賃貸オフィスとレンタルオフィスの違いとは?メリットとデメリット、選び方を解説
ビジネスを始める際、オフィス選びは非常に重要な要素です。選択肢としてよく挙げられるのが「賃貸オフィス」と「レンタルオフィス」ですが、これらの違いを理解しているでしょうか?
この記事では、賃貸オフィスとレンタルオフィスの違い、それぞれのメリットと注意点、そしてどのような場合にどちらを選ぶべきかについて詳しく解説します。
目次
賃貸オフィスとレンタルオフィスの違いとは
賃貸オフィスを選ぶ場合とレンタルオフィスを選ぶ場合の違いを、明確に説明できますか?
賃貸オフィスとは、一般的なオフィスビルの個室を借地借家法に基づく賃貸借契約にて借りる形式を指します。一方でレンタルオフィスとは、一定の利用料金を支払うことでオフィス施設の利用権を得られるサービスです。
賃貸借契約と利用権契約では、借主と貸主の力関係や、借りているスペースの独占性などが変わってきます。一般的に賃貸オフィス(賃貸借契約)では借主の立場が強く、借りている部屋の排他性や独占性が強いです。
※ここでは、排他とは「他人(外部)が利用することを差し止めること」、独占とは「自分(自社)のみが利用できる権利をもつこと」を指しています。
一方、レンタルオフィス(利用権契約)では貸主の立場が強く、利用者(借主)の権利は限定的である場合が多いです。これらの違いを理解し、自社に合ったオフィス選びをしましょう。
賃貸オフィスのメリットとデメリット
賃貸オフィスのメリットとしては、自由度の高さが挙げられます。内装や設備を自社のブランドイメージに合わせてカスタマイズできることが多いため、ビジネスの発展と共にオフィスのレイアウトを変えることも可能です。
また、オフィススペースへの出入りに独自のセキュリティシステムを導入でき場合が多く、機密情報を扱う企業にとっては安心でしょう。
一方、賃貸オフィスのデメリットとしては、初期費用が高いことや契約の柔軟性の乏しさ、契約解除時の原状回復費用などが挙げられます。原状回復費用については、オフィスの規模や状態によって相場は大きく変わりますが、おおよそ50坪以下の小規模オフィスでは坪単価3~7万円、51~100坪の中規模オフィスでは6~10万円ほどです。
レンタルオフィスのメリットとデメリット
レンタルオフィスは、初期費用やランニングコストといった費用面を抑えられる点がメリットです。家具や設備が揃っているケースがほとんどで、オフィスを構えてから比較的すぐ業務を開始できます。
また、フレキシブルな契約が可能で、業務量や人員に応じてスペースの拡大・縮小が容易な点も魅力的です。
一方、レンタルオフィスのデメリットとしては、他のテナントとの共有スペースによるプライバシーの問題や、自社のブランドイメージを出しにくい点があります。
また、料金体系によっては空調の利用などにオプション料金が必要な場合もあるため、契約時によく確認する必要があるでしょう。
どちらのオフィスを選ぶべき?「賃貸オフィス」を選んだ方がよい場合
賃貸オフィスを選ぶべきかどうかは、ビジネスの特性や経営の視点から考える必要があります。立地や内装、家具にこだわりたい企業、重要な機密情報を扱う業種、ある程度の規模を持つ会社は、賃貸オフィスの選択を検討するとよいでしょう。
ケース1:立地や内装、家具などにこだわりたい場合
自社のブランドイメージを反映させるために、オフィスの立地や内装、家具にこだわりたい企業にとっては、賃貸オフィスが適しているでしょう。
一般的に、賃貸オフィスは自由度が高いため、自社のコーポレートカラーやロゴを取り入れた内装にしたり、快適な作業環境を提供するための高品質な家具を選んだりできます。
ケース2:重大な機密情報を取り扱う業種の場合
重大な機密情報を取り扱う業種の場合、賃貸オフィスの選択がより適しています。なぜなら、レンタルオフィスは共有スペースが多く、不特定多数の人が出入りするからです。
個室タイプのレンタルオフィスでも、会議室やミーティングスペースは共用の場合が多く、会議の内容を第三者に聞かれるリスクが高くなります。
一方、賃貸オフィスは自社専用のスペースとなるため、強固なセキュリティシステムの導入も自由に行えるでしょう。
