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自転車 通勤 メリット

自転車通勤中の事故も労災認定される?自転車通勤のメリット・デメリット

“自転車通勤”という選択肢への関心が高まっています。政府も数年前から国土交通省を中心として自転車活用を推進するプロジェクトを始動(*1)しているのに加え、今般の新型コロナウイルス感染症対策の中でも、在宅勤務に次ぐ手段として時差出勤と併せて自転車通勤を推進するよう企業に働きかけるなど、促進の動きは一層活発になってきているといえます(*2)。

一方で、企業が従業員に自転車通勤を認めるにあたっては、最も一般的な通勤手段である公共交通機関を利用する場合との違い、想定される新たなリスクを十分に検討した上での慎重な対応が求められます。

特に問い合わせの多い労災認定にかかる論点を中心に、自転車通勤のメリット・デメリットを整理してみましょう。

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自転車通勤中の事故は労災認定されるか

労働災害には、業務を理由とする“業務災害”と通勤を理由とする“通勤災害”の2種類があります。

業務中の移動や出張中の事故など、業務の性質を有する業務災害に該当する例外はありますが、通勤中の事故は原則、通勤災害に該当します。

通勤災害と認められるためには、その事故が労働者災害補償保険法における“通勤中”に起きたことが要件になります。

通勤の定義は次の通りです(労災法第7条第2項)。

通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

一 住居と就業の場所との間の往復

二 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

三 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。) ※(筆者注)単身赴任先と帰省先住所間の移動など

また、上記の経路を逸脱し、または中断した場合には、それ以降については通勤とは認められません。

ただし、日用品の購入や病院への通院、親族の介護など、日常生活上必要で最小限度の行為については、当該行為を終えて合理的な経路に戻った後は、通勤として認められます。

イメージがしやすいように具体例をあげると、通勤途中に長時間のウィンドーショッピングをした場合は、合理的な経路を逸脱したとみなされます。つまり、ショッピングを終えて通常の経路に戻った後に事故にあった場合でも、通勤災害とは認められません。

一方で、通勤経路の途中にある公園で休憩する程度であれば、休憩を終えて元の通勤経路に戻ってからは再び通勤として認められ、その途上で事故にあった場合には通勤災害として認められます。

自転車通勤の場合、運動を兼ねて遠回りして帰宅する、というようなことも考えられますので、こうした認定基準についてはあらかじめ従業員に周知しておくのが良いでしょう。

なお、天気によって交通手段を変えており、事故当日たまたま自転車を利用していた、という場合でも、合理的な経路であれば通勤災害として認められます。

また、会社が自転車通勤を禁止していたり、会社に虚偽の申告をして自転車通勤をして定期代を浮かせるといった不正をしているような場合についても、合理的な経路での事故であれば通勤災害として認められます(なお、こうした行為は、労災認定とは別に、会社の就業規則による処罰の対象になり得ます)。

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労災申請の手続き

労災保険給付の申請は、原則として従業員本人が、会社の管轄労働基準監督署に対して請求書を提出する方法により行います。労災病院や労災保険指定病院で治療中の治療費については病院の窓口経由で提出します。保険給付には療養補償(治療にかかる費用)、休業補償、等いくつか種類があり、各給付に応じて請求書が異なります。書式は厚生労働省のホームページ(*3)などからダウンロードできます。

事故の原因や発生状況、給付金額の元となる平均賃金など、一定の事項については会社が証明する必要がありますので、従業員から必要な証明を求められた時は速やかに対応しなければなりません。

従業員が加害者になった場合の使用者責任は?

これまで見てきた事例は従業員が事故の被害者となった場合ですが、逆に、自転車通勤中に従業員が事故の加害者となる可能性もあります。自転車による事故の加害者となったことで、数千万円単位の損害賠償を命じられることもあります。

この損害賠償責任は加害者である従業員本人が負うものですが、業務に関する事故であり、一定の要件を満たす場合には、“使用者責任”が認められ、会社も当該責任を負うおそれがあります(民法715条)。

使用者責任は、労働者の選任及びその事業の監督について相当の注意をした、もしくは、相当の注意をしても損害が生じていた、ことを立証することによって免責されます。

会社が自転車通勤を認める場合には、従業員に対して交通安全教育を徹底するとともに、自転車損害賠償責任保険への適切な加入を義務づけるべきでしょう。一方で、会社として自転車通勤を認めないのであれば、その旨を就業規則に明記し、周知することが重要です。

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自転車通勤のメリット

上記のリスクについては十分に留意した上で、自転車通勤にはメリットもあります。

自転車活用推進官民連携協議会のホームページでは、自転車通勤制度導入のメリットとして、事業者、従業員それぞれについて次のような項目を挙げています。

事業者のメリット

①経費の削減

②生産性の向上

③イメージアップ

④雇用の拡大

従業員のメリット

①通勤時間の短縮

②身体面の健康増進

③精神面の健康増進

引用:自転車活用推進官民連携協議会HP

新型コロナウイルス感染症の拡大を懸念して、自転車通勤を希望する従業員の数は確実に増えてきているものと思います。会社が禁止しているにも関わらず自転車通勤を行う“隠れ自転車通勤”の問題も顕在化しています。

会社として自転車通勤を認めるか否か、整理する機会としていただければ幸いです。検討にあたっては、自転車活用推進官民連携協議会が策定した『自転車通勤導入に関する手引き』(*4)を参考にされると良いでしょう。

【参考】
*1 自転車活用推進官民連携協議会HP
*2 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針 – 厚生労働省
*3 労災保険給付関係請求書等ダウンロード – 厚生労働省
*4 自転車通勤導入に関する手引き – 自転車活用推進官民連携協議会

* Ushico / PIXTA(ピクスタ)

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