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社員がやりがいを感じていない?経営者必見のモチベーション対策とは

2023.08.07

人材の獲得や維持が困難となり、それが経営の存続を左右するようになっています。そのため、社員にはやりがいを持って働いてもらうことが重要になってきます。

しかし、ギャラップ社による「グローバル職場環境調査」によると、仕事の熱意や職場への愛着を感じている日本の社員の割合は調査対象145カ国のうち最も低く、やりがいを感じている社員が少ないのが現状です。そこで今回は、やりがいを感じていない社員のモチベーションを高める方法について解説します。

【参考】日本の「熱意ある社員」5% 世界は最高、広がる差/日本経済新聞

なぜ「やりがい」を感じないのか

なぜ、社員はやりがいを感じないのでしょうか。その要因として、以下3つが考えられます。

①仕事をする「意義」がはっきりしない

まず考えられる要因としては、“何故その会社で働くのか”という働く意義がはっきりしていないことが挙げられます。「自分が行っている仕事がどう会社に貢献しているのか」「どう社会に貢献しているのか」が分からないと、このような状態になってしまいます。

②適正に評価されていない

次に挙げられるのは、“自分の仕事が適正に評価されていない”ということです。評価制度がきちんと整備されていない中小企業においては、曖昧な評価基準や経営者の一存で評価を決めていることが多いように思われます。

とくに、キャリアプランを第一に考えている社員にとって、適正に評価されずキャリアアップが見込めない職場ではやりがいは感じられないでしょう。

③賃金が低い

いくらよい環境が整備されていたとしても、そもそもの賃金が低すぎるとモチベーションは下がってしまいます。賃金は仕事の不満足に関わる“衛生要因(※)”といわれており、賃金が高ければやりがい感じるわけではありませんが、一定水準に達していない場合はやりがいを持てなくなってしまうといわれています。

(※)別名、”不満足要因”といわれ、不満足の原因を取り除いたとしてもやる気の根源にはならない要因のこと。例としては、賃金や作業環境、福利厚生などが挙げられます。

【こちらもおすすめ】スグやめる理由は…?若手社員の離職率が高い会社が行うべき3つのこと

どうすれば「やりがい」を感じられるか

社員がやりがいを持てず、生産性が低下し職場の雰囲気もよくないのは一体何が理由なのでしょうか。もちろん、社員自身の問題ということもありますが、やりがいを持てない仕事や環境は経営者自ら整えていかなければなりません。社員がやりがいを感じられる会社にするにはどのような部分を改善すればいいのでしょうか。改善点をいくつか挙げてみました。

①賃金の見直し

賃金は不満足に関わる衛生要因ですので、この点が一定のラインまで充足しない限り他の要因がよくてもやりがいは感じにくいでしょう。まずは、賃金が同種同業の相場と比べて適切な額で設定されているかを検証しましょう。

②評価制度の整備

中小企業において評価制度が設けられていない企業が多く見受けられます。しかし、評価制度は会社が社員の何を評価してくれているのかを示すものであり、仕事をするうえでの羅針盤となるといえるでしょう。また、評価制度というのは名ばかりで、実際には経営者の主観で評価が左右されるようでは、羅針盤としての機能を果たさずやりがいも減殺されてしまいます。

評価制度を正当に策定することで、社員自身が何をすれば自らが評価されるのかを明確に分かることが非常に重要です。

そのうえで、査定などの評価するタイミングでは、“その社員がどのような貢献をしているか”や“次に期待していること”を評価者が伝えるようにするとよいでしょう。そうすることで、社員は組織への貢献や存在意義を感じることができ、モチベーション向上につながります。

③会社の存在意義(パーパス)の明確化

社会に貢献しているということは自己肯定感につながり、それが仕事のやりがいにもつながります。昨今では“パーパス経営”ともいわれますが、「何のために会社が存在するのか」「何のために働いているのか」など、会社の存在意義を重要視する経営が注目されています。会社の社会における存在意義を明確にし、個々の社員の仕事が世の中にどう貢献しているかを示すことが、社員の自己肯定感や仕事のやりがいにつながるといえるでしょう。

会社のパーパスを明確にし、経営者自らが社員にこれを浸透させていくこともまた、仕事のやりがいを持たせるのには重要です。定期的に会社の総会や社内報などでMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と合わせてパーパスの発信を行いましょう。

④社内公募制度などキャリア意識の尊重

昨今、働き手の自律的なキャリア意識が高まっているといわれています。多くの日本企業では、職務が限定されずに雇用され、会社主導のジョブローテーションによりキャリアが形成されていましたが、こうした自律的キャリア形成の意識の高まりから、社員の希望に応じたジョブローテーションや仕事のアサインをすることも考えられるでしょう。

たとえば、社内でポストを公募制にし、社員自らがやりたい仕事にアサインするといった仕組みなどもやりがいにつながります。

⑤少し難しい仕事をアサインする

人は難しいことに挑戦し、成功した経験や称賛されることでも自己肯定感が高まり、それが仕事のやりがいにもつながります。そこで、今持っている能力では少し難しい仕事をアサインし、成功体験を得させることも社員のやりがい向上の施策の一つになるでしょう。もちろん、あまりにも難しい仕事をアサインするとかえって逆効果となりかねないため、仕事の見極めが大切になります。

経営者は、中間管理職から聞く社員の評価や相談のうえで、ストレッチゾーンの業務へのアサインを検討しましょう。そうすることで、期待の若手の成長を後押しすることもできます。

⑥職場環境の改善

働く環境は仕事のモチベーションに直結します。長時間労働が原因でストレスを感じていたり、モチベーションが低下したりしている場合は、業務の棚卸しを行い、どの業務にどれくらいの時間がかかっているのか把握します。効率化できないか検討したうえで、過度に業務が多い場合は、他の社員への業務の分配や人員補充などの対策を進めましょう。

また、風通しのよい人間関係も重要です。働くうえで社内コミュニケーションは避けられません。上司や同僚の人間関係に悩んでおり、うまく相談ができず、だんだんと仕事のモチベーションが下がってしまう……という負のサイクルはどうにか回避したいものです。定期的な1on1を通じて相談できる仕組みを整備するなど、悩みを把握できるようにしましょう。

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人材は「やりがい」で能力発揮の程度が変わる

企業を運営していくうえで必要なのは、“ヒト”“モノ”“カネ”“情報”などの経営資源です。“ヒト”、すなわち人材の特徴として、有している潜在能力の発揮がやりがいやモチベーションによって異なるということが挙げられます。社員の能力を資本として活用する経営である“人的資本経営”という昨今話題の考え方も、「人材が有している能力を発揮できる組織を構築せよ」という意味合いでもあります。

生産性向上という観点からも社員のやりがいを高めることは、人材の獲得・定着が経営の存続に関わることもある中小企業において、とくに重要といえるでしょう。社員がやりがいをもてるように、自社を見直してみてはいかがでしょうか。

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* りびっつ,OKADA,Gugu / PIXTA(ピクスタ)