
バックオフィスの採用で実力のある人材に出会えない。人手不足にどう向き合うか
バックオフィス業務は、企業の円滑な運営に不可欠な存在です。しかし、近年多くの企業がバックオフィスの人材不足に悩まされています。優秀な人材の確保が難しく、業務の滞りや社員の負担増加など、多くの問題が生じている企業が少なくありません。少子高齢化による労働人口の減少はもちろん、業務の専門性の高まりなどが、人材不足の背景にあると考えられます。また、デジタル化の遅れや、待遇面での課題なども優秀な人材の確保を難しくしている要因のひとつといえるでしょう。
そこで本記事では、バックオフィスにおける優秀な人材の採用方法や採用以外にも、業務効率化を図るための選択肢について解説します。貴社の状況に合わせた、最適な解決策を見つけるためのヒントになれば幸いです。
目次
バックオフィスの人材不足に悩む企業の共通点
バックオフィス業務における人材不足は、多くの企業で課題となっており、その背景には、共通の特徴が見られます。
まず挙げられるのは、業務内容の明確化ができていない点です。バックオフィス業務は多岐に渡り、経理や人事、総務、法務などさまざまな業務が含まれます。しかし、それぞれの業務内容や責任範囲が曖昧になっているケースも多く、結果として担当者の負担が増大し、人材不足につながっている企業は少なくありません。
また、待遇面での課題も挙げられるでしょう。バックオフィスは、企業の収益に直接つながる部署ではないため、営業職などに比べて待遇が低い傾向にあります。昇給や昇進の機会が限られている場合もあり、業務内容の割に給与が低いと感じている社員も多く、離職につながる要因の一つです。
さらに、バックオフィスの業務は裏方的な存在であり、貢献度が見えにくい側面があります。そのため「何をやっているのかわからない」といわれることも少なくありません。
このような状況が社員のモチベーション低下や離職につながり、人材不足を招く原因になるのです。
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優秀なバックオフィス人材を採用するには
優秀なバックオフィス人材の確保は、企業の成長にとって不可欠です。しかし、採用難の現代において優秀な人材と出会うためには、戦略的な採用活動を行う必要があります。そのためには、業務に求められる人材の要件を固め、自社にふさわしい人材を見極めることが重要です。
バックオフィスに求める人材の要件
バックオフィスに求められる人材の要件は、高いコミュニケーション能力と責任感、そして業務遂行能力です。円滑な人間関係を築き、チームワークを重視できる人材は、バックオフィスにおいて特に重要となります。また、ルーティンワークが多い業務もあるため、正確性や効率性を意識して業務に取り組めることも不可欠です。さらに、変化への対応力も求められます。環境の変化に合わせて、柔軟に業務内容を調整し、新たなスキルを習得するなどの積極的な姿勢も欠かせません。
優秀なバックオフィス人材を見極めるポイント
優秀なバックオフィス人材を見極めるためには、まず採用ターゲットを明確にすることが重要です。各部署が求める人物像や任せたい業務内容を把握し、面接時にスキルや考え方を確認しましょう。志望理由や入社意欲を確認する質問を通じて、応募者の意欲や活躍できそうかなどを見極めやすくなります。
また、どのような方法で募集するのかも決めましょう。求人方法は以下のようなものがあります。
- 人材紹介会社(転職エージェント)
- 転職サイト
- リファラル採用
- ヘッドハンティング
- ハローワーク
採用のプロに代行してもらうことで、マッチングの精度が高くなり担当者の手間も軽減できるため、人材紹介会社などの利用も検討しましょう。
人材の採用以外に業務効率化を図る選択肢もあり
バックオフィスの人材不足解消には、採用活動の強化だけでなく、既存の人員で最大限の成果を上げるための業務効率化も重要です。業務効率化を図ることで、限られたリソースを有効活用し、生産性を向上させることができます。
アウトソーシング
専門性の高い業務や定型業務のアウトソーシングは、業務効率化の一般的な手段です。経理や給与計算、社会保険の手続きといった専門知識が必要な業務を、経験豊富な外部の専門家に委託することで、質の高いサービスを受けられます。また、専門業者にアウトソーシングすると、自社のリソースをコア業務に集中させることも可能です。このように、外部に委託できる業務はアウトソーシングしていくことも検討しましょう。
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業務のオンライン化
クラウドサービスやデジタルツールの活用により、バックオフィス業務の多くはオンライン化が可能です。たとえば、請求書の発行や承認、経費精算、勤怠管理などをオンライン化することで、業務効率化だけでなくペーパーレス化も実現できます。これにより、コスト削減や環境負荷の軽減も可能です。また、データの一元管理が可能になるため、業務の進捗状況の把握や分析もしやすくなるというメリットがあります。
オンラインアシスタントの活用
オンラインアシスタントは、リモートで業務支援を行う新しい働き方として注目を集めています。従来の派遣社員やパート社員と異なり、必要な時間だけ柔軟に活用できる点が特徴です。たとえば、スケジュール管理やデータ入力、リサーチなど多岐にわたる業務を依頼できます。オンラインアシスタントを活用することで、バックオフィス担当者はコア業務に集中でき、生産性の向上が可能です。また、必要な時に必要な分だけ依頼できるため、人件費の削減にも効果があります。さらに、専門性の高いスキルを持つアシスタントによる業務の質の向上が期待できる点も、大きなメリットです。
まとめ
バックオフィスの人材不足は、多くの企業にとって深刻な課題となっています。優秀な人材の確保は容易ではなく、採用活動の強化だけでは限界があるケースも少なくありません。したがって、新しい働き方や技術を活用した解決策を検討する時期に来ています。特に、繁忙期と閑散期の差が大きいバックオフィス業務においては、業務の波に柔軟に対応できることが求められているでしょう。
慢性的な人材不足に悩んでいる企業では、バックオフィスにおいても業務革新を進められる戦略的な人材の採用やアドバイスを取り入れていく姿勢が問われてきています。まずは、自社の業務内容や課題を明確にし、最適な方法を検討してみてはいかがでしょうか。
*Antonio Guillem/ shutterstock