営業効率を劇的改善!4ステップでつくる「やることリスト」の効果があなどれない
結果が出ない営業スタッフを見て、思わず「ノルマを達成してもらわないと困る」と言いたくなる瞬間があると思います。
しかし、その営業スタッフはさぼっているわけでなさそう。頑張って遅くまで残業をしている姿を見ていれば、なかなか厳しく言えないものです。そうかと思えば、効率よく契約を取ってくる営業スタッフもいます。結果を出しながら、定時で仕事を終わらせるので、残業代を払う必要もありません。経営者としてはこういった営業スタッフを一人でも増やしたいと思うでしょう。
では、どうしてこんなに差がつくのでしょうか? 能力の差、努力の差、それとも営業センスの差なのでしょうか。いいえ、そうではありません。効率よく結果を出す人とそうでない人の差は能力の違いではなく、ほんのちょっとの工夫の差でしかありません。その差が分かれば、的確な指導をして結果を出す営業スタッフに変えることができるのです。
仕事を効率よくこなすカギは「やることリスト」
筆者は現役の営業スタッフとしても、営業コンサルタントとしても、何千人の営業スタッフを見てきました。そのなかで、結果を出す人とそうでない人の差は実力や努力の差ではなく、仕事を効率よくこなす方法を知っているか・知らないかの差だということに気づきました。仕事を効率よくこなす方法は、ずばり“やることリスト”の活用です。“TO DOリスト”と呼ぶこともあります。基本的なことかと思うかもしれませんが、結果を出す人はどのような形であれ、必ず“やることリスト”を活用しています。これにより、無駄な時間を激減させ、仕事をサクサクとこなせているのです。
今まで時間をかけて築いてきた信頼をケアレスミス一発で台無しにしてしまった。そんな経験をしたことがある方もいるかと思います。どんなに能力がある人でもリスト化せず、記憶だけに頼って仕事をしていれば、ミスを犯します。これがお客様との関係だったら、一発で信頼を失うことだってあるのです。味方であるお客様が敵に回れば、どれほどのダメージがあるかは説明するまでもないでしょう。
お客様という最も重要な財産を失った上に、その処理のために時間を大幅にロスすることになるのです。ミスすればその処理に何倍もの時間と労力をつぎ込まなくてはなりません。つまらないミスが減るだけでも仕事はかなり効率化するものです。“やることリスト”の使い方をマスターすれば、「一日中慌ただしく動いたのに、結局たいした仕事はできなかった……」なんてこともなくなると思います。
「やることリスト」活用から受けた恩恵
筆者は“やることリスト”の恩恵を受けてきましたし、今もなお受けています。住宅営業スタッフ時代は、多くの物件数を同時並行で担当しながらも、ほぼミスなしで回していました。そうやって着実にお客様から信頼を積み重ね、新しいお客様を紹介してもらい、売上を増やしていきました。しかも、営業トップの成績は守りながら、きっちり定時に仕事を終えて帰っていたのです。
そして、現在はコンサルタントとして、講演、研修、コンサルティング、大学の授業、書籍の執筆、連載……とさまざまな活動をさせていただいています。10年以上この活動していて、講演や研修を一度も穴をあけていませんし、すべての仕事に関して一度でも締切りに遅れたことはありません。
これは、まさに“やることリスト”の活用法をマスターしていたからこそです。単純な作業かもしれませんが、この“やることリスト”をうまく活用できれば、その恩恵はとても大きいのです。
「やることリスト」は4つのステップで作成する
“やることリスト”は最も簡単で、ダイレクトに時間短縮につながると頭で理解していても、実際に活用している人はそこまで多くないように感じます。導入コストをかけずに誰でもすぐ始められます。下記の4つのステップに沿って作成します。
(1)前日、もしくは、始業時間前に、“やるべきこと”と“時間が空いたらやりたいこと”をリストアップする
(2)メモ用紙に優先順位順で書きこむ(多少前後してもよい)
(3)翌日、仕事を開始したら、リストの1番から順番にこなしていく
(4)終わったら、項目を線で消す(新たに思いついた項目があれば、書き加える)
基本的には、手帳かノートに書くことをおすすめしています。スマホのメモなどのデジタルツールを使用しても構いませんが、実際に紙に書いた方が効果を感じやすいと思います。
この4つのステップの基本を守ってもらえれば、あとはどんな形にアレンジしてもらってもかまいません。実行しながら自分がやりやすい形を見つけていくよう促しましょう。
優先順位が決まればスタートダッシュできる
“やることリスト”の最大のメリットは無駄な時間が激減し、スタートダッシュが早くなるということです。仕事が遅い人は決まってスタートが悪いものです。
過去の筆者もそうだったのですが、始業時間が過ぎてもなかなか仕事を始めません。「まずはウォーミングアップだから……」と言い訳をしながら同僚との雑談や昨日のスポーツの結果確認などに時間を費やしていました。そして、いざ仕事を始めようとしても、「何から始めればよいんだっけ……」と、実際の作業に取りかかるのが遅くなったりします。出足が悪くなるのは、やることの優先順位が決まっていないから。これでは仕事が遅くなるのも当然です。
“やることリスト”を活用すれば、「まずはリストの1番の項目からやっていこう」とすぐに仕事に取りかかれるようになります。仕事に対して気分が乗らないような日だとしても、やることは分かっているので、何か1つ手をつければ頭が動き出してよいスタートが切れることもあるものです。
過去に密度が濃い仕事ができた日を思い出してみてください。朝からよいスタートを切ったはずです。ダラダラと仕事を始めたが、あとから盛り返したということは、あまりないのではないでしょうか。
“やることリスト”を使って1週間もすれば、溜まっていた仕事もキレイに無くなります。仕事に追い回されたりせず、逆に仕事を待ち構えているようになります。このような状態になれば結果が出ない方がおかしいのです。
“やることリスト”を活用すれば結果が期待できるのはもちろん、無駄な時間が減り、残業時間も減っていきます。営業スタッフを管理している立場の方であれば、まずはご自身で活用して効果を感じたのちに、社員や部下にすすめてみてはいかがでしょうか? 毎朝、“やることリスト”の内容を報告させて、進捗を確認するという方法もあると思います。ぜひ、ご自身の職場にあった方法で活用してみてください。
* kou / PIXTA(ピクスタ)