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ユニオンテック株式会社さま

建設業界を変え、社会を変えていく職人企業のプライドとは?ユニオンテック株式会社代表取締役社長・大川祐介氏インタビュー

2024.08.26

時代の最先端をひた走る経営者にインタビューし、その成功の秘訣を探る本連載「成功を掴んだターニングポイント」。

今回は、ユニオンテック株式会社代表取締役社長 大川祐介氏にお話を伺いました。

“Build a new standard.”をミッションに、オフィス・店舗の内装デザイン・設計・施工をワンストップで提供するユニオンテック株式会社。また、デジタル知見を活用した海外でのオンライン建築CGパース制作サービスなど、幅広い事業を展開しています。

今回は、ユニオンテック株式会社の自社のオフィス移転から今後の展望に関して、経営の本質に直結する“問い”を投げかけてみました。

ユニオンテック株式会社
代表取締役社長
大川祐介

18歳からクロス職人としてキャリアをスタートし、2000年に20歳で内装仕上げ工事業として現在のユニオンテック株式会社を創業、代表取締役社長を務める。2016年には建設業界特化型マッチングプラットフォーム「CraftBank(旧:TEAM SUSTINA)」を開発。2018年、建設業教育支援団体「一般社団法人日本SHOKUNIN総研」を設立し代表理事を務め、建設業におけるビジネススキル検定『建検(建設キャリア検定)』もリリース。

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ユニオンテックが考える新しいオフィスの定義

――今回のオフィス移転について教えてください

大川祐介(以下、大川):まず最初に「オフィス移転費用は100万円です」と、全社員の前で発表しました。全社員が「は?」という感じの表情を浮かべていましたね。そこからは、社員と経営陣とのオフィス移転を巡るけんかが始まりました。

――それはけんかが始まりますね(笑)

大川:はい(笑)。私自身、職人あがりなので、100万円では無理だということは誰よりもわかっていました。ですが弊社は、オフィスとはホームページやSNSに次ぐ新しいメディア、つまり“リアルに訪れ、見て、体験できるリアルメディアである”という考え方をベースにしています。オフィスを訪れた第三者に、そのとき受けた印象を口コミとして世間に広げてもらうことで、拡散可能なPRコンテンツにもなり得ると考えています。ですから、オフィス移転にかかる費用は「コスト」ではなく、自社メディアへの「投資」なんですね。

そういった背景もあって、自分達のオフィスにおいても同じように挑んでほしかったんです。どうしたら100万円がただの「コスト」ではなく、それ以上の価値のある「投資」にできるかを考えて提案してもらえるかなと。

――それで、良案が出てきたのですか?

大川:最初は、なるべくコストをかけずに必要な設備は最低限揃え、なんとなくおしゃれっぽく見えるというへっぽこな案でした(笑)。そこで改めて、私の考えを社員に伝え、伝わっていなかった部分などをすり合わせました。

――そこでやっと目線が合ったのですね

大川:はい。何事も実際にアウトプットをしてみないと、お互いにわからないこともありましたし、失敗したからこそ生まれたよいアイディアもあり、結果的にはよかったと思います。

批判を恐れず“人に伝え続ける”覚悟

――オフィス移転において、特に注力した取り組みについて教えてください

大川:場所は、業界の風雲児的な弊社のカルチャーにマッチした渋谷を選びました。デザインは集中とリラックスの緩急がつくワークスペースづくりを意識しました。また、社員同士の横断的なコミュニケーションを生むために、壁を設けていません。誰がどこにいるのかすぐに見つけられるため、自然とコミュニケーションが生まれています。

大川:訪問していただくお客様からは、“ユニオンテックらしい”とか“よい意味で尖っている”と言っていただいていますね。ですが、実際は“よい意味”だけではなくて、“悪い意味”も含まれて然りだと思っています。人はそれぞれ異なる価値観を持っているため、すべての人がよいと感じるものは存在しませんから。

どんな印象を持たれたとしても、その空間が持つ印象がメッセージのように“伝わっている”ということが何よりも重要で、このオフィスは間違いなくそこに立つことはできたと考えています。

0→1を生み出す人間は行動し続ける人

――これまで事業を成長させてきた過程で意識してきたこと、考え方の根底にあることについて教えてください

大川:私がこれまでの人生でクローズする決断をしたサービスは30以上あります。PDCAをよく例に使うのですが、私の考え方はP(計画)は2分の1、D(実行)を5倍にする“1/2PDDDDDCA”というイメージです(笑)。どれだけ学んで、過去のデータを見て、プランをたくさん練ったところで、必ずしも成功しません。それは、答えが現場にしかないからです。

大事なことは着想したアイデアを実行することであり、これを繰り返しやり続けることのできる人が0→1を生み出せる人です。弊社のミッションである「BUILD A NEW STANDARD.(新しいあたりまえをつくる)」に基づき、自分が思いついたことを実行できる環境で、それを応援する会社であり続けなければならないと思っています。

社内では組織開発チームにある程度自由に使用できる予算を渡しており、新規事業コンテストなどを積極的に開催しています。おそらく、すぐには何も生まれません。しかし、たくさん出た芽の中からいつか一つでも育っていけばよいと考え、それを繰り返しやり続けています。

自分自身の意見を持つ人達と働きたい

――社員の採用ではなにを重視されていますか?

大川:スキルがある人は世の中にたくさんいますので、採用面接では実体験について話を聞いています。経験を通してそのスキルがしっかりと身についているかどうかを見極めています。もう一つ重要なのはアウトプットの量です。つまり、量をこなせる人なのかという点です。弊社のカルチャーには、たくさんアウトプットする人がマッチしています。

実際に社内で抱えている課題についてどう解決するかを聞いたとき、ありきたりなアイデアではなく、しっかりと自分で考えて付加価値をつけた「自分の回答」をしてくれる方だと、ぜひ一緒に働きたいと思いますね。

職人企業としてのプライドを持ち、「当たり前」を更新し続ける

――今後の展望を教えてください

大川:現在約500万人いる職人は、2055年には155万人になるともいわれています。住む街や住宅をつくったり、守ったりする人たちが減っていくのです。そうした問題に対応するため、以前は建設業教育支援団体を立ち上げたりもしました。

現在、弊社はエンドユーザーに対してより良い空間体験を届ける事業を手掛けるほか、サービスの仕組みや四半世紀にわたって積み重ねた知識を業界全体に還元しています。業界の古き悪しき慣習を改善し、業界全体の向上に貢献していると自負しています。「お客様」「建設業者」「社員」のためにも、今後も変化を恐れずにさらなる挑戦を続けていきます。

***

同じドアであっても開閉頻度によって扉のつくりを変え、5年後を考えてつくり込んでいく。建設業は、使ってみて初めて価値が出る業界であるという大川氏。私が今日何気なく開けたオフィスのドアも、職人の方々の丁寧な仕事によってつくられていると気づかされました。建設業界の未来がどうなるのか、10年後、20年後にまた聞いてみたいと思います。

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