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ケース3:ある程度大きな規模の会社の場合
ある程度の規模を持った会社にとって、賃貸オフィスの選択は取引先や金融機関からの信用を得やすく、有利な面が多いです。
起業したてのスタートアップや売上規模が小さい会社なら「固定費の節約のためにレンタルオフィスを借りている」と想像がつきますが、十分に売上を出している会社がレンタルオフィスを本店所在地にしていると、不審に思われるかもしれません。
どちらのオフィスを選ぶべき?「レンタルオフィス」を選んだ方がよい場合
レンタルオフィスは初期費用や維持費用が少なく、フレキシブルに運用できる点が魅力です。特に、起業したての企業や人員の増減が激しい業種、またはサードプレイスとしての利用を考えている方にとっては、理想的な選択肢でしょう。
ケース1:起業したばかりで資金面での余裕がない場合
起業したばかりで資金面での余裕がない場合、レンタルオフィスは非常に有効な選択肢です。
初期費用や家具・設備投資がほとんど必要ないうえに、契約期間を自由に設定でき、事業が軌道に乗るまでは固定費の節約に役立つでしょう。
さらに、レンタルオフィスは共有スペースが多く、原則として清掃などの管理は運営会社のスタッフが行うため、光熱費や人件費を抑えられます。
これらの理由から、資本をビジネスの成長に集中させられるでしょう。
ケース2:繁忙期と閑散期で人員の増減が激しい場合
繁忙期と閑散期で人員の増減が激しい会社には、レンタルオフィスがおすすめです。
レンタルオフィスはフレキシブルな契約形態が魅力で、人数に応じて利用スペースを増減させられることがほとんどです。たとえば、繁忙期には大きなスペースを追加契約し、閑散期には小さな個室だけを契約するといった使い方ができます。
また、家具や設備が揃っていることが多く、人員が増えたときに新たに家具を揃える手間やコストを省けます。このように、レンタルオフィスは業務量の変動に柔軟に対応できることが大きなメリットです。
ケース3:サードプレイスとして利用したい場合
サードプレイスとは、自宅や会社以外の、自由な時間を過ごす第三の場所のことを指します。
たとえば、本社は本格的な賃貸オフィスを借り、サテライトオフィスとしてレンタルオフィスを活用する方法が挙げられます。育児や介護など、家庭の事情で自宅の近くでしか働けない社員でも、離職せずに働き続けられるでしょう。
また、レンタルオフィスの場合、共有スペースやカフェスペースが設けられていることも多く、自分のペースで仕事を進めたり気分転換をしたりするのにも適しています。
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賃貸オフィスとレンタルオフィスの注意点
レンタルオフィスと銘打っていても、物理的形状によっては法律上賃貸オフィスとみなされる場合があります。目安としては「天井まで完全に四方を囲まれていてドアに鍵もかけられる完全個室タイプ」のレンタルオフィスは借地借家法の賃貸借契約であるという判例が出ています。(東京地裁平成26年11月11日判決)
【参考】レンタルオフィス入会契約に基づくフロアーの一区画の賃貸借が、建物賃貸借契約に該当するとされた事例/ウエストロー・ジャパン
運営会社とトラブルになった際などに適用される法律が変わってきますので、頭に入れておきましょう。
まとめ
賃貸オフィスとレンタルオフィスにはそれぞれ特徴があり、一概にどちらが優れているとはいえません。事業の状況や目的に応じて、自社に最適なオフィス形態を選択することが重要です。
賃貸オフィスは自由度が高い反面、初期コストがかかります。一方、レンタルオフィスは柔軟性に優れている反面、プライバシーの問題が残るでしょう。両者の違いやメリット・デメリットを理解したうえで、会社の規模、予算、成長戦略などを考慮しながら、十分に検討して決定してくださいね。
*segawa7, Gorodenkoff, metamorworks, fizkes, Nuttapong punna / shutterstock
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