防災マニュアルを社内に浸透させるには工夫が必要?作成時におさえておきたいポイントを解説
2024年の元日に起きた能登半島地震。またここ最近は関東地方などで地震が相次いで発生しており、地震への備えの必要性を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
これまで防災マニュアルの策定方法などをお伝えしてきましたが、つくっただけで満足していませんか?防災マニュアルの作成のみでは意味がありません。
今回は、防災マニュアルを社内に浸透させるためにおさえておきたいポイントを解説します。
目次
防災マニュアルは意味がない?
せっかく「防災マニュアル」を作成したのに、いざ災害が発生したときに活用できなかったら意味がありません。防災マニュアルはつくって終わりではなく、災害時に社員が使えてこそ意味のあるものです。
防災マニュアルをつくったらまず全社員に周知する、そのうえで災害を想定した避難訓練をするなど、社内全体に浸透させる必要があるといえます。
内閣府の「令和3年度企業の事業継続及び防災に関する実態調査」によると、「災害時にBCP(Business Continuity Planの略、主に災害時における事業継続計画)が役立ったか」という項目に対して、「とても役に立った」と「少しは役に立ったと思う」という回答が約5割を占めていることがわかります。
その一方で、「BCPの策定や推進に当たっての問題点や課題」として、「部署間の連携が難しい」「策定する人を確保できない」「BCPに対する現場の意識が低い」といった課題も挙げられています。
【参考】企業の事業継続及び防災に関する実態調査結果(概要) / 内閣府
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防災マニュアルを社内に浸透させる方法
ではどのように防災マニュアルを社内に浸透させたらよいのでしょうか。3つのポイントにわけて考えていきます。
①防災マニュアルを社員とつくる
経営者一人で防災マニュアルをつくるのではなく、はじめから社員と一緒につくるようにプロジェクト化してみましょう。それぞれの部署から数名ずつ防災マニュアルづくりに携わるようにすると、部署同士の連携も取りやすくなります。
また、防災マニュアルをつくる際には、リーダー・情報収集担当・消火担当・救出担当・避難誘導担当など役割を決めておきましょう。
リーダー | 災害発生時の全体的な指揮、統括など |
情報収集担当 | 社員の安否確認、被害状況の確認、消防などへの通報など |
消火担当 | 地震などの際に発生した火災の初期消火や防火シャッター等の操作など |
救出担当 | 社内の負傷者の救出やけが人の応急手当など |
避難誘導担当 | 避難経路を確保、社員の誘導など |
災害の種類にもよりますが、社員の命を守るためにあらかじめ決めておくことが必要です。
②役割を決めて実際に防災訓練をする
防災マニュアルをつくり、担当を決めたら実際に社員と一緒に防災訓練を行いましょう。防災訓練を行う前には防災マニュアルを共有し、各社員がどんな役割を担当するのかあらかじめ周知しておきましょう。
なお、防災訓練は地震、火災、水害など具体的な災害を想定して行うことが必要です。事業所の周りのハザードマップをあらかじめ確認しておき、津波や浸水、土砂崩れのリスクなどがないか確認し、避難先を決めたうえで訓練をすることが望ましいです。
防災訓練において、それぞれの役割が担当する具体的な業務は以下です。
リーダー
リーダーは的確な指示を出せるか、また訓練中にどんな混乱があったかを把握しておきましょう。
情報収集担当
情報収集担当は社員の安否確認を実施し、確認しておきましょう。
消火担当
消化担当は、消火器を手にして、手順の確認をしましょう。練習用の消火器が手に入るようでしたら実際に試してみるといざというときに焦りません。また防火シャッターの操作方法なども確認してください。
救出担当
救出担当は、救出方法の確認や、ケガの応急手当ができるように救急道具やAEDの位置確認、使い方の確認をしておきましょう。そのうえで、救急搬送先の病院の確認をしておくといざというときに焦りません。
避難誘導担当
避難誘導担当は、実際に避難経路を確保し、社員が安全なところに避難できるように誘導をしましょう。地震の際にはエレベーターも停止してしまうことがあるので、避難の際には階段や非常階段を使用してください。日ごろから非常口の周りに荷物などが置いていないか確認し、避難経路の確保をしておきましょう。
このようにマニュアルをもとに防災訓練を行うことで、見えてくる課題もあると思います。繰り返し訓練を行うことで、より具体的に、スムーズな避難行動につながっていきます。
③危機意識を高める
「自分たちの住んでいる地域には地震はこないだろう」。こんなことを思っていませんか?
日本各地、どこで地震が発生してもおかしくありません。緊急地震速報が鳴り驚くこともあるでしょう。いざというときに焦らないためにも、日ごろから「地震はいつか必ずくる」という意識を持っておくことが必要です。
危機意識を持つと、災害に備えた行動が自ずととれるようになってきます。そのためにも、定期的な避難訓練の実施が必要です。防災マニュアルを策定したら一度訓練を行ってみてください。繰り返し訓練を行うことで、社員の危機意識を高めることができます。
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最後に
今回は、防災マニュアルを社内に浸透させるためにおさえておきたいポイントを解説しました。災害発生時に「防災マニュアルをつくったけれど、意味がなかった」とならないように、防災マニュアルの策定をしたら、ぜひ訓練にも取り組んでみましょう。
*witsarut sakorn, metamorworks, chaponta / shutterstock
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