームが4階に位置しており、互いの日々の業務や進捗が把握しづらい状況でした。

週始めの会議では、部署を超えて感謝の言葉を交わす文化がありましたが、エンジニアチームから「他のチームのしていることが見えづらい」という声が増えていました。この状態を改善するため、全員の顔が見えるワンフロアのオフィスに移転しました。

移転し、1か月ほど経過しましたが、社員からはすでにポジティブなフィードバックがあります。顔が見えることで誰が出社しているかが一目でわかり、偶然の会話から情報を得る機会も増えました。

社員もどんどん増えているので、このペースだと2年ほどでいっぱいになってしまうかもしれません。今後は、リラックスしてコミュニケーションをとれるようなスペースもつくっていきたいです。

Q5. 成長していく企業の特徴はどのようなものだと考えていますか

成長する企業の特徴は、社員に多様性がありつつ、全体としての方向性が一致していることでしょうか。ただ多様な人材を持つだけではなく、その多様性が連携することで成長の勢いを生み出すことができると思います。どれだけ才能がある人が集まっていても、それぞれがバラバラに動いている状態では、企業としての勢いは生まれません。重要なのは、全員のベクトルを一致させることです。

また、優秀な人材は、フリースタイルで素晴らしい成果を出すことができますが、その人材が不在のときに業務が停滞しないようなシステムをつくることが重要です。そのためにも、システム開発・マーケティング・カスタマーサポートなど、各分野で効率よく結果を出すための「型」をつくることができる人材が必要でしょう。そして、そのノウハウを社内に落とし込み、PDCAを回すことで組織は成熟していきます。我々も「型」をつくるのとPDCAを繰り返すことで、徐々に調整を加えてきました。

***

ブロックチェーンという変化の大きな領域で事業を展開してきた足立氏の話は、常に変化するビジネス環境のなかで、継続的に事業を成長させるためのヒントになるはずです。また、100年以上も仕組みが変わっていないといわれる貿易の業界に、株式会社STANDAGEが革新を起こしていく今後にも目が離せません。

Interview&Photo/Takanobu Sasaki

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