人材獲得に有効な働き方改革!助成金を活用したテレワークの実践
近年、さまざまな要因で採用難が深刻化しています。企業が生き残るためには、いかに優秀な人材を確保し、定着させるかにかかっているといえるでしょう。特に、若い世代ではワークライフバランスを重視し、多様な働き方を求める傾向が強まっています。
このような状況下で注目されているのが、「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」です。ABWとは、ワーカーが自身の業務内容や気分に応じて、自由に働く場所や働き方を選択できるオフィス環境のこと。働く環境をワーカーが自ら判断し選ぶことで、業務の生産性を高めます。
一方でテレワークとは、「情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を活用した、時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方」(テレワーク総合ポータルサイト/厚生労働省)のことで、オフィス以外の自宅などからICTを活用して仕事をすることを指します。いずれもワーカーの自律的な働き方を促進し、ストレスの低減や生産性の向上に寄与し、企業にとっても多様な能力を持つ人材の確保が期待できるでしょう。
本記事では、働く場所を限定しないテレワーク導入のメリットと、活用できる助成金について解説します。
目次
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テクノロジーの進化と働き方の変化
Web会議システムの普及により、場所を選ばずにコミュニケーションを取ることが可能になりました。また、書類の電子化が進み、オフィススペースの有効活用やペーパーレス化が加速しています。これらのテクノロジーの進化は昨今の働き方を大きく変え、オフィス内ではABWを、オフィス外ではテレワークをより円滑に進める環境を整えることに寄与しています。
非同期コミュニケーションの活発化
チャットツールやプロジェクト管理ツールとの連携により、非同期コミュニケーション(お互いが連絡のとれる状態である必要がなく、それぞれ都合のよいタイミングで行うコミュニケーション)が活発化。時間差で情報共有や意見交換が可能になり、多様な働き方に対応できるようになりました。
情報共有のスピードアップ
クラウドサービスを活用することでリアルタイムに情報共有が可能になり、意思決定のスピードが向上しています。インターネットさえつながっていれば、欲しい情報にいつでもアクセスが可能となり、場所を問わず必要な判断を下すことができます。
セキュリティ強化
情報の電子化は、紙の書類による情報漏洩のリスクを軽減し、セキュリティの強化につながります。さまざまな情報をワーカー個人のパソコンに保存するのではなく、サーバー上への保存を徹底することで、外出時のパソコン紛失のリスクにも対応できます。
テレワーク導入による効果と課題
テレワーク導入は、生産性向上やコスト削減、ワーカーの満足度向上など、多くのメリットをもたらします。しかし一方で、非対面によるコミュニケーション不足や情報漏洩のリスク、ワーカーの孤独感などの課題も出てくるでしょう。これらの課題を克服するためには、適切なツールや社内規定を整備し、ワーカーへの丁寧なサポートが不可欠です。
多様な働き方による効果
テレワークの導入により出勤日数や勤務時間を柔軟に調整できるようになれば、育児や介護と仕事を両立させるなど、さまざまなライフスタイルに沿って対応が可能になります。柔軟な働き方を実現することで、女性・高齢者・障がい者などの就労機会の拡大につながり、幅広く有能な人材の確保、また、離職防止にも効果が期待できるでしょう。
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テレワーク導入の課題
コロナ禍で急遽テレワークを導入したものの、就労規則や社内規程にテレワークに関する内容が盛り込まれていない場合や、管理体制や評価制度に不備がある場合には見直しが必要です。
たとえば、自宅などセキュリティ対策が不十分な場所での情報漏洩のリスクや、同僚との交流が減りワーカーが孤独感を覚える可能性への配慮などがそれにあたります。また、勤務時間の正確な把握が難しいため労務管理が複雑になり、長時間労働につながる可能性もあるでしょう。目標達成感を得にくい場合、ワーカーのモチベーションが低下する恐れもあります。
テレワークによる課題を認識したうえで、社内制度を整備しましょう。
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テレワーク導入に活用できる助成金
IT導入補助金(経済産業省)
ITを用いたDX化などを目指す場合には、IT導入補助金を検討してみましょう。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。また、相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含まれます。
【引用】IT導入補助金2024/サービス等生産性向上 IT 導入支援事業事務局
テレワーク促進助成金(東京しごと財団)
テレワークの定着・促進に向け、東京都内の中堅・中小企業におけるテレワーク機器・ソフトなどのテレワーク環境整備にかかる経費を助成。常時雇用の労働者を対象とした一般コースと、非正規社員拡充コースがあります。
【参考】テレワーク促進助成金(令和6年度)/東京しごと財団
育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金(東京しごと財団)
令和7年4月1日施行予定の育児・介護休業法改正により、育児・介護のためのテレワーク導入が事業主の努力義務になることを受け、令和6年から始まった新たな助成金です。テレワーク規程の整備にあたり助言を希望する場合は、社会保険労務士の派遣が可能(費用無料、最大3回まで)なので、ぜひ検討してみてください。
【参考】育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金/東京しごと財団
その他、テレワーク導入済み企業の定着・促進を支援する助成金もあります。都道府県ごとにもさまざまな助成金があるので、参考にしてください。
まとめ
テレワークは企業の働き方を変革し新たな可能性を開く一方で、さまざまな課題も存在します。これらの課題を克服するために、企業はワーカーの状況を把握し、適切な対策を講じることが重要です。
テレワークを成功させるためには、コミュニケーションの強化、情報セキュリティ対策、メンタルヘルス対策、時間管理の徹底など、多角的な視点から取り組む必要があります。そして、テレワークと合わせて、ABWの導入を視野に入れつつオフィス環境を見直すことで、より一層柔軟な働き方に挑戦してみてはいかがでしょうか。
*yu_photo / shutterstock
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