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取引銀行が嫌がるオフィス移転の落とし穴!中小企業が成功するための実践対策とは

2024.11.11

中小企業にとって、オフィスの移転は一大イベントといっても過言ではないくらい重要なものです。なぜなら、企業の成長戦略や従業員の働き方、さらに財務状況にまで大きな影響を与え得るからです。とりわけ、資金調達の要である取引銀行に納得してもらうためには、慎重な計画と勘所を押さえた説得力のある説明が欠かせません。今回の記事では、取引銀行を納得させるためのオフィス移転のポイントと、意外な盲点について解説します。最後までお読みいただき、移転計画の成功にお役立てください。

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取引銀行を味方につけるには?

まず、オフィス移転を円滑に進めるための第一歩は、「メインバンクへの事前相談」です。そもそも銀行は、いわゆる「報・連・相」の文化で動いているので、移転プロジェクトを事前に相談されることに非常に好感をもってくれます。逆に言えば、これを怠った場合、不信感を抱かれ取引への姿勢が硬化するリスクもあるため注意が必要です。

「担当者から質問がない」「訪問頻度が低くコミュニケーションが取れなかった」という言い訳は通用しません。運転資金や設備資金を借りているメインの取引銀行への説明の場はきちんと設けましょう。支店内や場合によって本部とも情報を共有するので、説明資料はペーパーに落とし込んで持参すると非常に喜んでいただけると思います。ペーパーの上部もしくは文面の最後に法人の横判(住所と法人名、代表取締役名まで書かれているもの)と法人印(銀行届出印もしくは実印)を捺印、複数枚に渡る場合は割印を押して提出すれば重みが増します。「令和のこの時代に印鑑?」なんて思わないでください。いずれはペーパーレスやネット上での押印が標準になるとは思いますが、まだまだ依然として金融機関は紙と印鑑の文化だということをご理解ください。

銀行への説明時に押さえるべきポイント

銀行への説明時に押さえるべきポイントを、以下4点まとめました。

1.移転の目的とメリットを明確にする

取引銀行にオフィス移転の計画を伝える際には、その目的と期待されるメリットを明確に説明することが重要です。例えば、新しいオフィスの立地が既存の顧客層やターゲット市場に近い場合、その利便性が売上増加に繋がることを強調します。また、社員の通勤時間が短縮されることで、労働生産性や満足度が向上することもメリットとして挙げられます。具体的なデータや調査結果を基に説明しましょう。

2.財務計画の整合性を示す

オフィス移転に伴う費用は無視できません。賃料、引っ越し費用、内装工事費用など、さまざまなコストが発生します。これらの費用をどのように捻出し、企業の財務状況にどのように影響するのかを明確にする必要があります。例えば、移転により将来的なコスト削減が見込まれる場合、その予測を具体的に説明します。また、移転後の売上増加が見込まれる場合、それを根拠とした収益予測を提供することで、銀行の理解を得やすくなります。

3.リスク管理計画を用意する

オフィス移転にはリスクが伴います。新しい立地が期待したほど集客効果を発揮しない、内装工事が遅延する、といったさまざまなリスクが考えられるでしょう。取引銀行に対しては、これらのリスクに対する管理計画を提示することが重要です。具体的には、リスク発生時の対応策や代替案を準備して移転計画全体のリスクマネジメントを行うことで、銀行に対する信頼感を高めることができます。

4.移転後の成長戦略を示す

新しいオフィスに移転した後の成長戦略を明確にすることも重要です。例えば、新たな市場に進出するための戦略や新しいビジネスモデルの導入計画など、移転後の具体的な成長戦略を示すことで、企業の未来を描くことができます。これにより、銀行は移転が企業にとってプラスの影響をもたらすと納得しやすくなるでしょう。さらに財務面からいえば、フリーキャッシュフロー(計算式:経常利益+減価償却費―法人税等)の数値がいかに伸びていくかということをシミュレーションで示すことができれば、説得力が一層高まります。

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取引銀行が嫌がるオフィス移転のケース

取引銀行が嫌がるオフィス移転のケースは、端的にいえば下記2点です。

・オフィス移転についての事後報告
・県外への本社登記を伴う移転

“県外への本社登記”は意外と盲点ではないでしょうか。あくまでケースバイケースではありますが、メインバンクの支店が存在しない県外への本社登記の変更を伴う移転は、融資の継続が困難になる場合があります。銀行側の理屈としては、離れた拠点になると回収業務やその他連絡などの管理業務ができなくなってしまうと考えるからです。メインバンクへは、あらかじめきちんと情報を開示してから移転を進めることが大切といえます。

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取引銀行との関係を傷つける移転とは?

企業の財務状況が芳しくないにも関わらず、高額な移転を強行するケースも銀行からの信頼を失う原因となります。その企業の身の丈に合っていないオフィスへの移転など、経営者が現実を直視せず見栄や直感で意思決定することは危険です。“自社の経営状態を冷静に捉えることができない社長”と取引銀行に判断されると、さらに資金繰りが悪化する可能性があります。できる限り緊密なコミュニケーションを心掛けることも重要であると筆者は考えます。

社内への配慮も重要

オフィス移転は、取引先だけでなく社内の従業員への説明も欠かせません。早い段階で正確な情報を共有し、理解と協力を得ることが重要です。社員が移転の必要性を理解せず、不安や抵抗を感じるケースも考えられます。

一方で、オフィス移転は経営課題の解決と組織力の向上につながる絶好の機会です。立地や社内のレイアウト、設備や動線が改善されれば、働く人間のモチベーションが向上し、生産性の飛躍的な向上も期待できます。経営者はこの移転そのものを、意図的に「全社員を巻き込んだプロジェクト」と位置付け、全社員を巻き込み一致団結させ、社内の組織力を向上させることを狙うとよいでしょう。

まとめ

  • オフィス移転の際は余裕をもって。まずはメインバンクへ相談と報告をするべきである
  • きちんとペーパーにオフィス移転の内容を記載し、何のために行うのか、移転の効果を取引銀行に対して明確に説明するべきである
  • 取引銀行の支店がある近隣エリアならば問題ないが、県外などの支店が無いエリアへの移転は慎重に相談しなくてはならない
  • 社内の従業員に向けきちんとした説明を行った上で、オフィス移転を社内の一大プロジェクトとすることで組織力の向上を目指すべきである

*fizkes,OPOLJA,TZIDO SUN / shutterstock

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