中途採用面接で応募者の本音を引き出すには?効果的な質問と雰囲気作りのポイント
現在、転職市場は活況を呈しており、多くの中途採用面接が行われています。しかし、短時間で応募者が自社に合うかどうかを見極めるのは容易ではありません。だからこそ、いかに応募者から本音を引き出すかが重要となります。
本稿では、面接環境や質問により、応募者が本音を話しやすくなるための工夫について紹介します。
目次
オンライン面接と来社面接で気をつけること
コロナ禍以降、オンライン面接は急速に普及しましたが、従来の来社面接とは異なる雰囲気づくりが求められます。それぞれの環境に適した面接のポイントを見ていきましょう。
オンライン面接の場合
オンライン面接では、パソコンを通しての映像と音声がすべてを左右します。しかし、特別な機材や設備は必要なく、基本的な対策を徹底するだけで“話しやすい”“聞きやすい”面接を実現できます。
独立した部屋の確保
カフェやオープンスペースでの面接は避け、必ず他人の声や動きが遮断された独立した部屋で行いましょう。周囲の会話が聞こえてしまったり、後ろを人が通るようなことがあっては、応募者も集中して話せません。来社面接と同じように独立した部屋で行うようにしましょう。
マイク機能付きのイヤフォンの使用
多くのパソコンには内蔵マイクがありますが、周囲の雑音を拾いやすいため、応募者に不快感を与えがちです。特に、スピーカーから出た音を再びマイクが拾う現象は、応募者にとって集中力を妨げる原因となります。安価なものでもマイク付きのイヤフォンを使用すれば、驚くほど聞きやすい音声になります。
カメラと目線の高さの調整
カメラと目線の高さが一致するように、ノートパソコンの下に台を置くなどして調整しましょう。一般的なノートパソコンを使うと、内蔵カメラよりも目線が高い位置に来るため、カメラを見下ろすような画角になります。
応募者からすると、上から覗き込まれているような映像となり威圧的な印象を与えてしまいます。ノートパソコンの下に物を置いて、カメラと目線の高さが同じになるよう調整してください。応募者と正面で向かい合うと、自然に会話ができます。
来社面接の場合
来社面接の最大の特徴は、受付などで実際に応募者の顔を見てから会議室で面接が始まるまでの時間があることです。オンライン面接にはないこの時間を活用して、応募者の緊張を和らげ、本音を引き出しやすい環境を作りましょう。
受付で笑顔で迎え入れ、天気などの軽い話題でアイスブレイクしながら会議室に案内しましょう。また、会議室にアートやマスコットなどを配置し、リラックスできる空間を作る工夫も効果的です。
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本音を引き出す工夫
本音を引き出すとは、突飛な質問で無理に言わせるのではなく、応募者が自然に話しやすい場を作ることです。以下に、面接担当者ができる具体的なテクニックを2つ紹介します。
冒頭で「緊張してますか?(笑)」と声をかける
応募者は面接官よりも緊張していることが多いため、緊張を和らげることが応募者の本音を引き出すカギとなります。しかし、「リラックスしてください」といった言葉は逆にプレッシャーになることもあります。
そこで、「緊張してますか?(笑)」と軽く聞くことで、自然な対話の雰囲気を作るのはどうでしょう。「面接なので緊張するのは当たり前です。こちらもリラックスして話せるように進めていくので、徐々に慣れていけば大丈夫ですよ」とフォローすると良いでしょう。
緊張を取り除こうとするのではなく、それを受け入れながら進めることで、結果的にリラックスした雰囲気が生まれます。
面接官が先に自己開示をする
面接官が先に自分自身のことを話すことで、応募者も自分をオープンにしやすくなります。例えば、自身のキャリアの経緯や、なぜ今の会社に入ったのかを話すことで、応募者に安心感を与え、率直な話を引き出すことができます。
この方法は、応募者との距離を縮める効果があり、信頼関係を築く第一歩となります。
経歴や志望動機に「どんなきっかけで?」と聞く
応募者の経歴や志望動機を深く理解するために、「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、「どんなきっかけで?」という問いかけが非常に効果的です。
例えば、「この職種を選んだのはどんなきっかけですか?」や「転職を考え始めたきっかけは何ですか?」といった質問をすることで、応募者の考え方や価値観をより深く理解することができます。
経歴や志望動機を深堀りするときに、「なぜ?」という質問はよく使われますが、デメリットもあります。それは、回答が本人の思い込みや解釈に基づくことがあり、事実に基づいた話かどうかが判断しづらい点です。これは面接において望ましくないですよね。一方、「どんなきっかけで?」という質問は、具体的な事実や出来事を引き出しやすく、面接官が応募者の本音に近づくための有効な方法です。具体的なエピソードを引き出すことで、応募者が何を重要視しているかや、どのような動機で行動を起こしたかをより正確に知ることができます。
これぞという経験を1つ聞く
応募者は面接に備えて質問を予測し、答えを準備してきます。そうした質問への対応だけでは、本音を引き出すのが難しくなることがあります。
そこで、応募者が自信を持って話せる内容に目を向けましょう。職務経歴書には、応募者が繰り返し見直して準備した経験が詰まっています。「色々な経験をされていますね」とポジティブなコメントをした上で、「その中でも特にこれぞという経験を1つ教えてください」と促すことで、応募者の強みを引き出せます。
3分ほど自由に話してもらい、その様子を観察することで、次の質問へのヒントを得ることができるでしょう。
面接で感じた印象をズバッと聞いてみる
一般的な質問に加えて、少しユニークな質問を取り入れることで、応募者の本音を引き出すことができます。おすすめなのが、「ところで、応募者さんって実は引っ込み思案なところがあったりしますか?」というように、面接の終盤で脈絡なく「ところで」と切り出し、応募者に対して感じた印象をストレートに尋ねるのです。
面接慣れしている応募者は、事前に用意した模範回答をスラスラ話せる人もいます。でもそれだと、その人の本音にはほど遠いですよね。そこで、このように意表を突く質問をすることで、応募者の即興での反応を引き出します。「相手から見た自分の印象」というのは、応募者にとって意外なものであり、面接官にとっても反応を観察する貴重な機会となります。
もちろん、応募者によっては「どこでそう感じましたか?」と聞き返されることもあるため、その場面でどのように感じたかを具体的に答えられるよう準備しておくとよいでしょう。面接を通じて応募者に関心を持ち、しっかりと向き合っていれば、自然に答えられるはずです。
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まとめ
“応募者の口から出た言葉が本音なのかどうか?”と考えてみても、はっきりとした答えは出ません。“本音をいっているか?と訝しむ目で見るのではなく、本音をいいやすい空間、雰囲気を作れているだろうか?と自分に矢印を向けることが大切です。相手に興味を持ち、自然な対話を通じて本音を引き出すことを心がけましょう。
*fizkes,takasu,Rawpixel.com / shutterstock
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