
社会保険・労働保険手続きそして年末調整をクラウド化する!
2020年4月から、特定の法人について、社会保険・労働保険に関する一部の手続の電子申請が義務化されました。※1
オフィスを手放すという組織が現れるほど組織の形が多様化。さらに、新型コロナウイルス感染症対策の自粛要請で否応なしに働く形が変わり、社会保険・労働保険手続きのアウトソーシングを考えている経営者が増えています。
人事の担当者が抱えている社会保険手続きや年末調整に関する手間やコストとしては、主に下記のようなものがあげられますが、クラウドツールの導入で効率化し、対面申請や通勤など、コロナ禍における感染リスクを低減することができます。
・社会保険手続きを行うために行政窓口へ出向く
・自粛中も、手続きの度にマイナンバーを確認するため会社へ出向く
・従業員へ手続き書類を郵送する
・改正多い年末調整。毎年改正点を把握し、社員へ適切な指導を行うのは難しい
・機密情報が沢山つまった紙書類の保管に困る
現状の社会保険手続きや年末調整に関する業務を外注しようとお考えの経営者へ、ちょっと待ってください。まずは“自計化”というもの考えてみるのはいかがでしょうか?
自計化とは?
”自計化”とは、クラウドツールを導入し、手続きや給与計算、勤怠集計に関する業務の効率化を図ったうえで、自社内でこれら業務を行うことを指します。自計化を実現することで、リアルタイムで組織の見える化が促進され、迅速な経営判断を後押しするものだと考えています。
クラウドツールの導入により、いくつもの手続き窓口への移動・待ち時間から解放されるうえ、インターネットがつながっている環境であればどこでも手続きが可能です。また、役所の申請書類の書式変更や法改正など、自動で最新情報にアップデートされるため、間違いが起きにくいというのも特徴のひとつです。
電子申請の義務化により、クラウドツールの種類が増えたこともあり、「どのクラウドツールを選んでよいか分からない」「何から着手したらよいか分からない」という声をよくお聞きしますので、社会保険・労働保険手続きそして年末調整のクラウド化について、クラウドツールの一例をあげながら解説します。
「SmartHR」(労務管理システム)
・従業員が30名以下or300名以上の組織向け
従業員ご本人がご自身のパソコンやスマートフォンを使用し住所やマイナンバーなどの従業員情報を入力。その情報がリアルタイムに集約され、クラウド上に従業員台帳が生成されます。会社は、その情報を活かし、社会保険・労働保険に関する手続きを電子申請することが出来ます。
“年末調整”機能が充実しており、情報を入力する従業員にとっても、それを管理する事業者にとっても、非常に分かりやすい仕様となっています。
対応可能な電子申請の種類は多くありませんが、入退社があまりない事業者や逆に従業員数が多く情報の管理が煩雑な企業にとって、使うメリットが大きいツールだと言えます。
「労務ステーション」(労務管理システム)
・一定の知識を持った人事担当者がいる組織向け
収集した従業員情報を、人事ご担当者がシステムへ入力。その情報を活かし、社会保険・労働保険に関する手続きを電子申請できます。入退社手続きのほか、給付金や扶養追加など、対応可能な電子申請の種類が多く、従業員情報や手続き進捗を一元管理できるので、すぐに人事ご担当者の業務効率の向上・コスト削減へとつながるツールだといえます。
SmartHR同様の“年末調整”機能をはじめ、労務管理、web明細、有給休暇管理など組織の課題に応じて機能を追加でき、初期費用を抑えて使用できます。
クラウド型給与計算システム
クラウド型給与計算システムは、連動性を軸に考えると下記の2つが好ましいでしょう。
マネーフォワード社が提供「マネーフォワードクラウド給与」
『マネーフォワードクラウド勤怠』、『マネーフォワードクラウド経費』、『マネーフォワードクラウド会計』がそれぞれ連携しているためボタン一つで情報を連携させることができます。つまり、申請した勤怠や経費精算のデータが確定させると、その勤怠や経費精算データを給与ソフトに反映させることができ、さらに、それらのデータをも含んだ給与情報の仕訳を会計ソフトに自動で登録することができます。
freee㈱が提供「会計freee」
『人事労務freee』もそれぞれが連携をしているのでマネーフォワードと同様の処理をすることができます。また、経費精算機能が組み込まれているので、スムーズにデータを確定させられます。
これらは、年末調整の効率化を実現できるSmartHR(人事管理システム)や幅広い電子申請が可能となる労務ステーションとの連動性も優れています。
クラウド型給与計算システムはどういった人向け?
給与計算の入力ミス = ヒューマンエラーで二度手間。
勤怠データや経費精算データが集まらず給与計算が滞る。
勤怠データや経費精算データの集計に時間を要する。
クラウドツールを導入したが多すぎて逆に非効率になっているように感じる。
上記のような人事ご担当者の困りごとを解決するのがクラウド型給与計算システムです。勤怠集計や経費精算のクラウド化を同時に導入することで、圧倒的な業務の効率化が望めます。
クラウド上の申請-承認そしてweb給与明細化で、わざわざの出社を減らし、時間そしてコスト削減が可能になるとともに、場所にとらわれない働き方の実現を後押しします。
まとめ
自計化は、新たな業務フローへと“改革”していくため、経営者やご担当者の強い意志が必要です。現在の給与計算・入退社・従業員台帳管理のフローを調査し、徐々にプロセス改善を図り新しい省力化されたフローに変えていきます。
ツールの組み合わせにより自計化が目指せる今、業務を内製化した方が、アウトソーシングよりコストが安く抑えられますし、会社情報の一元管理・データ活用へもスムーズに移行できます。
アウトソーシングをゴールとするのは時代に逆行した流れ。ぜひ“自計化”-新たな業務フローの構築を目指してはいかがでしょうか。
※1 電子申請義務化 Q&A – 厚生労働省
*CORA / PIXTA(ピクスタ)