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オフィス賃貸か、自社ビル建設か?中小企業経営者が知っておくべき財務的視点

2024.11.19

中小企業経営者にとって、重要な意思決定の一つが「オフィスを賃貸するか、自社ビルを建設するか」という選択です。経営者にとって実に悩ましいとは思いますが、今回は財務的視点からのポイントを整理しながら紹介します。また、賃貸と自社ビル建設(中古物件購入を含む)のメリット・デメリットを比較し、分かりやすく説明します。

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オフィス賃貸のメリット、デメリット

オフィス賃貸のメリット

1. 初期費用が低い
賃貸オフィスは、建物の購入や建設に必要な大規模な初期投資が不要です。一般的には敷金や礼金、初期の設備投資費用のみで済み、資金を運転資金や成長戦略に基づく設備投資などに充てることができます。

2. フレキシビリティ
賃貸契約は比較的柔軟に変更が可能であり、企業の成長や縮小に応じてオフィスの規模を調整できます。契約期間満了時に他の立地へ移転することも容易です。

3. メンテナンスコストが低い
建物の管理やメンテナンスはビルの所有者が行うため、テナントはこれらの費用負担から通常、解放されます。これにより、予算管理がしやすくなります。

オフィス賃貸のデメリット

1. 長期的なコスト増加
長期間にわたって賃貸料を支払い続けると、累積コストが高額になる可能性があります。特に、賃貸料が市場動向により上昇すると、その影響を受けやすくなります。

2. 改装やカスタマイズの制約
賃貸物件では自由に改装やカスタマイズすることが難しい場合があります。オーナーの許可が必要で、企業のブランドイメージに合致したオフィス環境を作るのが難しいこともあります。

3. 所有権がない
賃貸物件では所有権がないため、不動産の価値が上昇してもその恩恵を受けることができません。資産としての価値を持たないことは、企業のバランスシートに影響を与えます。例えば、土地と建物が企業の所有の場合は、決算期毎に取引金融機関は金融庁が定めたルールに基づき、時価評価に洗い替えして、その企業の正しい純資産額を査定しています。時価評価が高まれば、有利な条件で資金調達が可能になります。所有権がない場合はその恩恵を受けられません。

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自社ビル建築(中古物件購入を含む)するメリット、デメリット

自社ビル建築(中古物件購入を含む)のメリット

1. 資産価値の増加
自社ビルを所有することで、不動産の価値が増加すれば企業の資産価値が向上します。所有資産としてバランスシートに計上され、企業の財務的健全性を示す一助となります。

2. カスタマイズの自由度
自社ビルでは、企業のニーズに合わせて自由に設計・改装ができ、ブランドイメージに沿ったオフィス環境を構築できます。これにより社員の満足度や生産性の向上が期待できます。

3. 固定費の削減
長期的には毎月の賃貸料が不要となり、財務の安定性が向上します。特にローンの支払いが完了すれば、維持費のみで済むため、コスト削減につながります。

自社ビル建築(中古物件購入を含む)のデメリット

1. 初期投資が高額
自社ビルの建設には大規模な初期投資が必要です。土地の購入費用や建設費用、設計費用が莫大になり、資金繰りに影響を与える可能性があります。

2. リスクの高まり
不動産市場の動向により、ビルの価値が下がるリスクや、地域の経済状況による影響を受ける可能性があります。また、建設中の予期せぬコストの発生や、建物の老朽化に伴う修繕費用などもリスクとなります。

3. 流動性の低下
不動産は流動性の低い資産であり、急な資金需要が生じた場合に迅速に売却して現金化することが難しいです。これにより、資金の自由度が制約されることがあります。

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経営戦略と財務数値の考慮

結論をいうと、オフィス賃貸か自社ビル建築かの判断は、あくまで自社の根幹となる経営戦略次第、ということが原理原則といえます。この点は強く認識いただきたいところです。また、業種や業態、経営の目的によって最適な選択肢は異なります。

さらに、財務面からはフリーキャッシュフローを慎重に計算し、その重要性を認識する必要があります。フリーキャッシュフローの計算式は以下の通りです:

経常利益+減価償却費―法人税等

フリーキャッシュフローは、1年以上の期間で借りている“長期借入”の返済原資として計算されます。この数値は中小企業の資金繰りにおいて、銀行などの金融機関が特に重視しています。多くの企業は銀行から借入して経営していると思いますが、年間の元金返済額がフリーキャッシュフローを上回る場合、手元の現金が減少し続けることになります。

そのため、オフィス賃貸か自社ビル建築かという選択においては、資金が枯渇すれば経営が立ち行かなくなることは明らかです。そのため、年間の元金返済額を正確に理解し、どちらの選択がより多くのフリーキャッシュフローを生み出すかを考慮することが必要です。

まとめ

  • オフィス賃貸と自社ビル建築のどちらを選択するかは、企業の戦略や財務状況、経営方針などに依存する
  • 自社の根幹となる“経営戦略”を土台としてメリット、デメリットを正確に理解し、ベストな選択を経営者は判断するべきである
  • 財務的には、長期借入金の返済原資となる“フリーキャッシュフロー”を把握した上で、どちらの選択がより多くその数値を獲得できるのか考えなければならない

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