
スタートアップ出資・支援で、日本からGAFAMのような企業を!DIMENSION株式会社 代表取締役社長・宮宗孝光氏にインタビュー
時代の最先端をひた走る経営者にインタビューし、その成功の秘訣を探る本連載「成功を掴んだターニングポイント」。
今回は、DIMENSION株式会社 代表取締役社長 宮宗孝光氏にお話を伺いました。 ミッションは「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」。ベンチャーキャピタルとして、リスクマネーの供給だけにとどまらず、事業グロースや組織構築の知見、またファイナンスのノウハウを活かしながら、志を持ち真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場支援を行っています。 今回は、DIMENSION株式会社の設立から現在までの転換期・組織づくりについて、経営の本質に直結する“5つの問い”を投げかけてみました。
DIMENSION株式会社
代表取締役社長
宮宗 孝光
東京工業大学・大学院を卒業後(飛び級)、シャープ株式会社を経て、2002年から株式会社ドリームインキュベータにて20年間、戦略コンサルティング、国内スタートアップ投資、上場支援事業に従事。2019年DIMENSIONファンドを立ち上げ、2021年MBO・独立。出資先の上場社数は、出自の株式会社ドリームインキュベータの実績を含め計35社と国内上位の実績を持つ。直近の出資・支援先はSHOWROOM、五常・アンド・カンパニー、AnyMind Group、LegalOn Technologies、カバーなど。
成長し続ける要因は「勢いを止めない姿勢」と「成果を出し続けること」

出典: 経営ノウハウの泉
――会社の概要と成長してきた経緯、最も印象に残っているターニングポイントを教えてください。
宮宗:弊社は、2019年にドリームインキュベータ株式会社(DI)の100%子会社として私が起案し、立ち上げました。その後、DIの経営方針の変更もあり、2021年に私が100%株式を取得する形で、ファンドとDIMENSION株式会社ごと独立しました。現在は2つのVCファンドを運営しています。
まさに弊社のターニングポイントは、この独立にあります。そして、メンバーたちが大企業から転籍して小さな組織となっても勢いを失わず、前進し続ける姿勢を保ってくれたことで、今も会社として成長し続けることができています。
またその中で常に意識していたことは「成果を出し続けること」です。弊社は現在までに35社のIPOを実現しています(*1)。これが達成できた要因は多岐にわたりますが、特に「出資先企業の努力」「市場環境の変化」「困難な壁にぶつかった時の弊社のサポート」「信頼」「不義理を働かないこと」の5つが大きな要素だと考えています。
*1 取材日である2024年5月時点。DIMENSIONの出自である株式会社ドリームインキュベータの実績を含む
そして、出資先のスタートアップ企業が急成長を遂げたことで、噂や口コミを通じて弊社の取り組みが自然に認知されるようになりました。
移転により同業であるVC企業との関わりが増え、クライアントにもよい影響が

出典: 経営ノウハウの泉
――オフィス移転を決断した背景について教えてください。
宮宗:移転前はシェアオフィスを利用していました。利便性は高かったのですが、社員数が増え、執務室にメンバーが入りきらなくなってきたため、移転を考え始めました。
検討し始めていた矢先に、麻布台ヒルズのVC集積拠点「Tokyo Venture Capital Hub」へのお誘いをいただきました。同業のVCファンドの皆さまとの連携を深め、スタートアップエコシステムを拡大する一助になりたいという想いから移転を決めました。移転前からお付き合いはありましたが、移転後は廊下ですれ違うなど接触頻度が上がり、自然に顔を合わせて話す機会が増え、つながりがより強くなりました。
また、クライアントからも、オフィス移転に関して好意的なお声をいただいています。弊社だけでなく他のVCファンドへも訪問しやすくなったため、密なコミュニケーションが取れるようになり、スムーズな連携ができるようになったとのことです。移転がクライアントにこのような前向きな効果を感じていただけるとは予想していませんでした。
困難を乗り越えるときには、誰と組むのかが非常に重要です。その中では紙やオンラインだけの付き合いではなく、リアルなコミュニケーションが必須であり、信頼できる人との輪をつないでいくことが大切だと考えています。
つながりが紡いだ、隈研吾氏による唯一無二のオフィスデザイン

出典: 経営ノウハウの泉
――オフィス移転をする際にとくに留意したことがあれば教えてください。
宮宗:世界的に活躍する建築家である隈研吾さんにデザインをお願いしたことです。“世界を目指す企業を生み出すために、私たちは存在している”というメッセージを伝えたかったので、隈研吾さんに協力いただけたことは非常に心強かったです。また、出資先の起業家の方々にも、世界を目指して欲しいという想いもありました。
隈研吾さんのデザインということで、さまざまな方から見学したいとのお声をいただきました。皆さんに、オフィスデザインの効果を知りたいと思っていただいたのかもしれません。営業的な側面でもオフィス移転の効果は大きいと感じています。
また、隈研吾さんは以前一緒に仕事をした方からのご紹介でした。このような小さなオフィスにもかかわらず、デザインを引き受けていただけると聞いて驚きましたが、大切にしていたその方とのご縁がこのような形でつながり、感慨深いです。“真剣に仕事をする”ということは、思いがけない形で未来に良い影響を及ぼすものだと実感しました。
オフィスデザインにより社員同士のコミュニケーションが活発に

出典: 経営ノウハウの泉
――オフィス移転後にMVVの浸透やコミュニケーションにどのような変化や効果を感じていますか?
宮宗:弊社では、何よりも人を中心に考えています。無機質なものではなく、人と人の偶然の掛け合わせや各々の努力で、“1+1=100”になる現象をこれまでに何度も経験してきました。

出典: 経営ノウハウの泉
宮宗:そうした現象をさらに増やしていきたいとの想いから、壁に向かい個人が集中できる環境でありながら、メンバー同士がコミュニケーションを取りやすい、ゆるやかな曲線を描くデザインに設計いただきました。自然と中央のテーブルに集まってミーティングをしたり、休憩したりするメンバーの姿をよく見かけるようになり、オフィスデザインの力を改めて実感しています。

出典: 経営ノウハウの泉
宮宗:また移転後は、ちょっとした依頼も振り返ってすぐに話せるため、コミュニケーションロスが減りました。お互いの顔を見ることで、「少し疲れているのかな」とか「タスクを抱えすぎているのかな」などにも気付けるようになります。助け合い、手を差し伸べやすい環境になったこともポジティブな変化です。
世界に羽ばたく日本企業を、支える私たちでありたい

出典: 経営ノウハウの泉
――今後の展望(挑戦していくこと、目指す方向性など)を教えてください。
宮宗:私たちDIMENSIONは、社会的に意義があるスタートアップが一社でも増えて欲しいという想いを持って事業を運営しています。日本で頑張る人たちが活躍する場を一つでも増やしたいと考えており、日本の企業を中心に出資を行っています。そして私たちの出資や支援を通じて、より世界に展開できるような事業を創れるよう注力していきたいと考えています。日本企業の中から、GAFAMに近しい企業が出てくることの一助に弊社がなることができれば嬉しいです。
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宮宗氏は、自身が一般社員だった頃、“役員がどういう状況なのかを知っていれば、もっといろいろなことができたのに”という葛藤を抱えていたといいます。メンバーには同じような負担をかけたくないという想いから、自身の予定はできる限りオープンにしており、どういう人と会っているのか、何をやっているのか社員に知って欲しいと話していました。
組織づくりにおいても取り入れやすく、非常に参考になる取り組みであると感じました。是非参考にしてみてください!
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