
テレワークに最適な会計ソフトはどれか?【目指せ!経理のデジタル化 第4回】
情報をデジタル化し、経理のテレワーク/リモートワークを成功させるためには、どのようなシステムを採用するかで決まるといっても過言ではありません。
特に、経理で使用する会計ソフトがテレワークに適していなければ、ペーパーレス化は進みません。パソコン内で作成した書類をわざわざ印刷し紙で保存する、という非効率な作業に後戻りすることになってしまいます。
まずは、いま使っている会計ソフトの機能をチェックし、テレワークが可能かどうか、効率的な仕様になっているのかを検討しましょう。もし現在のソフトが、古いものや安価で機能が不足している場合には、会計ソフトの変更を検討する必要があります。
とはいえ、会計ソフトの変更は会社にとって一大事です。データを移行し、慣れないシステムを使いこなせるようになるまでは、かえって作業に時間がかかる可能性もあります。
また、過去のデータとの互換性はもちろんのこと、請求書ソフト・給与ソフト・固定資産管理ソフト・申告書ソフトなど管理部門の他のソフトとの連携がうまく行えるのかなど、考慮しなければならないことは、山のようにあります。
会計ソフトを変更するということは、経理スタッフに多大な負荷をかけることになるので、慎重に検討して、正しい選択をすることが大切なのです。
新しいタイプの会計ソフトとは
会計ソフトには大きく分けて、従来型のインストールタイプとクラウドタイプの2種類があり、特にクラウドタイプのものは進化がめざましいです。
インストールタイプとは、パッケージを購入するかプログラムをダウンロードしてパソコンにインストールするタイプを指します。最初に購入費用を払い、大抵の場合、バージョンアップの度に追加費用を支払います。
簡単に部門コードや補助コードが設定できたり、毎月同じ仕訳をコピーして使えたりなど、経理パーソンの日常業務に配慮した使いやすい仕様になっていることがほとんどです。
ただしテレワークのためには、会計ソフトをインストールしたパソコンを、経理スタッフが自宅に持ち帰る必要があります。会計データをパソコン内に保存している場合、消失や漏えいのリスクが発生することになります。
一方で、クラウドタイプの会計ソフトは、データがクラウド上に保存されるので、大事なデータが消失する心配はほぼありません。
インターネット環境さえあれば、どのパソコンからでもアクセスできるので、テレワークに適しています。たとえば会社では画面の大きなデスクトップ型のパソコンを使い、自宅ではノートパソコンからログインするなどということが可能です。
またクラウドタイプの会計ソフトの特徴として、銀行口座のデータを自動で読み込んだり、領収書をスキャンしたりすれば自動で仕訳入力できるなど、作業の効率化に配慮した機能を備えています。
2つのタイプを比較すると、クラウドタイプのほうがテレワークに適しています。しかし、会計ソフトの変更は経理スタッフに負担をかけるのも事実です。たとえば、一気にクラウドタイプに移行するのではなく、インストール式の会計ソフトを使いつつ、データをクラウド上で保存する、またはクラウド型のサーバーに保存して、自宅からでもアクセスできるようにするなど、段階的に移行するなども検討すると良いでしょう。
主なクラウドタイプの会計ソフト
主なクラウドタイプの会計ソフトについて、その特徴をご紹介します。
弥生会計オンライン
20年連続して、国内売上NO.1を誇る弥生会計のクラウド版です。中小企業向けに改良されてきた使い勝手の良さが、クラウド版にも活かされています。銀行口座やクレジットカード情報を取り込んで自動で仕訳を行います。
弥生ユーザーにとって、もっとも移行しやすいソフトなのはいうまでもありません。
マネーフォワードクラウド会計
銀行口座やクレジットカードなどの取引データを取り込んで、自動で仕訳を行います。請求書発行や給料計算との自動連携、スキャナをつないでレシートや領収書を読み込む機能もついています。
インターフェイスや画面構成が従来型のインストールタイプと似ているので、簿記の知識がある人にとって、違和感なく移行できるのが特徴です。
クラウド会計freee
銀行口座やクレジットカードなどの電子データを取り込む自動仕訳の機能はもちろん、請求書ソフトや給料計算ソフトとも連携しています。
売上1,000万円以下の会社向けスタータープラン、複数の店舗や事業所を有する会社向けプレミアムプラン、上場会社にも対応したエンタープライズプランなど、会社の規模に応じてプランが選べます。直感的に記帳できるので、簿記の知識のない人が抵抗なく導入できるのが特徴です。
勘定奉行クラウド
会計だけでなく、原価計算・給料計算・販売管理・勤怠管理・固定資産管理・税務申告など企業活動の管理部門で必要とされる業務ソフトを各種取りそろえる勘定奉行のクラウド版です。
銀行データやクレジットカードなど電子データを自動で取り込むのはもちろん、奉行関連システム以外の、スマレジや楽々精算など他システムとの連携もスムーズです。
自社に適した会計ソフトをきちんと選ぶ
これらの会計ソフトは、どれかひとつのソフトが他より優れていると言うことはありません。業種や会社の規模、経理スタッフのスキル、経営陣が経理部に求める内容によって、どの会計ソフトが最適かが決まります。いずれの会計ソフトも、無料版を提供しているので、まずは試してみることから始めてはいかがでしょうか。
*ふじよ / PIXTA(ピクスタ)