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株式会社博展_原田代表

企業の成長に答えはない!? 株式会社 博展の代表取締役 社長執行役員COO・原田 淳氏にインタビュー

時代の先を行く経営者に、経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣に迫るのが本企画“成功を掴んだターニングポイント”。

今回は、株式会社 博展の代表取締役 社長執行役員COO・原田 淳氏にインタビューしました。

株式会社 博展は、イベント、展示会、ショールームや店舗などの空間デザインを企画・制作している会社です。 最近ではリアルイベントだけにとどまらず、オンラインイベントセミナー、デジタルコンテンツ、デジタルマーケティング事業が好調で、コロナ禍で落ち込んだ業績をV字回復させました。

さらなる成長が期待されている株式会社 博展の代表取締役社長 執行役員COO・原田 淳氏に、経営における考え方や、2023年10月に実施したオフィス移転の目的や意図について話を伺いました。

<プロフィール>
株式会社 博展
代表取締役 社長執行役員COO
原田 淳

1977年生まれ。東海大学を卒業後、建設会社に入社。一級建築士事務所を経て、2008年に博展に入社。商環境事業部長、イベント展示会事業本部長を経て、2016年に博展グループ会社の株式会社スプラシア代表取締役社長に就任。その後、2017年に博展の取締役に就任.。常務取締役、取締役専務執行役員CSOを経て、2023年に代表取締役 社長執行役員COOに就任

Q1. 自社の歩みで印象に残っている「転換期」について教えてください

やはり転換期はコロナ禍です。弊社も大変でしたが、クライアントも商品やサービスを発信する方法を失い、困っていたように思います。そこで我々は、どのような価値を提供できるのかを根本的に考え、クライアントと相談しながら解決策を模索しました。

たとえば、展示会やイベントは行わない場合、人があまり訪れないことをメリットと捉え、ショールームを改装したり、商品やサービスをオンラインで発信したりする試みを提案、実行しました。また、2020年に自社配信スタジオを開設し、オンラインの配信事業も開始しました。

コロナ禍は、弊社にとってクライアントの価値やブランドをどう届けていくか、そのために最適な手段について、真剣に向き合えた時期だったと感じます。社員が下を向かずに本当に果敢にさまざまなチャレンジや試行錯誤をした結果、事業はV字回復を果たすことができました。

Q2. 自社のパーパスについてお伺いします

2023年5月に『人と社会のコミュニケーションにココロを通わせ、未来へつなげる原動力をつくる。』という新しいパーパスをつくりました。これまでは、『Communication Design~人と人の、笑顔が創り出す未来へ。~』という経営理念を掲げていましたが、この“Communication Design”を行った結果、何につながるのかが見えづらいという社員の声もあり、さらに次のステージへと進むためにパーパスとして捉え直しました。

新しいパーパスは社員の意見を反映したものです。まず各部門から約70名の社員が集まって、2度のワークショップを開催しました。そのうえでクリエイティブディレクターやボードメンバーで何度も対話を重ね、社員の意見も取り入れながら新しいパーパスを策定しました。

その結果、対象を「人と人」だけでなく、「人から社会」に広げることにしました。また、今後は我々が原動力となり、その先の未来づくりに貢献したいと考えて“未来へつなげる原動力をつくる。”という言葉を入れました。

パーパスが決まったので全社員に浸透をはかるための施策も実施しています。たとえば、全社員にパーパスを記したカードを配布し、ネームホルダーに入れてもらうことで、自然と目に入るようにしました。今後は社員個人のパーパスと会社のパーパスをつなげるための対話プログラムも実施予定です。

Q3. 採用で注力されていることはありますか

博展の魅力は社員にあると思っています。それくらい魅力のある社員が多いんです。そのため、説明会や面接では社員とざっくばらんに話したり質問できる機会を増やし、社内の雰囲気が伝わるようにしています。その際も、社員にあれこれ指示を出すのではなくて、自然体でいてもらうようにしています。

社員と話したうえで、博展を魅力的に感じてもらい、自分らしく成長できるのではないかと思った方に来てもらいたいですね。

Q4. オフィス移転のきっかけや目的を教えてください

“ゆるやかに、つながるオフィス”をテーマにして2023年10月にオフィス移転をしました。

今までの4フロアから1フロアに集約して、社員同士のコミュニケーションを円滑にさせるコミュニティスペースを充実させています。これによってパーパスである『人と社会のコミュニケーションにココロを通わせ、未来へつなげる原動力をつくる。』を体現していきたいと考えています。

まだオフィスの環境を整えている段階なのですが、クライアント数社が新しいオフィスに来てくださった際、予想を超える反響をいただきとても驚いています。

また、オフィスの入り口にはCANVAS(キャンバス)という、今までの作品の模型や作成過程などを展示しています。オフィスにお越しいただいた際に、「博展と一緒であれば、こういうことも共創することができるんじゃないか」という風に思ってもらえるようなきっかけになればと思っています。

社内向けのスペースとして、ランチやちょっとした休憩だけでなく、ラフなミーティングができるスペース「HANGOUT CAFE(ハングアウト カフェ)」をつくりました。

また、クリエイティブチームが物をつくるときに利用できるオープンなスペース「ARCHIVE(アーカイブ)」をつくりました。

ここではカタログサンプル、マテリアルサンプル素材を常に更新しストックすることができ、それを広げながら職種を越えてコミュニケーションが取れたり、新しいものが創造できたりするような場にしたいと考えています。

Q5. 成長していく企業の特徴はどのようなものだと考えていますか

我々もまだそれを探している最中なので、具体的にこれが答えだということができません。その答えを探す旅を社員と共にしている最中です。そして、先程ご説明したパーパスこそが我々が存在する価値で、それを実現するために体験価値の向上を追求していくしかないと思っています。

現在、新しいチャレンジを行っており、さまざまな可能性が広がっていますが実現に至っているものはまだ少ないです。引き続き地道にやっていくことで、何十年か経ってふと振り返ってみたときに、成長を感じるのかもしれませんね。

***

今回は、株式会社 博展の代表取締役社長執行役員COO・原田 淳氏にインタビューしました。同社はコロナ禍という苦境のなか、新しい事業にピボットするのではなく、改めて自社の事業の本質を深く考え、独自の価値を見出していきました。ここに企業が苦境を生き抜くためのヒントがあるかもしれません。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

Interview&Photo/Takanobu Sasaki

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